旬の天然魚の真の旨さを味わえる、鮨よなか 7月1日新規オープン!
日本料理は、食を愛するシンガポール人にも大人気の料理。世界中の味を堪能できるといっても過言ではない、シンガポールのフード業界でもトップクラスの人気です。でも、そんなシンガポールでも旬の天然魚を、熟成させて味わうお鮨は新しい手法と言えます。日本でも、最近では銀座などの食にこだわるお店で提供されるようになってきました。
そんな話題の熟成鮨と超新鮮な魚介類を深夜まで楽しめる、鮨Yonaka(よなか)は、ぜひ行きつけのお店に加えたい名店です。その味の一端をご紹介します!
天然魚のみ使用
日本にも支社を持ち、週に4回、日本から新鮮な魚を直送している熟練の輸入業者「フーズブリッジ」が鮨よなかの仕入れを担当しています。数年前に友人を介して知り合ったシェフとフーズブリッジはお互いをリスペクトしています。周囲からも「本当に魚を愛するシェフ」として、新鮮で驚きのある魚を常に提供していると高く評価されています。
7月1日オープン!
7月1日にオープンしたばかりの鮨よなか。その名が示すとおり、深夜0:00までオープンしています。場所はMRTの Lavender駅B出口から、直線で8分ほどの距離にありますが、体感的にはもっと近く感じます。
おまかせコースが2つ、そしてアラカルトでお鮨や日替わりの一品が楽しめます。店内はカウンターに8席のみ。高い天井が開放感を演出し、ゆったりとした気分にさせてくれます。食器や酒器、箸一膳に至るまで日本でじっくりと厳選して購入しました。
リム シェフが料理の作り方や、一味違った味わいになるちょっとした工夫を話しながら、その料理の魅力を引き立てるミニ知識も楽しめます。
ゴッフリー・リム シェフ プロフィール
マレーシア生まれのリム シェフは、祖父が中華の料理人であり、母も料理上手でしかも添加物を使用しない、食材の旨みを活かした料理を毎日作ってくれたそうです。シェフが料理人を目指すようになったのは、お母さんの料理を見て手伝っているうちにその影響を受けたからだそうです。
料理学校を出た後、鮨店や割烹料理店、焼き鳥店やうなぎ店まで、鮨以外にも多くの経験を積み、32歳という若さながら、日本食全般に造詣が深いリム シェフ。このお店はインテリアから食材、コンセプトに至るまで自分の理想を追求したく、同じ理念を持つ実業家の日本人女性と一緒にオープンしました。
おまかせコースは2種
本日試したのは、夜コース(季節の料理 3品 Seasonal Dish×3、季節の鮨9貫 Seasonal Sushi×9、吸い物 Soup、デザート Dessert S$168++)です。他に夜中コース S$268++があり、こちらには日本産の蒸した黒鮑がプラスされます。
温かい一品目は季節の野菜の蒸し物。日本産の小芋、オクラ、まいたけを使用しました。
具材の上には京都の名産、万願寺とうがらしを塩水につけた後、細かく切って少量のごま油で炒めたものとオクラの細切りがのっています。万願寺とうがらしは辛くない、甘みがある香りのいいとうがらし。同じく京都のちりめんじゃこのカリっとした食感がアクセント。鰹節の出汁がまろやかです。
最初に温かい一品を出すのは、中華料理からの影響を受けています。中華料理は最初に温かい一皿を出し、胃を温めて食事の準備を整えます。この考え方は、割烹スタイルにも通じるとリム シェフは語ります。素材選びは魚と同じ輸入業者からのリストから行い、それに基づいてメニューを柔軟に決定します。醤油や酢、千葉県産の鰹節など、全て試行錯誤を重ねて選び抜いた厳選品です。また、日本酒も小規模な酒造で作られた、フルーティーで魚料理にぴったりの特別なものを選びました。
2品目は、スマ鰹、のりトリュフソース、芽ねぎと花穂、ほおずき添え
一年に数週間しか獲れないスマ鰹、鰹と言っても通常の鰹と全く違うと言われています。脂が乗っており、漁獲量も少ないスマ鰹はトロのような味です。1番に特徴はその縞模様。鰹のように縦縞でなく横縞。かわいらしい模様です。今日使うのは1週間熟成させたものです。魚の状況でエイジング日数を決めるそうです。
通常の冷蔵庫だと温度調節は難しいので、鮨よなかでは、チラーを使って熟成しています。外側の色味は濃くなりますが、中は鮮やかな赤。
