【シンガポール2020年総選挙結果】リー首相率いる人民行動党(PAP)圧勝するも、支持率は前回選挙よりも下回る。

7月10日に投開票が行われたシンガポールの総選挙では、与党の人民行動党(PAP)が、93議席のうち83議席を獲得し、結果としては圧勝したが、得票率61.2%が2015年の前回選挙を下回ったことにリーシェンロン首相は「支持率が予想していたよりも低かった」と悔しさをにじませた。

最大野党の労働党(WP)が前回選挙から4議席を上積みして10議席を獲得したことに対して、リー首相は、フェイスブックに「労働党の健闘を祝す」「国会で論議を交わすのを楽しみにしている」とコメントした。

リー首相は会見で、新型コロナウイルスを乗り越え、景気後退の現状を打破し、景気回復に向けて努めたいと改めて表明。また、今回の選挙結果(支持率の減少)は新型コロナウイルスによって、サーキットブレーカー(CB)やセーフディスタンスによる経済活動・行動制限が課され、それによる将来に対する不透明さ、収入の減少、雇用状況の変化に対する不安が反映されたと総括した。

国民の多様化を求める動き

また、リー首相は「国民はPAPに政治の主導を握ってほしいと思っているが、特に若い世代の有権者は野党の存在を求めている。 シンガポールが更に強固になるには、人民行動党(PAP)がどのような働きをするかだけではなく、10議席を獲得した野党の働きにもよる」と述べた。

今回の選挙で、労働党はAljunied区、Hougang区に加え、新たに加わったSengkang区で勝利を収めており、当選議員は前回の6人から10人に増加。

PAPは若い世代の支持を失った?

メディアからの質問に対しリー首相は、「世代によって政治に求める内容は異なる。すべてを加味して政策を進めなければいけない。最終的には、どの世代の国民にも響くような政策を行う必要がある」

更にリー首相は、これまでの世代が作り上げてきた歴史を踏まえ「批判的に見ながらも、オープンマインドでいてほしい」「自分と関連付けられるものは何か、新しい環境においても意味を持ち続けているものは何か」「親・祖父母世代が築き上げた経験から学んでほしい」と若い世代の人たちへの希望を述べている。

選挙を終えてのこれから

「共に力を合わせて、新型コロナウイルスのパンデミックによる危機的な状況を乗り越えなければならない」

今回24人の新しい議員が選出され、そのうちの二人は単一選挙区から「新人」として出馬し当選している。これに関して、「彼らにチャンスを与えてくれたことに感謝している」とリー首相。

ビジネスコミュニティーに対し、シンガポールは投資価値がある事を今後ともアピールしていきたいとしている。
ヘン副首相は、「雇用の安定、新しい雇用の確保を継続的な目標」とし、その為には「野党は我々と共に協力していく覚悟が必要」と話す。

リー首相は、長年率いてきた4Gチームの最後の引き継ぎの準備期間中に、新型コロナウイルスのパンデミックという大変な局面に直面するとは思いもしなかったが、議員皆の協力の元、乗り越えられると確信していると述べています。

また、「シンガポールを最良の状態で、新政府に引き継ぐ決意でいる。そして、引き継ぎと同時に支障なく機能するだろう」
「政府は、国民と共に新型コロナウイルスのパンデミックと経済の危機的状況を克服し、国民の命・雇用・未来を守っていく」と述べています。

コロナ禍での2020年の総選挙。新型コロナ感染症対策に対して、自信を持っていた人民行動党にとっては、落胆を隠せない結果でしたが、労働党にとっては予想以上の嬉しい結果となりました。また、新人の議員の当選も目立ち、シンガポールの政界に新しい風が吹き始めたようです。

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SingaLife編集部

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