累計発行部数100万部!リアルな中学受験を体感する大ヒットコミック『二月の勝者−絶対合格の教室−』とは?

「合格できたのは父親の経済力と母親の狂気」話題になった第1巻の冒頭シーン。(c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中

「感染を防ぎながら試験会場に向かう今年の受験生は本当に大変だが、頑張って欲しい」そんな応援の声が聞かれる中、今年も全国で中学受験が行われています。中学受験をテーマにした漫画『二月の勝者−絶対合格の教室−』(小学館)は2018年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載がスタートし、重版を重ね2020年11月時点で累計発行部数は100万部を突破。人気俳優・柳楽優弥さん主演でテレビドラマ化も決定するほどの大ヒット作品となっています。
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受験を控える子供を持つ保護者の間では「塾の世界が本当にリアル」と、大きな話題となっており、受験アカウントのTwitterでは「息子と重ね合わせて泣いてしまった」「涙が溢れて続きが読めない」「発売日が待ち遠しい」などの書き込みが。それほどまでに読者の心を動かす作品の舞台裏には、徹底的に行った中学受験関係者への綿密な取材があるそうです。

今回は、この作品の編集を担当されている小学館ビッグコミックスピリッツ編集部の加納由樹さんにお話を伺いました。

編集部で原稿のラフスケッチをチェックする加納さん

大学入試改革の影響で、中学受験がより身近になっている

―中学受験をするお子さんを持つ保護者の多くが『二月の勝者−絶対合格の教室−』を読んで共感をしています。私の周りにも「うちの子供は地元の公立でいい。そこで勉強して、希望の大学に入れればいいじゃないか」そう言って中学受験を視野に入れていなかった友人がいますが、最近の子供たちを取り巻く教育事情を知った途端に情報を集め始めた人がいます。まず、大学入試改革の影響もあり、首都圏の限られた層だけが中学受験をするわけではなくなっていますね」

加納由樹さん(以下敬省略):そうですね。私たちが子供の頃とは状況が変わっていて、地域によっては中学受験を志望する生徒と公立を志望する生徒が半々の学校もあるようです。この作品は、大手・中堅の塾の講師や中学受験経験者の方に直接お会いして取材をしているのでストーリーやキャラクターがかなりリアルだと評価して頂いております。ですが、漫画というエンタメであり、私も教育のプロではまったくありませんので、ここでの回答もあくまで『二月の勝者』というエンタメの範疇でお答えさせてください。漫画の内容は参考までに留めて、実践については教育の専門家の意見などをご覧いただければと思います。

―どうもありがとうございます。最初に「二月の勝者」を漫画家の高瀬志帆さんが描かれることになったきっかけは何だったのでしょうか?

加納:最初に私が高瀬さんにご連絡をさせて頂いてお会いした時に、高瀬さんは「日経DUAL」で原作付きの受験漫画を描かれていて受験を題材にした漫画を構想されていました。そこで、「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載を始めて頂くことになりました。その頃、中学受験は特殊な世界ではなく、一般化する寸前という時期でした。連載を始めるのは良いタイミングだったとは思います

―取材はどのような形で進められていたのでしょうか

加納:塾の講師の方々に色々なお話をお聞きしています。漫画の中の塾は、色々な塾の特徴がまぜこぜになっていますので、ひとつの塾をモデルにしているわけではありません。中学受験経験者の方に当時の実際の成績表を見せて貰ったりもしましたね。その方は模試で麻布合格率80%をとっていて、おおっと思いましたね。

我が子を中学受験させるのか?迷う親に塾講師・黒木が投げかける言葉は?刺激的なセリフの連続に息を飲みます。(c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中

芸術やスポーツに打ち込むように、勉強に打ち込む世界があっていい

―「二月の勝者」の中で一番伝えたいと思われたことは何でしょうか。

加納:塾に一生懸命通う親子のイメージというと、親が中学受験を決めて子供が塾でしごかれているとか、親が高級車で塾の送り迎えをしているとか、少し揶揄される風潮もあるように思います。でも、実際に取材で中に入ると、スポーツや芸術と同じように、子供達が夢中で勉強に打ち込んでいます。例えば、土日も長時間勉強しているというと、親が無理やり勉強させているような感じがしませんか?でも、スポーツに長時間打ち込んでいると褒められたりしますよね。子供たちにも個性があって、その個性に勉強が合っている子達もいるんです。それが素直に認められる世界があっていいじゃないかと。そこは最初からブレない部分ですね。中学受験に対して、揶揄も礼賛もしない立場から描くというのは大切にしています

―実際に、塾に通うのが楽しみな生徒もいますよね

加納:そうですよね。やはり、塾にはプロフェッショナルな講師がいて、話が本当に上手で生徒をひきつけるんですね。そこで、生徒がワイワイ意見を出し合うような活気があったりしますから。

―一般的に、親は偏差値の高い学校を目指させる傾向がありますか?

