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5大シャトーは最高峰ではない!?フランスのワイン名産地・ボルドー地区を紹介

こんにちは。ワインエキスパートの豊田薫です。
さて、今回はフランスワイン2回目ということで、前回ご紹介したブルゴーニュ地方と並んでワインの名産地であるボルドー地域について書きたいと思います。

温暖で川沿いがワイン栽培に適する

ボルドーはパリからTGV(新幹線)で2時間程度南に向かったところで、海沿いかつ、ジロンド川という大きな川沿いにあります。フランスの中でもやや南に位置していることと、面している海に暖流が流れていることから、夏は40℃になる時もあるほどかなり温暖な地域です。

雑な絵ですみません。。。

前回のブルゴーニュに比べると、オープンな雰囲気であることも特徴の一つ。かなり有名なワイナリーでもちゃんと予約をすればワイナリーを案内してくれて試飲をさせてくれます!2018年の夏に行ったときは、日本人女性が個人ツアーで車で案内をしてくれて、とてもよかったですよ。

ボルドーは高級品種の赤が有名

赤ワインと白ワインの両方が作られていますが、ボルドーはやはり赤ワインが有名。土壌にうるさく晩熟(完熟するまでに時間がかかる)で、高級品種であるカベルネソーヴィニオンは、堅く高貴でありながら熟したフルーティさを持ち合わせたフルボディの高級ワインになります。

シャトーラフィットとかシャトーマルゴーという”シャトー”から始まるワインの名前を聞いたことがある人は多いと思います。シャトーとは、”城”という意味ですが、シャトーから始まるワインは、基本的にボルドーのワインです。ボルドーでは1所有者が1つの畑を持っていて、それぞれの畑にシャトーがあり、ものによってはなかなか見ごたえがあります

母と旅行した際の1枚

(写真は、シャトーピジョンロングヴィルバロン/メドック2級)(注:ワイン名は、ワイン法を気にしない限り自由なので、チリや南アフリカなど新世界で作られるワインの名前に”シャトーXX”がある可能性はあります)

また、1級、2級などのワインの格付けも聞いたことがあるかもしれませんが、それも実は有名なのはボルドーです。

ボルドー地域はとても広いのですが、その中でも赤ワインが最も有名なのは、下記絵の通り2つの地区。

アップルペンシルで書きました

(オー)メドック地区とサンテミリオン・ポムロール地区です。ジロンド川をはさんで、左側か右側かで区別されるので、ボルドー左岸地区・右岸地区(それぞれ英語でもLeft Bank, Right Bank) とも言います。この二つの地域、場所は近いのですが、この大きな川の影響で土壌が異なることから、メインで作られている品種が異なるのがポイントです。

メドック地区はカベルネソーヴィニオン、サンテミリオン・ポムロールはメルローとなっています。ブルゴーニュ同様、ボルドーのワインもボトルにブドウ品種が書かれていなく、ワイン屋さんでワインを選ぶときには、地区名と品種をつなぎ合わせて置く必要があるので、頑張って覚えましょう!さてそれぞれ詳しく見ていきます。

サンテミリオンの町並み。世界遺産に認定されています。

5大シャトーは160年前の格付けを現在も継続。5大シャトーの名産地”メドック地区=ジロンド川左岸”

5大シャトーという言葉を聞いたことがありますか?私は、ワインの勉強をする前は、5大シャトーがフランスで一番高く美味しいワインだと思っていました。実は、この5大シャトー、ボルドーの中の一部の地域、メドック地域内だけの格付けです(この格付けの1級のものを言います)。しかも1級~5級までの格付けを1855年に行い、それ以降変わってないという代物。さらに、この格付けが行われたときは、マルベックという別のブドウの品種がメインで作られていたんです。

格付けは味わいを反映できている?

びっくりすると同時に、この格付け、本当に味わいを反映できているのか?と疑いますよね。実際、色々な広告をみていると、「この5級のシャトーXXは、2級相当の味わい」など書かれていることもあります。ワインは生産者による影響もとても大きいので、この格付けに合わないことも多々あると感じます。

シャトーラグランジュという3級ワイナリーも、サントリーが買取り、荒廃してたワイン設備を刷新し、味わい復活させたことで有名です。一方、この格付けが今でも残っていて大きな意味を持ち続けることにも理由があります。最も大きな理由は土壌でしょう。

水分ストレスでワインが美味しくなる

ボルドーは雨の多い地域なので(ちなみに、日本に比べたら少なく、ワイン用ブドウ生産地としては多いという意味です。)土壌に水はけの良さが求められます。ワイン用のブドウが美味しく完熟するには、水をあげすぎず、適度な水分ストレスを与えることが必要です。なぜなら、水分を取りすぎると栄養が果実ではなく葉っぱを大きく広げることに使われてしまうこと、水分によって実が膨張して破裂しまうことなどがあるからです。

