日本企業によるASEAN M&Aの幕開け

中堅・中小企業こそASEAN M&A戦略を実行すべき理由

日本国内経済の長期停滞が危惧される中、日本の経営者は海外市場、とくに成長著しいASEANに目を向けていかなくてはならない時代となった。
中堅・中小企業がASEANの国々に事業を展開する際に有効な戦略がクロスボーダーM&Aである

M&A仲介のリーディングカンパニーである株式会社日本M&Aセンター
海外事業部 ASEAN推進課 マレーシア駐在員事務所 所長 尾島 悠介氏
に中堅・中小企業のクロスボーダーM&Aについて話を聞いた。

尾島 悠介氏

中堅・中小企業こそ、M&Aによって、ASEANに進出するべき

日本国内市場は、人口減少・高齢化等により縮小の一途をたどる状況にある。「今後、企業が生き残るためには、世界規模でのビジネス展開が必須となります。しかし現状、東証一部上場企業の約50%が海外進出を果たしている一方、中小企業は約4%。ほとんどが海外進出を果たせていないのが現状です」尾島氏は語る。

コロナ禍によって、テレワークが進んだことで、距離や国境によるハードルは低くなり、中堅・中小企業経営者が海外に目を向け始めているという。しかしながら、中堅・中小企業の海外への新規進出は、時間がかかる上、人的リソース不足によって難易度が高いと言える。だからこそ、中堅・中小企業の海外進出はM&Aでしかなしえないと尾島氏は語る。

海外M&Aは、現地のマーケットに即座に参入することができ、スピード感ある事業継続・拡大を実現できます。人材やネットワークといった経営資源が限られている中堅・中小企業にとって、M&Aによる海外進出は有効な戦略と言えます。とくに成長・拡大が著しいASEANは、地理的に日本に近く、親日派も多い。人材マネジメントが行いやすいことが利点です」。中堅・中小企業こそ、M&AによってASEAN に進出すべきということである。

増加するASEANクロスボーダーM&A

ASEAN進出の選択肢としてM&A戦略が最も有効だとの認識が急速に広まっている。「M&Aは実際に活動している企業を買うのですから、生産も販売も即戦力の経験者集団と行うことができます。今あるマーケットにダイレクトに参入することでスピード感のある企業成長を可能にする。まさに時間を買う戦略という認識が日本企業に広まっています」(尾島氏)。

一方で、実はASEANの中堅・中小企業も後継者難が深刻な地域が多く、事業の譲渡先を探しており、その相手先として人気なのが日本企業なのだという。
そういった背景から、日本企業とASEAN企業とのM&Aは、じりじりと増加傾向にある。ASEANの国別では、とりわけシンガポール企業への出資や買収が抜きん出ている。次いでマレーシア、ベトナム、インドネシアなどが盛んだ(図1)。

また、日本M&AセンターがASEAN地域で推進しているM&A案件は、成約金額で100億円以下、中心となるのは50億円以下のものであるという。「すでに成約した案件の中には10億円以下のものもたくさんあり、中堅・中小企業でもASEAN企業のM&Aを進めることは十分可能なのです」(尾島氏)。

豊富な情報量でASEAN M&Aを支援する日本M&Aセンター

ASEANの中堅・中小企業とのM&Aは、国内のM&Aと同様、トップ同士の相性が重要な要素となる。そういった意味で、企業同士、また経営者同士のマッチングが非常に大事なのだという。日本M&Aセンターは、2016年にシンガポールにオフィスを開設し、その後、インドネシア・ベトナム・マレーシアと海外拠点を開設している(図2)。

各国でネットワークづくりを進め、ASEAN全域につながるM&A情報網を築き上げているという。日本M&A センターの海外M&A支援について尾島氏は、「現在、シンガポールの40の会計事務所を含めたASEAN会計事務所や仲介会社と提携し、現地でM&Aを希望する企業の情報を共有しています。現地企業の売り希望案件を多数抱え、個々の案件内容の情報量が圧倒的に多いと言えます」と語る。

さらに、「日本M&Aセンターでは、ASEANの売り手企業へ直接アプローチすることを基本とし、人物重視の顔の見えるマッチングに力点を置いています。中堅・中小企業のM&A総合支援企業として約30年間培ってきたM&Aのノウハウがあり、中堅・中小企業のカルチャーや考え方などをM&Aアドバイザーはよくつかんでいます。そのため、日本企業とASEANの企業のM&Aにおいても、最適なマッチングを提供することができるのです」と同社の強みを語った。

業界初「中堅・中小企業向け」海外M&A書籍を発刊

日本M&Aセンターは、中堅・中小企業経営者に向け、ASEANにおけるM&Aという“成長戦略”を示す書籍『ASEAN M&A時代の幕開け-中堅・中小企業の成長戦略を描く-』を上梓した。

同書について尾島氏は、「これまで海外M&Aに関する書籍は、欧米の大企業のM&Aについて、専門家向けに解説する内容が中心でした。中堅・中小企業の“M&AによるASEAN進出”を、経営者の皆様にとってより身近なものとするため本書を執筆しました。ストーリー形式の事例や実際にM&Aで海外進出した企業のインタビューを取り入れ、読みやすさを重視しています」と語った。

また、「海外進出・海外事業の拡大は、日本の中堅・中小企業にとっても、重要な経営戦略の一つになっていると言えます。中堅・中小企業の経営者の方々にこそ、本書を読んでいただき、ASEANのM&Aを疑似体験していただきたい」と同書出版の思いを語った。

ASEAN M&A時代の幕開け
-中堅・中小企業の成長戦略を描く-
[su_note note_color="" text_color="#000000" radius="8"]尾島 悠介(おじま ゆうすけ)
日本M&Aセンター 海外事業部 ASEAN推進課 マレーシア駐在員事務所 所長 兼 シンガポール担当
大手商社を経て、2016年入社。商社時代には3年間インドネシアに駐在。2017年よりシンガポールに駐在し現地オフィスの立ち上げに参画。以降は東南アジアの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援に従事。2020年にマレーシアオフィス設立に携わる。現地経営者向けセミナーを多数開催。
「ASEAN M&A時代の幕開け 中堅・中小企業の成長戦略を描く」編著者代表[/su_note]

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SingaLife編集部

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