駐在夫、子を育てる-23- 読み聞かせ
これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。
赤ちゃんに絵本を読んであげる「読み聞かせ」。いつからすればいいのか、読み聞かせをおろそかにすると赤ちゃんの言語の発育に影響がある、などという危機感の下、生後7ヶ月を過ぎたころ、モモタ(仮名)に読み聞かせをしてみた。
インターネットで調べると出てくる「読み聞かせ」の情報はこんなイメージだ。ちょこんと座っている赤ちゃんの隣にお母さんがうつ伏せで寝そべり、お母さんが読む絵本を笑顔で見入っている赤ちゃん。とても平和である。だが、このイメージはあくまでイメージで、現実が惨憺たるものである。
読み聞かせをすることで、赤ちゃんは目と耳から文字と言語の情報がインプットされるので、言語機能を司る脳の部分を刺激する、らしい。それはそれで、いいものの開始する月齢は教育者によってまちまちで「0歳から行うべき」「1歳を過ぎてからからでいい」などと分かれている。
できることなら早い時期から始めるか、ということで、7ヶ月のモモタにも読み聞かせをやることに。妻が挑んだ。手にした絵本は、シンガポール日本人会で開催されていた古本市で売っていた$1のもの。ページを開いて「さぁ音読をしよう」と始めた矢先、座っていたモモタは、身を乗り出し絵本を手で激しく叩き始める。静止する妻の手を振り払い、バンバンバンバンと一心不乱に叩き続ける。終いには、ページの一部をちぎってしまった。絵本に何か恨みでもあるのだろうか。
あえなく読み聞かせは中止。その後何度か試みるものの、毎回同じ結果となり、我が家では「読み聞かせはしばらくやらなくていい」という方針が立てられた。読み聞かせでちゃんと大人しく座って聞いている赤ちゃんは本当にすごい。そんな赤ちゃんは存在するんだろうか。それとも、もっと高い絵本だったら聞いていたのかな。駐在夫の私がもし乳児教育を語るのであれば「読み聞かせは意味がない。本人が求めたらやればいい」との見解を述べるだろう。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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