刺身に切った後、りんごチップで軽くスモークし、香りをプラス。見た目も美しい一品です。
森の中をイメージしたミニガーデンを設えたケースの上に盛り付けし、さらにバーナーで炙ると、香りがふわっと立ち上がります。
添えられたのりソースと芽ねぎ、花穂を一緒に口に入れると深い、まさにトロのような旨みを感じます。そして驚きは添えられた食用ほおずき。甘くてフルーツのようです。クリーミーでスモーキーな一品。
3品目は1年のうち、1か月しか獲れない天然のほやの酢の物。
ほやは好みが分かれる素材ですが、リム シェフは自分自身に挑戦し、おいしい料理を作り上げました。3種類の酢に梅、みりんを合わせたものに、サッと漬けてほやの臭みを取りました。岩もずく、じゅん菜にかけたのは、土佐酢に出汁の代わりにきゅうりの汁を加えたソース。よりさわやかな味わいになりました。
その上に雪の下の葉を置きます。上からゆずの皮を軽く下ろして香り付け。ほやと大葉に近いような香がある雪の下の葉のサクッとした歯触りが、なめらかなもずくやじゅん菜とマッチしてユニークな味わい。一緒に食べるのがおすすめです。
◆季節の絶品鮨 |
お次は鮨シェフとしてのリム シェフの真髄が堪能できる鮨です。
おまかせコースには、9品の鮨が含まれています。今日は、天然シマアジ、マグロの赤身、カマトロ、アオリイカ、シマエビ、金目鯛、ワラサ、ホッキ貝、うなぎです。実はこの鮨こそ、リム シェフの渾身の一品。熟成鮨に塩をつけて食べるもの。
今日のネタであるシマエビは、漁獲量が少なく、甘味が強いエビ。ボタンエビより小ぶりですが、旨みと歯応えがあります。もちろんシマエビは熟成させません。シャリは小さめ、赤酢を使用しているのでほんのり色がついています。そしてほんの少し醤油をプラスしてあります。
米は10%精米し、ごく小粒。酢飯だけ食べさせてくれましたが、まろやかな甘味でシャリだけでおいしい。温かいので尚更甘みがましています。酒の仕入れ業者が卸しており、兵庫の勝山酒造などが使用しているのと同じ米。オーガニック「コウノトリ」甘味は控えめでも歯応えがあります。ぎゅっと締めず、さらりと口の中で解ける固さに握ってあります。
まるできき塩、カラフルな塩
ここで使用している塩の数々を見せてくれました。梅、炭、うに、七味、ノドグロ、赤、ゆず、鯛、カキ、ハーブ(オレガノ、タイムなど)、シマエビの塩、桜と味わいも色合いも美しいものばかり。素材に合わせて使用し、味わいが変わります。何度も試してぴったりの物を合わせたそうです。
シマエビのミソはとても甘いので、まずは頭からミソを取り除き、頭を空焼きして、細かく砕きます。再度ミソを入れて炒め、チラーで乾燥したシマエビ塩。味わいは驚くくらい甘く、みりんを足したような味わいですが、なんと少量の塩のみ。これをエビ料理や一品目の野菜の蒸し物にもぱらり。旨味と香りが広がります。
シマアジにはハーブ塩。オレガノやタイムが使ってあり、完全に洋風の味わいかと思いきや、食べると実に合います。料理には垣根がないとリム シェフがいうとおりです。なお天然シマアジは今(7月が旬)。運が良ければ出会えますよ。
どの塩をどの食材に合わせるかは、まずは想像してみるそうです。スパイスが大好きだから、味にも詳しいので大体イメージできるとか。100種のスパイスについて書かれたインドの本も愛読書の一つであるリム シェフだから可能なのかもしれません。
◆シマアジ |
次はシマアジを握ります。シマアジは2週間以上熟成して、色はピンク色になっていますが、熟成が進むとより濃いピンクになります。養殖だと身は白いので、このピンクになるのが天然の証拠です。
◆金目鯛 |
金目鯛は千葉県銚子産。熟成してもなお、キラキラとした脂がのっています。塩は炭塩をぱらり。
塩の黒色が見た目を引き締めています。ここで話の途中で、鮨に塩を使おうと思ったのはなぜかリム シェフに伺うと、日本の有名店鮨次郎で熟成鮨を扱っているのを見て、これを塩で試したらどうだろうと思ったといいます。そうすれば自然の味でより香り豊かになるのでは、と試したのがきっかけの一つと語ります。
塩と醤油の違い
