シンガポールで鮓の真髄を楽しめる「鮓煌」。ミシュラン二つ星シェフの挑戦。世界一の鮓をシンガポールで

「鮓煌」だからこそ提供できるネタ、妥協ない職人技でその魅力を引き出す

シンガポールの寿司業界を賑わせる一軒の寿司店があります。その名も「鮓煌」。6月にオープンしたばかりの鮓店がシンガポールでここまで話題にのぼるのは、その値段もさることながら、鮓の真髄を体験できる鮓店だから。

一度訪れたらリピーターになること確実。東京の一流店でも食べることが叶わない、シンガポールの「鮓煌」でしか食べられない鮓。今回、シンガライフ編集部は鮓煌さんのご好意によって、特別に鮓煌のコースを体験させていただきました。ネタ、技術、雰囲気、その全てに圧倒されたグルメレビューをお届けします。

随一の繁華街・オーチャードエリアに出店

鮓煌が店を構えるのは、オーチャードエリアにある「ホリデイインオーチャード」の1階。意外な場所に思われるかもしれませんが、隠れ家感が出ていて、それがまた雰囲気となっています。

メニューは2つのおまかせ
鮓煌が提供するのは2つのおまかせコースのみ。
$450の煌コース(つまみ5品、握り10貫、味噌汁とデザート)

$380の絢コース(つまみ3品、握り10貫、味噌汁とデサート)

その理由は、その日に仕入れた最高のネタを、最高のタイミングでお客さんに提供するため。仕入れから仕込み、提供まで一切の妥協をせずに初めて作り出されるのが、鮓煌の鮓になります。

さりげない気遣い

印刷され手元に配られるメニューには、お客さんの名前が印字されています。ちょっとしたことですが、こうした特別感を演出してくれるのは嬉しいもの。シンガポールでこうした気遣いを見せてくれる飲食店は少ないので、尚更です。
冷茶は、お茶そのものの美味しさもありますが、ワイングラスに注がれるため、ここでも気分が高まります。

鮓煌の魅力を隅々まで堪能できる煌コース

そのどれもが至高と呼ぶにふさわしい品々で、これまでの鮓の概念が覆るほどでした。
食べ始める前は量が少し控え目なのかな、と思っていましたが、成人男性の私がお腹いっぱいになる分量で、少し多いと感じる女性もいるかもしれません。
ただ、シャリを小さめなどリクエストには応えてくれるので、安心して最後まで食べられます。

5種の逸品

ー毛蟹の茶碗蒸し
オーソドックスな一品だけに、素材のよさが際立つ一品でした。濃厚な毛蟹と優しい出汁の味わいが口に広がり、今後の料理への期待感を高めてくれます。

ーキンキのしゃぶしゃぶ
小鍋で提供されるのかと思い込んでいた私。キンキの切り身に出汁がかかった形で提供されます。軽く火を通したごくレアの状態のキンキは、身の弾力と脂の乗りのどちらも極上。5品の中で一番印象深い料理でした。

ー海うなぎ
白焼きで提供。香ばしく焼かれたうなぎを口に運べば、その芳しい香りが広がります。外はパリパリと、中はふんわりと。たまらない一品です。生ビールと合わせてどうぞ。

ー蒸し鮑と鮑の肝ソース
前半戦のハイライトは、この鮑。千葉県房総産の天然鮑は、特大サイズ。鮓煌のアイコンにもなっている専用の甕に入れて、味を染み込ませます。かかっているソースは肝をベースにしたもの。こんなにも美味しい鮑を初めて食べました。

ーじゅんさいの酢の物
握りに入る前に、ほっと一息付ける時間。シンガポールでは、食べる機会が少ない酢の物をうにと共に。
このうにもこだわりの北海道産うに。この日は、利尻島のムラサキウニでした。じゅんさいとの相性もよく、食べるうちに握りへの準備が整います。

握り10貫


握りは1貫ずつ目の前で作田さんが握り、提供してくれるスタイル。作田さんの目の前におかれる特製の醤油で、味付けがされているので、そのまま口に運ぶだけ。
どのネタも東京の一流寿司店に引けを取らないものばかり。いや、東京のミシュランで星がつくような一流店でも、入荷できないネタを仕入れています。鮓を心から愛するオーナーの独自のルートだからこそ、実現できるこの究極のネタ。

