和牛の鬼軍曹に聞いた。和牛の美味しい見極め方&食べ方のススメ

シンガポールでも大人気の和牛。島内にも国内外の焼肉店や精肉店、卸売業者などが多数揃っているが、その中でも「和牛の鬼軍曹」と呼ばれる男がいる。今回は、S FOODS SINGAPORE Director & Sales Managerの小西隆介(こにし・りゅうすけ)さんに和牛の魅力をこれでもか!という位熱く語って頂いた。美味しい肉の見極め方や肉の魅力をより引き出す焼き方も伝授して頂いたので、お肉好きは要チェック☆

こてっちゃんと神戸牛が代名詞の和牛業界No.1エスフーズ!

弊社は、食肉産業の最上流である家畜の生産から、食肉の卸売、食肉加工品の製造を経て、裾野の食肉の小売・外食までを一貫して手掛けており、調達先のみならず、販売先も国際的な繋がりを持っています。和牛輸出量は業界No.1で、海外では、シンガポール以外にもアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、香港、台湾、韓国、タイなどにも支社及び関係会社があり、更にパートナーを世界中に持っております

シンガポールでは唯一の「Farm to Table(牧場から食卓まで)」をコンセプトに「中間業者一切無し」の新鮮な(神戸牛だけでなく)日本全国の自社黒毛和牛40,000頭から、シンガポール需要に合わせたものを厳選し、提供させて頂いております。また、兄弟会社の島内レストラン「平城苑」「牛陣」「肉食堂」にも直接供給をしております。

小西さんは、なぜ「和牛の鬼軍曹」なんですか?(笑)

来星して4年になりますが、「来星直後から契約をどんどん決めていき、エスフーズを短期間でシンガポール和牛業界でNo.1にし、知名度を定着させる」という結果を出しました。これは徹底した現地社員の営業教育の賜物であります。しかし、その教育方法が甘くないこと、和牛愛が強過ぎること、更にそれに輪をかけて声と体格が大きい為、現地スタッフに徴兵時代の上官を彷彿させたようですね(笑)

厳しくも的確なスタッフ向け指導をされたんですね。

私の教育方法は多少厳しいかもしれませんが、分からないことや、決断に迷ったら夜でも土日でもいつでも的確なアドバイスをする「熱血男 松岡修造スタイル」を貫いております。基本的に肉好き以外は営業に雇わない為、信頼関係を築き、独り立ちするまでしっかりサポートをしてあげれば、肉好きの彼らはどんどん伸びていってくれます。また、お客様も基本的に和牛好きなので、自社牧場から持っている我々エスフーズの黒毛和牛の生の情報/知識は、前のめりになって聞いて頂けます。お客様も消費者様にその内容をそのまま伝えられるので(笑)

話は変わりますが、和牛の魅力って何でしょう?

まず柔らかさ。そして、サシの甘みですね。肉の融点が人間の体温より低いので、口に入れた瞬間に舌の上で溶けて感じる味と、ふわっと鼻まで上がってくる和牛香(ナッツのような香り)が感じられて美味しさが引き立ちます。栄養面で言えば、和牛肉からはタンパク質と鉄分がしっかりとれ、和牛脂はたっぷりオレイン酸を含んでいる為、血管壁のHDL(善玉)コレステロールは下げずにLDL(悪玉)コレステロールだけを減らしてくれる働きがあります。こんな肉は外国産牛にはない為、美味しさだけでなく、栄養面でも世界的に人気が高まっています

ここから実践的なお話を伺います。まずは「和牛の美味しい食べ方」を教えて下さい。

シンガポールあるあるなのですが、焼き肉店で和牛をオーダーすると、カットされたカチカチの冷凍肉が出てくるケースがあります(本来なら前日にでも冷蔵庫に移動させ、じっくり緩慢解凍したものを当日にカットしてお客様に提供すべきなのですが…)。これをすると肉の繊維が破壊されたままで網の上で焼かれることになってしまう為、大量のドリッピングと一緒にうま味が逃げてスカスカになり、弾力も柔らかさもない肉になって、肉本来の美味しさが味わえないんです。

そういう場合、どうすべき?

明らかに冷凍肉の場合は20-30分ほど(焼かずに)待ちましょう。本来なら事前に緩慢解凍された肉を出すべきなのですが、それが出来ていないのであれば、和牛を食べた時の感動を存分に味わう為に「お待たせ致しました!」と肉表面が潤ってくるまで待っちゃいましょう。

なるほど。では、美味しい焼き方のコツを教えて下さい。

和牛に関しては出来るだけ高温で焼きます。網の一番高温の箇所に当てて表面を一気に焼いて、うま味を閉じ込めるのが重要です。じっくり時間をかけて焼くと和牛のサシの融点は特に低い為、焼けば焼くほど溶けてしまい、肉汁と一緒にうま味が逃げてしまいます。和牛の場合、中身は半生位でも問題ないです。焼肉なら時間配分は片面7割、ひっくり返して3割位のイメージです(肉汁が表面に浮いてきたらひっくり返す合図)。表面をさらっと焼いて、中はジューシーなまま口まで運びます。そうすれば、あとは口の中で和牛香(ナッツのような香り)が鼻にまでふわっと上がってきて、しっかり感動して頂けると思います!