醤油を使うと、魚の味は全て醤油味になってしまいます。特にシンガポールの方はワサビをたっぷりと入れた醤油に鮨をどっぷりと漬けるのが好きなので尚更。ですが塩で食べると、魚はそれぞれ味があることがわかります。その繊細な味わいを活かすのが塩だったわけですね。そして今、自分の店で塩を活かした理想の鮨を握るリム シェフは、自信に溢れています。
◆ワラサ |
次はワラサのヅケです。ヅケに使っているのは何年も使っている醤油。少なくなったら継ぎ足しながら大事に守って来ました。だからこの醤油はシェフにとって非常に大事な8年ものです。魚の旨みが溶け込んで、まろやかな味わいへと変化しています。ワラサがクリームチーズのような旨みを出しています。
◆プラスオーダー ムラサキウニ |
ここでムラサキウニが登場。こちらは青森産、今が旬というので、筆者は別途オーダーしました。
トッピングにはキャビアを贅沢に載せて金箔で仕上げ。指輪ケースのようなガラスの器に入っています。ダイアモンドのように価値のあるウニだから、美しく仕上げたいとリム シェフ。
以前筆者が北海道でウニを食べた時に、アンモニア臭があってがっかりして以来、ウニに二の足を踏んでいましたが、旬の時期じゃなかった気がします。フードブリッジさんによると、日本産でも時期によっては味が落ちるそうです。食べる側である私達も旬を知ることは大切ですね。
◆シマエビ |
次は煮切り酒で風味をつけたシマエビ。トッピングにはシマエビの卵を載せ、シマエビ塩をぱらり。シマエビの全てを堪能できる鮨です。実はシマエビは非常に高価ですが、リムシェフはお客様に楽しんでもらいたいという思いから、あえてメニューに取り入れています。そのお客様を第一に考える姿勢には本当に敬服します。
◆ホッキ貝 |
ホッキ貝。写真からもわかるように身がコリコリ、新鮮です。こちらも熟成はしていません。新鮮なので握る時にパンと叩くとよりきゅっと身が締まります。仕上げはゆず塩にゆずを絞ります。歯触りとその奥に感じるうまさがうれしい。
◆うなぎ |
愛知の天然うなぎは、皮が薄く身がしっかりと厚いもの。うなぎ焼きも熟練のシェフ、仕上がりはばっちりです。魚のすり身入りの厚焼き卵ときゅうりの千切りをパリッとした海苔に包んで手巻き風に。うなぎは一旦蒸してから炭火で焼くのでふっくらとそして外側はカリッと仕上がっています。もちろんこちらもシェフ秘伝の熟成のタレを使用しています。竹葉亭でのうなぎ焼き経験が生かされています。
◆穴子 |
うなぎときたら穴子です。長崎の穴子があるというので、追加でお願いしました。身はあくまでも柔らかく、噛む必要もないくらいで口の中でとろけます。思わず「んー」と声が出ます。うなぎや穴子は新鮮じゃないと泥臭い臭みが出ます。もちろん鮨よなかではあり得ませんが。
締めは鰹節の1番だしスープ。目の前で削った、削りたてを使用します。
金色に輝く美しいスープ。鼻に抜けるほのかな鰹出汁、優しい味わいです。コーヒーのようにネルのフィルターを使ってゆっくり淹れるので、雑味のない色味です。でも本当に驚いたのは、2杯目を呑んだ時。先ほどより香りと味が強くなっています。食と時間がおりなす不思議です。
歴史と時間がつくる味
ここで味わう日本食はまさに食のエンターテイメントです。シェフが旨み調味料のアレルギーを持っており、そのような添加物を一切使用しないため、私たちお客様は安心して食事を楽しめます。そして幼い頃からお母さんが使用しなかったので、シェフの味蕾は非常に繊細で敏感になっていること。だから食材のおいしさを引き出せます。
シェフのおじいさんは中華料理のシェフで、お母さんもチャイニーズニューイヤーには14品ほど作るくらいの料理上手。中でも豚足は素晴らしいとか。醤油味と黒酢味で作るスタイルがありますが、どちらもおいしいとか。甘味はブラウンシュガーで出しています。そして穴子も骨を煮出してブラウンシュガーで味付け。豚足の調理工程と同じようにしてツメを作っています。
ヅケたれも同じく、長い間継ぎ足しをしながら熟成しています。シェフの料理にはアジアと家族が紡いだ歴史の味わいが生かされているんですね。
◆マグロ |
ここで長崎のマグロ!なんと2か月熟成させています。まるで生ハムのような光沢と色合いです。その横にはごく少量のカマトロが。ブラッドルビー色でサシが美しい。
マグロには醤油を軽くつけます。
ヅケ醤油とは別の醤油。大きな身は2つに畳まれています!