どの握りも抜群でしたが、記事がとっても長くなってしまうので、握りは抜粋して紹介します。

ー特大車海老
日本から生きたまま空輸するという車海老。驚かされるのは、その大きさ。メニューに特大と書かれるのも納得のサイズ。空輸時に死んでしまった海老は使わないというこだわりも鮓煌ならでは。食べやすいように切って提供されます。

ーのどぐろ
高級食材として名高いのどぐろは、脂の乗りもいいので、握りではなくご飯の上に置かれた形で出されます。
のどぐろの脂を吸った酢飯もまた美味しいさが際立ちます

ー平貝
隠し包丁が入った平貝は、軽く塩が振られています。平貝独特の食感を最大限に楽しめる包丁技術に脱帽です。日本からシンガポールへ空輸したにも関わらず、貝特有の臭みが一切なく、そこにも驚きました。

ー金目鯛
綺麗な赤色で肉厚の身の金目鯛を、食べやすいように包丁を入れて提供。しっとりとしたシャリと金目鯛の脂が口の中で絡み合い、幸福感が広がります

ー雲丹
この日は、北海道利尻島産のムラサキウニ。入荷すれば、北海道産の塩水うにを提供しているとのことです。作田シェフも「塩水うにを召し上がっていただきたかった」と話していました。それほどまでの塩水うに、いつの日か食べられるチャンスが訪れることを願っています。

ミシュラン二つ星シェフの挑戦

鮓煌のツケ場に立つのは、作田至生(さくた・よしお)さん。作田さんは、シンガポールミシュラン二つ星の寿司店「小康和」から独立し、2020年6月に鮓煌をオープンさせました。

元々、北海道の寿司店で働いていた作田さんは、小康和に請われてヘッドシェフとして来星。作田さんの握る鮓によって、小康和はシンガポールミシュランの二つ星を2年連続で獲得するまでになりました。

昨年から独立を考えていた作田さん。日本に帰国することも選択肢として考えていたところに、のちの鮓煌のオーナーとなる鮓好きの男性から「あなたとなら世界一の鮓屋を目指せる」と誘いがあり、鮓煌として独立するに至ります。
これまであったミシュラン二つ星という看板が無くなった時に、自分の腕がどれだけ通用するのか、挑戦したい」と作田さんは語ります。

鮓を握る理想の環境を実現

鮓煌の店内は余計な装飾を排除したシンプルな作りで、凛とした雰囲気すら漂います。ツケ場は檜の一枚板のカウンターで、ネタが並ぶケースも隠され、ツケ場に立つ作田さんとの距離を近く感じられることでしょう。

客も店側も目の前の鮓に集中できる環境。これが、作田さんが考える理想の空間で、鮓煌ではこれを実現しています。

鮓に合わせる酒も銘品ばかり

主役はあくまでも鮓ですが、その魅力をより一層引き立てるのが、鮓に合わせる銘酒の存在。「他店にある酒は鮓煌にも必ず置く」ことを命題にして、サプライヤーに特別オーダー。日本酒、ワイン、シャンパン、焼酎のどれであっても作田さんが握る鮓と理想的なペアリングが叶います

シンガポールの鮓煌でしか食べられない鮓をぜひ。
特別な日に、大切な人と、特別な時間を。

<店舗情報> 店名:鮓煌(すしこう Sushi-kou)

住所:11 Cavenagh Rd, #01-13/14, Holiday Inn Singapore Orchard City Centre, S229616

予約方法:8591-1933(WhatsApp)

営業時間:水〜月 11:30-15:00 18:00-22:30

定休日:火

※多くのお客様にご予約いただき、満席の状態が続いております。 ご連絡を頂戴しましたら、折り返し予約可能な日時をご連絡いたします。

この記事を書いた人

Alcoholic Spy

好きな言葉はハッピーアワー。シンガポールでも、安く美味しく飲める場所を日々探求。

  • 帰国生のミカタ
  • SingalifeBiz