※基本的な話をすると、牛は肥育環境や体質から牛肉の中には寄生虫や菌は存在しないのですが、牛肉の表面には製造・調理工程中に菌が付着してしまいます。その付着している菌を死滅させる目的で表面を焼くイメージを持ち、必要以上に焼いて肉汁(うま味)を逃さないことを心掛けて頂ければ幸いです。

薬味についてもこだわりが強いとか?

肉のうま味をひきたてる名脇役の「薬味」も順番が大事。和牛にはいきなりタレをつけないで下さい。最初からタレをつけると(タレの味の方が強いので)せっかくの本来ある肉のうま味が感じられなくなってしまい、本当に勿体ないです。まず軽く塩をつける位にして、素材だけでも十分に美味しい和牛をまずは味わって下さい。そこから徐々に味の強い薬味に変えて、最後まで飽きずにお肉を色んな角度から楽しんで頂ければと思います。

さすが和牛愛が強いだけに、こだわりも半端ないですね!そもそも何がきっかけでエスフーズに入社され、和牛にハマったんですか?

父親が焼肉店を関西中心に約60店舗ほど展開していた為、子供の頃から新しい店舗が出来たら連れていってもらうなど、昔から自然に和牛、国産牛、外国産牛を食べられる環境で育ちました。当時子供だった私でも明確に分かるほど、和牛には別格の感動がありましたので、私にとってはいつハマってしまったのかも思い出せないほどの存在です。

そこからオーストラリア留学時代にクイーンズランド州にあるエスフーズの提携会社Beef Cityという1日900頭を屠畜する規模の大型パッカーに履歴書を片手に飛び込み、当時英語は全然ダメでしたが、体格とやる気で採用され、小腸担当のブッチャーとして働かせて頂いておりました。実は、、、そこで私が日々900頭捌き続けておった小腸こそがエスフーズの代名詞「こてっちゃん」でした(笑)それがエスフーズとの運命の出会いですね。

和牛への溢れる愛が伝わりますが、小西さんは和牛を食べることと、この仕事、どちらにより魅力を感じているのでしょう?

どちらもたまらなく好き』です。私は牧場から食卓に届くまでの全工程を経験させて頂きましたので、海外の大規模生産方式とは違い、日本の牧場が1頭1頭に愛情をたっぷりかけて育てていることも知っていますし、和牛の全ての部位を美味しく食べる方法も知っています(和牛脂さえも加工品にするので無駄にしません)。 昔はただの和牛好きだった大阪の少年が、「好きこそ物の上手なれ」で、今では和牛生産者側として、その経験を海外で広くシェアし、和牛を通して社会貢献できているのがたまらなく幸せなんです!

世界的にコロナの影響を受ける中、今後はどういう目標をお持ちですか?

有難いことに弊社は今の状況下でも売上に影響を受けておりません。こういう状況下でこそ本物が残ります。弊社は常に本物を追求して活動してきているので、(取り巻く環境は変われど)本質的なことは変わらないと考えています。今後は、弊社の地位をASEANでNo.1にし、更に確固たるものにすべく激しく燃えていきたいと思います!

※エスフーズの「牧場から食卓まで(Farm to Table)」コンセプトの和牛を「メーカー直価格」でご購入されたい方は、リンク【Yakiniku Plaza by S Foods】にアクセスしてください。

小西隆介さん:エスフーズ シンガポール支社 Director & Sales Manager。 焼肉レストランを経営していた父親の影響により、幼少の頃から和牛が一番の大好物。日本、アメリカ、オーストラリアにて牧場・屠場を経験し、それぞれの肥育・屠畜方法の違いを学び、2018年よりエスフーズ本社からシンガポール支社に赴任。シンガポールを拠点にASEANエリアを舞台にして、和牛販売と同時に和牛啓蒙活動を行う。2004年立命館大学卒業。趣味は筋トレ(ベンチプレス自己MAX130kg)と、和牛の部位食べ比べ(ロース、ヒレ等の高級部位だけではなく、他の部位もそれぞれの特徴を活かした利活用にて美味しく食べ分ける)。

この記事を書いた人

Rie

シンガポール在住8年目。ワインと美食をこよなく愛し、日々ワインを楽しむ一方、筋トレも欠かさず行う。“ワインと美活“のスペシャリスト