駐在夫、子を育てる-16-  悔しさ

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。


昨年9月に生まれた息子のモモタ(仮名)。生後4カ月を過ぎたころから、寝返りができるようになり、柵で囲われているベビーベッドの中をころころコロコロと転がっていることが多くなった。そんなモモタを観察していると、新たな感情がモモタの中に芽生えたのではないだろうかと感じることがある。

それが「悔しい」という感情だ。学術的な裏付けはまったくなく、親の視点からの考察であることに留意いただきたい。

悔しいという感情は「怒る」や「悲しい」の前段に発生するものではなかろうか、と考える。例えば、怒るの場合はこうだ。すでに完璧にできるはずの寝返りが、障害物によって失敗するとしよう。そうすると、モモタの中では「できたはずなのにできない→悔しい→泣く(イラつき)」という感情の流れがある(ように感じる)。

おもちゃで遊んでいた時に、おもちゃがベッドから落ちてしまった場合はどうだろう。「あれ!?さっきまであったものが無くなった→悔しい→泣く(悲しい)」という流れがある(ように感じる)。

寝返りもまだできない状態のときは、たまに横を向くことがあるだけで、基本は天井を見上げていただけであるから、この「悔しい」という感情は、モモタの中になかったように感じる。そもそもできないことに「悔しい」という感情は湧かないのだろう

大人にとってもそれはきっと同じで、「できそうなのに、できない時」に「悔しい」が芽生え、さらに一歩進むと「あの時こうしていればよかった」という”後悔”に昇華される、と思う。

それはスポーツの勝敗に限った話ではなく、主夫としては、自分が作った料理で狙った味と違う出来だった時に「悔しいな」と思い、次は調味料の配合を少し変えてみるか、となる。

話はガラッと変わるが、我が家には日本から持ってきたブレンダーがある。シンガポールでは変圧器を使わなければならないのだが、妻がモモタの離乳食を作ろうと張り切って、初めてブレンダーを使った。変圧器は使わなかった。スイッチを入れた瞬間に壊れたそうだ。妻は形式上の謝罪はしたものの、あっけらかんとしていて「年季も入っていたし、新しいの買えばいいでしょ」と話す。大人でも後悔しない人がいるんだな、と勉強になった。


駐在夫、子を育てる vol.16

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この記事を書いた人

SingaLife編集部

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