世界で壁画を制作するアーティスト 共同制作と個人制作の両軸をライフワークに

世界で活躍している壁面アーティスト、ミヤザキケンスケさんがEIS international Pre-schoolで壁画を制作されました

あいのりやNHKでの作品制作、東北や世界各地で壁面など制作に関わるミヤザキさん。シンガポールには2011年から関わり、その様々な活動についてお話を伺いました。

ミヤザキケンスケさん…1978年生まれ、佐賀県出身。筑波大学芸術専門学群、大学院を修了後、渡英しアート制作を開始。2011年に東北での制作活動、世界中で壁画を残す活動「Over the Wall」を立ち上げ、ケニアや東ティモール、エクアドル、ウクライナなどで現地の人々と共同で制作している。

Eisでの壁画制作

SingaLife編集部
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今回EIS international Pre-schoolで壁面アートを制作された経緯を教えてください。

以前、園長の峯村先生から園舎の壁面アートの依頼を受けて描いたのですが、幼稚園が移転したことで壁画がなくなってしまったため、もう一度描いてほしいとのことで今回も描かせていただくことになりました。去年個展に来ていただいて、同じ形で描いてもらえたらとお話をいただいて。

今回はEISのものに加えて、Kidzrooの方にも絵を描いて、EISの子ども達とは共同制作のワークショップもさせてもらいました。

SingaLife編集部
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作品制作はワークショップの形でもされているのですね。

1人単独で制作するものとワークショップでの共同制作と、半々くらいです。1人でやるのは年に一度の個展のための制作で、共同制作はそれ以外の活動になります。

共同制作は自分とメンバーで作りあげたものですが、作り手として100%自分の作品として責任があるのは1人で作る方で、どちらも自分にとっては必要で醍醐味のある活動です。単独での活動でクオリティをあげて、ワークショップの方の作品に還元していくという形で両方バランスを取ってやっています。主に共同制作はOver the Wallが活動のメインで、一番時間を費やしていると思います。

東北、世界での制作活動

SingaLife編集部
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Over the Wallの活動はいつからスタートしたのですか?

最初のきっかけは、東北の震災後に行った活動です。2011年の震災があった後、何かできることはないかと被災地の避難所で絵のワークショップや壁画プロジェクトを行いました。

その避難所がシンガポールの学習塾Komabaの石川晋太郎先生の地元に近く、知って頂いたのをきっかけに一緒に被災地支援をさせていただくことになりました。それが「結プロジェクト」として、東北の子を中心とした日本の子とシンガポールの子とで短冊に願い事を書いてもらい、全ての短冊で七夕飾りをしたというものでした。

合計約4000枚の巨大な七夕飾りで大船渡の七夕まつりを2012年7月7日に開催しました。

SingaLife編集部
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その後、Over the Wallでどのような活動をされましたか?

しばらく3、4年東北で活動した後、Over the Wall のオファーとして最初に行ったのが2014年のケニアです。2016年には東ティモールの国立病院で、2017年はウクライナの難民のために壁画制作をしました。

去年2018年には、エクアドルの女性刑務所に行き、そこの受刑者の子ども達の保育施設で受刑者の母親と一緒に壁画を制作しました。去年そこでの制作を決めたのは、刑務所でボランティアしていた日本の方から紹介をされて行くことにしました。

真っ白な壁に、1人一輪の花を描いてもらい、2週間で壁画が完成しました。ちょうど日本との友好記念100周年でもあり、子供たちとバスに絵を描くプロジェクトも並行してすることができました。両方であわせてひと月で完成できました。

SingaLife編集部
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毎回活動で思い通りに行かないこともありますか?

現地に入る前に担当者と連絡は取り合いますが、行ってみたら材料がない等色々あります。基本的に仕事ではなく、下見にはいく予算も時間も取らないので限られた中でベストをつくすというやり方です。

あとは、東ティモールに行った時に、ワニでできた伝説があるということで、ワニを描いていたら、現地の人にとっては神聖なものなので、怖がられてもいて描き直したり。現地の人の反応を見て描き直すことは今までも何度かありました。あくまでこれは仕事ではなくボランティアで、自分の制作活動の一環として、一生涯このスタイルでやっていきたいと思っています。

SingaLife編集部
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そのスタイルが決まった時はいつ頃ですか?