加納:そうですね。でも、個人的にはその生徒に合った学校に入ることが一番幸せなのではないかと思います。親としては、少しでも高い偏差値の学校に入学させたいと思って受験させることが多いですが、実際にギリギリの成績で入学してしまうと、その後の成績は下の方になってしまうことがあるようです。親としては、なんとなく平均あたりには届いてくれるんじゃないかと想像しますよね。でも、実際にはそういうことにはならないことが多いと取材をしていて感じます。

受験校の決定は、受験生と家族にとって大問題。黒木が打ち出す戦略とは?(c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中

受験生の親の理想的な立ち位置とは

―親がどんな態度で子供と接するのが良いのか、なかなか難しいですね。受験生をどのようにサポートするのが、合格する生徒の親としての道なのでしょうか。

加納:作中でも出ていますが、まず経済的な負担はとても大きいです。さらに日常生活を支えることが多い母親のサポートは重要ですね。これは考え方やかけるコストにもよりますが、勉強そのものはプロに任せて、ただしやっていることを把握しておくのが理想的だと思います。親が子供に勉強を教えると、喧嘩しがちですよね。「この間もこの問題を間違った」というようなことでつい、怒ってしまったりするような。あと、子供って大人から見ると愕然とするような間違いをしたりしますよね。こんな時期に、まだこんな問題を、というような。本当はそれって「あるある」なんですが、親は平常心を失うくらい焦ってしまう。勉強は塾に任せて、親が気を配るべきなのは、食事や健康管理と感染予防対策、受験スケジュールの策定などサポート面ではないでしょうか。皆さん、塾のお弁当は本当に頑張って作られていますね。

母親は女優になったつもりで子供に接する

―子供のやる気を引き出す言葉かけにも気を遣いますね。

加納:これはどの塾の講師の方も同じことを言うのですが、結果を褒めずに努力を褒めた方がいい、と。結果を褒めてしまうと、成績が良くなかったときに子供は、自分は認められていないんだと思ってしまいがちなのだそうです。2月1日の本番まで子供の学力は伸び続けますし、2月1日に解けなかった問題が2日には解けたりもします。子供の伸びしろを信じてあげることが大事なんですね。

(c)高瀬志帆/小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中

―漫画の中には、母親は女優になれという印象的な台詞が出てきます。

加納女優になれというところは、直前期になったら、結果に一喜一憂せず、親は感情を自制して機嫌良く振る舞って、家庭の雰囲気を良くすることで子供のメンタルを支えましょう、ということですね。あとは、他の家の子供を預かっているという感覚でいるのもいいと聞いたことがあります。たしかに人の子供の成績が悪くても怒ることにはなりませんから。

―普段、穏やかな母親でも、受験となるとつい、熱くなってしまう人も多いようです。ストレスを発散することが難しいという声も聞きますが…。

加納:「自分で自分のご機嫌をとれるのは大人の特権です」と作中でも黒木が言っていますが、親はあまりストイックになり過ぎない方が良いと思います。好きなアーティストのコンサートに行くことは諦めないとか。親が上手に息抜きをすることで、子供の環境も良くなる場合もありますので。

― 自分のご機嫌は自分でとる。肝に銘じたい言葉です。子供はもちろん、親もマインドセットが大事になってきますね。

受験生を見守るのは孤独との闘い。『二月の勝者』を味方につけて

加納:教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏と『二月の勝者』とのコラボ本が出ています。中学受験に挑む子どもたちにかけてあげたい100のメッセージと、『二月の勝者』の場面が対応して書かれています。漫画はエンタメなので、あえて全部を言葉で説明しないのですが、この本の中では、教育のプロの文章で綴られているので興味深く読んで頂けると思います。

―漫画を読んでから読むと、より受験に対する知識が深まりますね。最後に、子供の中学受験に向けて努力をされている保護者の方にメッセージをお願い致します。

加納:日本のお母さんたちもとても孤独に戦ってらっしゃる中で、「カッとなったりする自分を責めていたけど、自分だけじゃないんだ」「他の母親達も悩んでいると知ってほっとしました」といった感想が多く寄せられております。 シンガポール在住でなおさら相談相手も少なく大変な思いをされていると思います。
本作はあくまでフィクションですが、読者の皆さんがホッとしたり、気持ちが楽になることで、お子様の中学受験にすこしでも穏やかに落ち着いて臨む助けになれば何よりの幸いです。

―今回は、貴重なお話をどうもありがとうございました。


『二月の勝者−絶対合格の教室−』

第1巻〜第10巻
著:高瀬志帆
中学受験界に現れた最強最悪の絶対合格講師
激変する中学受験界に現れたのは生徒を第一志望校に絶対合格させる最強最悪の塾講師・黒木蔵人!受験の神様か、拝金の悪魔か? 早期受験が一般化する昨今、もっとも熱い中学受験の隠された裏側、合格への戦略を圧倒的なリアリティーでえぐりだす衝撃の問題作!

【編集担当からのおすすめ情報】
大学受験改革(センター試験廃止・大学入試共通テスト新設)や、高校からは受験できない中高一貫校の増加など、これまでの常識が通用しなくなっている激動の受験界。いまや首都圏では4人に1人が中学受験に参加する現在において、中学受験とはどんな仕組みなのか、そして勝利を勝ち取る戦略とは?中学受験塾を舞台に、講師と生徒、保護者の、合格を勝ち取る闘いを強烈なキャラクターと圧倒的なリアリティで描く、時代の要請に応える作品です。

『中学受験生に伝えたい勉強よりも大切な100の言葉』

「二月の勝者」×おおたとしまさ(小学館)
大ヒット中学受験漫画『二月の勝者-絶対合格の教室-』と気鋭の教育ジャーナリストのコラボレーション。「中学受験における親の役割は、子どもの偏差値を上げることではなく、人生を教えること」決して楽ではない中学受験という機会を通して親が子に伝えるべき100のメッセージに、『二月の勝者』の名場面がそれぞれ対応しており、言葉と画の両面からわが子を想う親の心を鷲づかみにします。

【編集担当からのおすすめ情報】
「日々、努力を続けるわが子に、どんな言葉をかけてやれば良いのだろう」。中学受験生の親たちの、そんな悩みに応える一冊。コミック「二月の勝者」(小学館)と併せてお楽しみ下さい。

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YUKI KAMIO

この記事を書いた人

YUKI KAMIO

横浜出身 美大デザイン科卒業後、航空会社CAを経て出版社へ 人気女性誌での企画・執筆・商品企画を10年間担当 日本ソムリエ協会ワインエキスパート