そして先ほど切り落とした端の部分の赤身をおつまみに。ハム ワインとかにもぴったりな味わい。外側だから少し乾いており、それによって歯ごたえが増しており、逆におつまみにぴったり。浜ハムといった感じです。
熟成魚のうまさ
熟成鮨というと戸惑う方もいるけれど、試さないのはもったいないと思いました。日本でもシンガポールでも熟成鮨店が少しづつ増えており、銀座などでも提供されています。試さないのはもったいない、深みのある、凝縮された旨みを感じます。
合間合間に口中をさわやかにしてくれるガリも手作りです。薄くスライスされ、花びらのよう。マレーシア産の生姜。赤酢にブラウンシュガーを使っていて、香りと優しい甘さの奥にぴりっとした辛味があり、鮨にぴったりです。
フレッシュフルーツで最高のエンディング
最後は日本の果物で締めます。まずはメロンから。茨城メロンは甘いけれどさわやか。そして次の宮崎マンゴーは甘みが強く、最後の締めにぴったり。
今回は試しませんでしたが、日本酒はワインのようにフルーティーでモダンな酒を選んでいるとか。小さな酒造からシェフの料理にぴったりの物を選んでいます。その他、ビールもありますが、ワインなどはおいていません。
8年もの梅酒も手作り
最後に冷蔵庫に入っている美しい梅酒をいただきました。8年目という梅酒は梅の歯応えがしっかりと残っており、驚きでした。秘密は蜂蜜。甘さは浸透するけれど、形をしっかりと守ってくれるそう。ウイスキーと焼酎をミックスした味わいもまろやかでした。
リム シェフの根底にあるのは、飽くなき探究心。恥ずかしながら日本人である私も(食通ではないので当たり前ですが)食べたことがない食材もあり、シェフの職人魂に脱帽です。鮨よなかでの時間は、久しぶりにゆっくりと食と会話を楽しめた時間でした。
ネタのクオリティは抜群!
32歳と若い、新進気鋭の食の挑戦者リム シェフのおかげで、ここシンガポールにいながら日本の季節を感じることができました。深夜まで本格的な日本料理を味わえるのもうれしいですね。おまかせでもアラカルトでもともに楽しい夜にしてくれるお店ですが、ランチも営業しています。
ラベンダー駅から徒歩約8分ですが、B出口を出れば直線ですので、もっと近く感じます。目印はセブンイレブン。あえて控えめに、鮨よなかと店名だけを記しています。自分だけの隠れ家、とっておきのお店にしたいお店ですが、同時に「こんなお店を知ってる?」と自慢したくなるような場所です。食通の方でもきっと満足できる味と言えます。もし同じクオリティの料理を他店で味わうなら2〜3倍の価格になりそうです。
いずれ混み合うこと間違いありませんが、現在はまだオープンしたてで予約も取りやすいので、今のうちにお試しください。心も体も満足間違いなしの珠玉のお店「Yonaka 」で、夜中までくつろいでください!
シェフのメッセージは、「他店では味わえない、天然魚の熟成鮨の味を試してください。もちろん醤油も塩も全て時間をかけて選んだ逸品です。醤油もただそのまま使うのでなく、魚の骨をローストして醤油に漬け込み、味わいをプラスしています。魚の味の変化をお楽しみください。」
鮨よなか(Sushi Yonaka) 住所:139 Tyrwhitt Rd #01-03 S207557 最寄り駅:Lavender駅、Bencoolen駅 営業時間:ランチ 12:00-15:00、ディナー 18:00-1:00 定休日:無 電話番号:8815 2758 WEBサイト |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
林じゅん子
長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