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<禁忌事項が15個も>8月半ばから話題になる「ハングリーゴースト」とは?シンガポールの“お盆”を解説

ハングリーゴーストは魂を供養する儀式

中華系が多く住むシンガポール。中国では、旧暦の7月(2020年だと8月19日〜9月16日)は、親縁がいない死者の霊が、地上に降りてくると考えられています
その霊がいろいろと悪さをしないように、お供え物をしたり、禁忌事項(タブー)を避けたりすることで、霊を供養し鎮めることができると言い伝えられています。

ハングリーゴーストはその名前の通り「お腹を空かせたお化け」なので、お供え物をするということです。

お供え物は果物

この時期になると、街中で簡易的な祭壇をよく見かけます。一般的には、祭壇には、ミカンと線香、それに紙幣を模した紙束が供えられ、紙束は燃やされます。変わったお供え物として、宝石や時計などが置かれ、自分がいずれ行くと考えらている死後の世界での物欲が満たされるように、と祈願します。
シンガポールの街中(だけでなく中華圏全体も?)が、煙たくなるのは至る所で紙束が燃やされるからです。

15項目も!この時期にやっちゃいけないこと。

このハングリーゴーストが街を彷徨う時期には、禁忌事項(タブー)がいくつかあります。

1、ご飯にお箸をさす
理由:霊がお供え物と間違えてしまうから。

2、夜に洗濯物を干す
理由:徘徊している霊たちがその服を着て、家の中に入ってきてしまうから。

3、水際に近づく
理由:溺死した霊に引きずりこまれてしまうから。

4、虫を殺す、特にあまりに見ない虫
理由:その虫たちはもしかしたら挨拶に来たご先祖様かもしれないから。

5、黒いマニキュアをする
理由:霊は黒色を好むため、不必要な霊たちからの視線を集めてしまうから

6、暗い場所に近づく
理由:暗い場所は霊が好むので、霊と出逢わないため。

7、夜遅くまでの外出
理由:霊の世界に連れて行かれてしまうから。

8、夜更かしをする
理由:夜は霊たちが取り憑くのに格好のタイミングだから。

9、家の中で傘をさす
理由:霊を家の中へ呼び込む可能性があるから。

10、ハングリーゴースト用のお供えを踏む、もしくはまたぐ
理由:お供え物は霊たちを喜ばすためのものだから。

11、不動産・車の購入
理由:霊たちは人の幸運を好まないため、不運を呼び込むから。

12、引っ越しする
理由:”これからも一緒にいよう”というメッセージを霊に送ってしまうから。

13、結婚
理由:意地悪な霊たちによって、結婚を失敗に陥れられるから。

14、旅行
理由:この時期は霊たちが徘徊する時期で人間たちの旅の時期ではないから。

15、人を罵ったり悪口を言う
理由:徘徊している霊たちを傷つけてしまうから。

さらに、ハングリーゴーストの時期には、特にチャイナタウンで京劇や歌謡ショー、オークションなどが開かれますが、そのイベント会場では、最前列を空けておくという不文律があります。それは、霊が座るからという理由。ユニークですよね。

新型コロナの影響でイベントもオンラインへ

2020年のハングリーゴーストは、新型コロナウイルスの流行によって、シンガポール政府がイベントの開催を規制したため、オンラインに移行するようです。
トアパヨにある、Seu Teck Sean Tong寺院の屋外駐車場では、例年であれば、お供え物と祖先の銘板でびっしりと埋まりますが、今年はその光景は見られません。

また、ソーシャルティディスタンスを守るために、寺院の受け入れは通常時の半分以下の1日400人に制限されています。9月6日の中元節の祈りには、例年であれば10,000人の信者が祈りを捧げますが、今年は数人の代表が祈るだけとなっています。8月30日から9月1日の間に行われる寺院主催の”歌台パフォーマンス“はオンラインで開催されることとなりました。

中国系シンガポール人のTeoさんにインタビュー

友人のTeoさんに聞きました。

「毎年のこの時期のハングリーゴーストでは、初日(2020年は8月19日)の朝に寺院に行き、線香を購入します。そして、自宅前に祭壇を設けて線香やフルーツ、お菓子を供え、その周りにはお金を模した紙束を置いて燃やします。本来は霊たちによるいたずらを避けるためですが、実際はこのお供えをすることによって無病息災やビジネスの成功を祈っています。

私が幼いことからハングリーゴーストのこの習慣があり、この時期の一大イベントとして、親戚一同楽しみにしていたのに、今年はそれが縮小されてしまって残念です。

中国仏教の信者でなくても、街中でお供え物を見たら手を合わせてくれると嬉しいですね。」

ルールに従いながらも楽しめるように即座に対応をする姿、素晴らしいですね。宗教的イベントもオンライン化していますが、パソコンを持っていない世代の方も伝統的な宗教イベントを楽しむことができるよう、テレビでも同じくらい盛り上がることを切に願います。

フィントリリス彩花
この記事を書いた人
東京生まれ・東京育ち。ツアコン、山ガイド、米国ディズニー、ニューヨーク勤務を経て、結婚、出産し、シンガポールへ移住。 現在は2児の母。 人と話すこと、書くことを生きがいとしており、私の文章を通して皆様の世界が広がりましたら本望です。