「離婚家庭の子は低賃金」とシンガポール政府機関調査、専門家「要因他にも」と指摘
シンガポール社会家庭振興省(MSF)は12月8日、21歳までに両親が離婚した35歳の人は、両親が離婚しなかった家庭に育った人と比べて賃金が低く、本人も離婚しやすい傾向にあるなどとする調査結果を発表しました。この調査では1979年から1981年の間に生まれたシンガポール人101,180人が対象となりました。離婚が子どもに与える影響が世代をまたいで調査されたのは今回が初めてです。結婚および経済状況を調べるこの調査で、離婚が子に与える長期的な影響が浮かび上がりました。
調査では両親が離婚した家庭の子について、離婚していない家庭の子と比較して
・大学の学位を得る割合が低い
・収入が低く、中央積立年金(CPF)の積立額が少ない
・結婚する割合が低く、離婚する割合が高い
などの結果が示されています。
MSF側は2つのグループには有意な差があるとし「親の離婚という経験は、大人になってからも続くネガティブな影響があります」と話しています。MSFのトップは「今回の調査で離婚が子に与える影響が教育や結婚など長期にわたることが示されました。ゆえに離婚後、離婚した2人がいかに前向きに子育てに協力するかが極めて重要です」としています。
一方で、専門家からは調査結果を慎重に見るように指摘する声も上がっています。
今回の調査からは離婚自体が子どもに悪い結果を及ぼすとは結論づけられない。親の離婚や子の良くない状況に影響を及ぼしうる多くの要素があり、どの要素が影響しているかを特定することはできません。影響を与えうる要素は例えば、個人的な環境や性格などです。子の低賃金などは親の離婚によって悪化していることはあっても、離婚そのものによって引き起こされているわけではありません。
離婚家庭の子が一律に同じように影響を受けているわけではありません。家族以外のコミュニティからの支援で離婚後の悪い影響をやわらげられる可能性があります。MSFは、同居を始めるカップルのための結婚準備や結婚生活における困難を支援するためのオンラインカウンセリングや専門家による支援といった一連のサービスを準備しています。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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