ボルドーでこの格付けが与えられているシャトーは、適度な水分ストレスを与えられる小石からなる土壌で、かつ斜面にあり水分が流れやすいところにあります。このような点で、格付けから150年たった今も、この格付けが意味をなしていると考えられます。

1本3,000Sドル以上、高級ワイン産地=サンテミリオン

超高価ワインの名産地=ジロンド側右岸”サンテミリオン・ポムロール地区”
ワインを詳しく勉強する前は、ボルドーの高級ワインといえば、上で学んだ5大シャトーかと思っていました。ワイン価格は、栽培・醸造にかかる価格だけではなく、マーケットデマンドによる影響がとても大きいです。実は5大シャトーの生産量はわりと多いです。例えばそのひとつのシャトーマルゴーは年間35万本を生産しています

他方、右岸代表のシャトーペトリュスの生産量は3.5万本。10倍も違います。このため、5大シャトーはS$1,000未満で買えることも多いですが、ペトリュスは最低でS$3,000~4,000かかります。右岸地区は左岸地区と異なり、一つ一つの畑の栽培面積が小さく、個人経営に近いワイナリーが多いんですね。そのため、素晴らしい生産者と土地がそろうワイナリーのワインは、超高級プレミアムワインとなっています。人生で一度は飲んでみたいものです・・・。

サンテミリオンにも独自の格付け

サンテミリオン・ポムロール地区のメイン品種は、”メルロー”です。この土地は粘度質の土地で、水はけの良さを求めるカベルネソーヴィニオンが向かないのです。メルローの味わいは、カベルネソーヴィニオンと似てはいます(ブラインドで見分けるもの割と難しいです)が、フルーティーさが強い品種です。カベルネよりも柔らかく、フルーツケーキのような甘い香りがします。フルボディ~ミディアムボディで、とっつきやすいワインになることが多いです。

ちなみにサンテミリオンにも、独自の格付けが存在します。プレミアムグランクリュ18シャトー、その下にグランクリュ64シャトーがあります。この格付けは、10年毎に見直されることがポイント。以前サンテミリオンに行ったときに、とあるワイナリーの方が「右岸は左岸とは違う。左岸の格付けは見直しもされてないから意味がない」と言っていました。ライバル関係なんだな、と感じる瞬間で面白かったです。

シンガポールで買えるボルドーワイン

さて、シンガポールで買えるボルドーのおすすめワインです。まずは高級ワインから。シンガポールのワインショップ「1855」や「Oaks Cellars」で売られているChateau Pichon Longueville Comtesse de Lalande(200ドル前後~)。メドック(左岸)格付2級のワインです。

https://www.1855thebottleshop.com/index.php/chateau-pichon-longueville-comtesse-de-lalande-2005.html

高いので普段飲みには使えないですが、特別な日には是非。
熟し始めたブラックベリーの香りから始まり、木樽から来るバニラ・チョコレートの香りが本当に素晴らしいです。タンニンもしっかり感じられるのですが、とてもきめ細かく、本当に丁寧に作ったんだなということを感じられるワイン。これだけ丁寧に作っていれば、この価格も仕方ないかなと思えるので、是非試してみてください。私が飲んだワインは2012年のものでもう少し若かったのですが、十分美味しかったので、そのくらいのものでも大丈夫です◎

もう一つは、FairPrice Finestのワインコーナーで買ったChateau Laffitte Carcasset(56ドル)。こちらも左岸のワインです。こちらも香りが最高でした。ずっと嗅いでいたいと思えるワイン(笑)。ただ、この香りから最高の味わいを想像してしまうとちょっとがっかりするかもしれません。

デキャンタおすすめ。このままだと酸の高さとタンニンがザラっとしているのが少し気になるかも。もしくは、開栓してから少し置いておいてみてください。私は開栓後、バキュバンをして1日冷蔵庫で放置していましたが、そうしたらとても美味しくなりました。安くはないですが、フランスワインなので、このくらいの価格は仕方ないですね。おすすめです。

豊田薫
J.S.A.認定ワインエキスパート

慶応義塾大学卒業後、外資系コンサルティングファーム勤務。2018年にワインエキスパート取得。2019年4月に夫とともに渡星。シンガポールでは毎月ワイン勉強会をボランティアで開催。その傍ら、ワインバー勤務など多方面での活動を展開中。好きなワインは、エレガントで華やかなアメリカオレゴンのピノノワール。33歳。

 


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この記事を書いた人
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