2014年のケニアの壁画プロジェクトの時ですね。それまでは1人で基本やっていたんですが、当時初めて手伝ってくれたメンバーがすごくいい仲間で彼らとやり始めたのがきっかけです。その頃に子どもが生まれたのですが、子どもを持つこともきっかけになり、自分のプライベートの活動は年一度にしようと決めました。

メンバーは約20人で、月に一度ミーティングをして皆で行く場所を相談しています。毎回テーマを変えてやっています。

SingaLife編集部
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世界に興味を持ったのはいつからですか?

最初のきっかけは、高校3年生になる前の春休みに1人でヨーロッパ旅行をした時です。孤独な旅ではありましたが、行ったことで自信にもなり、日本との景色の違いや感じたことを日記やスケッチに描いたりしました。海外との原点で、頑張って勉強して仕事にしようと思いました。

SingaLife編集部
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その次の海外との接点は?

大学院に入る時に一番好きなアーティストに会いにニューヨークに行きました。そこで手伝いをひと月させてもらいました。その次が「あいのり」の出演です。

SingaLife編集部
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「あいのり」では絵を描きながら海外に行けると思って参加されたとか?

そうなんです。大学院卒業のタイミングでしたが、学生のうちにできることをしようと思ったのと、すぐ絵描きになる自信もなかったからというのもあって、参加しました。2004年のことですね。行っていた期間は3ヶ月くらいで絵を描く作業にほぼ時間を費やしていたと思います(笑)。最後にフィリピンの孤児院で壁画を描いたことがいい経験になったと思います。

子連れでの仕事、シンガポールという国に思うこと

SingaLife編集部
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今回お子さん連れで来られていますが、2週間滞在されてどうでしたか?

今回、上の娘(4歳)だけ連れてきていて、もともと新しい環境に馴染みやすい子なので、日本じゃない場所に連れて行きたいなという思いがあり、仕事の現場も今回幼稚園だったのもあって、受け入れてもらえたという感じです。

最初は緊張もしたようですが、乗り越えたようで今は楽しそうです。日本でも現場によく連れて行って、仕事しています。

SingaLife編集部
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お子さん達への教育方針はありますか?

やりたいことが見つかればそれを応援したいですね。それを見つけられる環境にしてあげたいとは思います。選択肢を増やしてあげたいと思うので、妻との話し合いで、色々な場所に連れて行ける環境が自分にあるので、国外問わず様々なところに連れて行きたいと思っています。

今回シンガポールに来て発見したことは、父1人子1人だと周りから心配されるのもあるのか、色んな人が手を差し伸べてくれるということです。シンガポールというお国柄もあると思います。凄くそれが有り難くて、自分も楽しいし子どもも楽しそうなのが良かったなと思います。

SingaLife編集部
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これからしてみたいこと、シンガポールでしたいことは?

今までいいタイミングと局面でシンガポールに関われていると思っていて、2011年に来た時はまだ独身で、石川さんとお会いできたのも、お互い色々悩んでいた時期で同世代の人にも会えたりしたので、ここはホーム感があります。

今でも自分の活動をサポートしてくれる人もいるので、Over the Wallとしてシンガポールで活動したり、子ども達とワークショップをしたりなど需要があればやりたいと思います。EISの子ども達と絵を描けたのも楽しかったので、またそういったプロジェクトもやっていきたいです

SingaLife編集部
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読者の人にメッセージをお願いします

日本にいるだけでは得られない環境がシンガポールにはあり、英語だけじゃなく中国語、マレー語も飛び交っていて、すぐ話が通じないという環境は大人にも子どもにもいいことだと思いました。みんな違うことを受け入れる、という感覚を特に子どもの頃から持てるのはいいことですね。

一方で、システマチックで自由な部分があまりなく、フレキシビリティに欠ける部分もあるとは思います。色んな国を見てきた僕から見ても、とても面白い国です。今後の夢として、シンガポールではなかなか難しい、「遊び」の部分を引き出して楽しめるワークショップがここで実現できたらと思っています。シンガポールにいらっしゃる皆さんとそのような機会作れる日が来ることを楽しみにしたいと思います。

《 Over the Wall 》
お問い合わせ
http://world-mural-project.com/
https://www.instagram.com/0verthewall/

この記事を書いた人

SingaLife編集部

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