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フィリピン人メイドの女性に逆転無罪:キャッシュカード窃盗?性的関係の対価?

シンガポール高等法廷は10月30日、当時89歳の雇い主ヨン・チョーン・ヒョン氏のキャッシュカードと、その銀行口座から計8,000シンガポールドルを盗んだとして懲役12カ月とされていたフィリピン人メイドの女性ポートラ・ヴィルマ・ジメネスさん(50)に対し、無罪判決を言い渡しました

検察側と弁護側は、現金が引き出されたこと自体は争っていませんでした。しかし、検察側はジメネスさんがカードを盗んで現金を引き出したことをヨン氏は知らなかったとする一方で、弁護側は、雇い主との性的関係の対価として引き出しを認められていたと主張しました。

高等法廷のチュア・リー・ミン判事は双方の主張を聞いたうえで逆転無罪を言い渡しました。ジメネス氏の弁護人によると、チュア判事は、ヨン氏がカードを渡していたのではないかという合理的疑いが晴らされていないとして、検察側の主張を認めませんでした。

ジメネスさんはヨン氏のもとで2015年12月から2017年4月まで働いていました。ヨン氏の妻は認知症があり、車いすを使っていました。ジメネスさんは夜間もヨン氏の妻の世話ができるよう、夫妻の部屋に入ることが許されていました。このため、検察側は、ジメネスさんが、ヨン氏が引き出しにしまった財布の中からカードを取り出せたと主張。さらに、ジメネスさんは2枚のカードに共通する暗証番号も知っていたと指摘しました。ジメネスさんは夫婦と一緒に日用品の買い出しによく行っており、支払の際にヨン氏が暗証番号を打ち込むところを見ていたはずだという論法です。

ヨン氏は、不審な引き出しに初めて気付いたのは2017年の2月に、1月分の支払い明細を受け取ったときと述べています。2月上旬にシンガポールの銀行「UOB」を訪れた際に、引き出された金について問い合わせ、22日に警察に被害を届けました。

一方の弁護側はヨン氏の説明に異を唱えました。彼らは性的関係の対価の引き出しのためにヨン氏がジメネスさんにキャッシュカードと、暗証番号を書いたメモを渡していたと主張。ヨン氏がジメネスさんの胸や下半身を触るたびに500S$を払うことに合意していて、4回にわたってジメネスさんに支払いがあったというのです。また、ヨン氏は性行為の対価として2回支払いをすることに合意したとも主張します。さらにヨン氏が現金の引き出しについて発覚した際に家族に嘘をつき、辻褄をあわせるために被害届を出したのだといいます。

ジメネスさんを有罪とした一審の判事は、ジメネスさんの主張には一貫性がないと判断。例えば、ジメネスさんが現金の引き出しについて4回分しか覚えていないと主張する一方で、監視カメラには、8回引き出している様子が写っていました。また、ジメネスさんはATMの使い方が分からないといいながら、彼女自身のDBS口座とカードを持っています。

ジメネスさんの弁護人によると、二審のチュア判事はヨン氏が警察への被害届を3週間遅らさせている点を重く見て、一貫性がないのはヨン氏の方だと判断しました。

ジメネスさんの無罪判決は、同じく雇用主からの窃盗で逆転無罪となったケースと比較され、インターネット上で関心を集めています。

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