駐在夫、子を育てる-28- ごはん

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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お風呂や寝かしつけ、おむつ替えなど、日々行う息子・モモタ(仮名)の世話はさまざまあるけれど、そのさまざまの中で群を抜いて手が掛かり、そして疲労感が押し寄せるのが、ごはんを食べさせること

生後9カ月を過ぎてから離乳食を本格化させた。昼と夜の2食を離乳食にして、あとはミルクやおやつで補うといった食生活だ。保育園へ通う平日の昼は保育園にお任せなので、平日は夜ごはん、保育園のない土日は昼ごはんと夜ごはんが離乳食の時間だ。

そこで思い知らされるのが「ごはんを食べるという行為がこんなに難しいことだったとは」だ。スプーンを使うなんてまだまだ先の話。なので、親がごはんを口元に運ぶのだけれど、それで満足するようなモモタではない。「自分で掴んで食べたい」欲求が爆発する。手づかみしやすいように、なるべく周りを汚さないようにと、食べやすいように千切った食パンや茹でた野菜スティックをお皿に盛る。が、そんな親の願いはすぐに儚く霧消する。

すぐに口の周りは食べ物でベトベトになるし、食べカスに意志があるかのように受け口が広い前掛けにも収まらず、床に飛び散る。手にかぼちゃのおやきが付着したまま、顔を拭おうものなら、まつげや耳にもおやきの残骸が。どこかの民族の化粧のように顔が黄色く装飾される。

食べ終えたモモタの周辺はまさに悲劇的で、片付けのことを考えてぐったりする我々夫婦。対照的に、お腹いっぱいで満足そうに笑っているモモタ。そこで感じる疲労感は独特だ。

「食べるって大変な技術が必要なんだな。そうだよなぁ、大人でもキレイに食べるのって難しいもんなぁ」との考えが頭をよぎる。

さらに離乳食で悩まされるのが、適量が不明なこと。サンドイッチ用の耳なし食パン1枚、茹で野菜、キューピーのパッケージになったお弁当一食分、そしてヨーグルト。大人でも腹八分目になりそうな分量をひたすら食べる。心配になるぐらい。そして翌日、うんちとして排出される。多い時で4回も。彼はうんちのために食べているんだろうか。

ただ、離乳食が始まっての希望の光も。離乳食作りは、普段料理をしない妻の役目。その妻が「料理するのって楽しいかも」と言ったことだ。その調子で、料理に目覚めてくれないだろうか。切に願う。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポールライフをもっと楽しく豊かに、をコンセプトに、在留邦人や短期滞在者、またシンガポールに興味がある方に、実用的で生活に役立つ情報を提供しています。