世界最速のスパコン「富岳」 シンガポールの研究者も利用
計算速度などのランキングで世界最速となった日本のスーパーコンピューター「富岳」がシンガポールの研究者にも活用されます。シンガポール国立スーパーコンピューティングセンター(NSCC)と日本の理化学研究所計算科学研究センター(神戸市)、高度情報科学技術研究機構(RIST、神戸市)の合意によるものです。
シンガポールのNSCCは11月30日、このコラボレーションは複雑で大規模な研究が促進するとともに、シンガポールにおける高性能コンピューターのリソースへの要求に応えるものになる、と発言しました。
現在シンガポールでは新型コロナウイルスにかかわる11のプロジェクトが進行中で、膨大な計算処理量がかかっています。
理研に所属し、富岳の設計にも関わった松岡聡氏によると、富岳は新型コロナウイルスに対して有効な可能性がある物質を特定する時間を短縮したり、屋内や電車内での飛沫拡散のシミュレーションをしたりして、日本におけるコロナ対策の道筋をつくっています。
演算性能で富岳は、2位につけたアメリカIBM製のスパコン「サミット」の約3倍の速さがあります。コロナ対策の他にも、天候のモニタリングやシミュレーション、遺伝子の分析など様々な分野で活用できます。
富岳をめぐるシンガポールと日本のコラボは、過去に関係機関が結んだ覚書に基づいています。シンガポールのNSCC幹部は「シンガポールの研究者は、アジアの国々では初めて、富岳の驚くべきパワーに触れることになる」と話しています。
将来的には、研究データや高度処理コンピューターリソースの共有も含め、さらなる連携の可能性もあるといいます。コラボレーションは富岳の活用だけにとどまらず、ワークショップやサマースクールの合同実施、人事交流なども計画されています。
日本側の研究者は「研究機関同士の連携がシンガポールと日本の結びつきを強めるものになる。一緒に取り組むことで、素晴らしい成果を出せるでしょう」と期待を寄せています。
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SingaLife編集部
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