シンガポール人の価値観 一部で寛容性進むも、“道徳”・“セクシュアリティ”めぐり依然保守的

世界80カ国の国民の意識の変化とその社会政治的影響を調べた“世界価値観調査(WVS)”の結果が2月3日、発表され、シンガポールが初めてWVSに参加した2002年以降、シンガポール人の意識は“離婚”、“安楽死”などに対しては寛容になった一方、“同性愛”、“中絶”などについては、依然として保守的である実態が判明しました。

当地での調査は、シンガポール国立大学政策研究所(IPS)が2019年11月~2020年3月にかけて21歳以上のシンガポール人および永住権保有者(PR)2千人あまりを対象に実施。

“離婚”、“安楽死”、“‎‎婚前交渉‎‎‎‎”について、“正当化できるか”とたずねた質問に対して、「常に正当化できる」と「ほとんどの場合、正当化できる」と「場合によっては正当化できる」と回答した人の割合をみてみます。

離婚:57.1%
安楽死:50.6%
婚前交渉:54.1%
となり、これは2002年の調査時の数字を上回っています。

一方、セクシャリティの分野の“売春”、“中絶”、“同性愛”に関しては、“決して正当化できない”、または“ほとんどの場合、正当化できない”と答えた回答者の割合は、下記の通りです。

売春: 68.3%
中絶: 60.3%
同性愛: 59.3%

さらに、同性愛についても調査しました。“親として同性カップルを好ましいと思うか”という質問に回答した人の割合は、全体の25%強にとどまりました。マレーシアの20.9%、韓国の22.7%は上回ったものの、日本の56.9%、香港の51.5%を大きく下回り、保守的な傾向がうかがえました。

また、“宗教は大切だ”と考えるシンガポールの回答者の割合は、2002年および前回調査が行われた2012年の約76%から65.3%に低下しましたが、“成人した子どもは長年にわたり親の面倒を見る義務がある”という考えに強く同意する人の割合は、中国の98.1%、マレーシアの82.2%に次ぐ、80.8%に達しています。

IPSの調査担当チームは、“男性”、“若年層”、“高学歴層”、“高所得層”が比較的寛容な考えを持つ傾向にあるが、セクシュアリティについては理解を示す人はいずれの回答者層においても少数派だとしています。

近代的なイメージが強いシンガポール社会ですが、人々の意識は意外とまだまだ保守的なようです。


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SingaLife編集部

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