シンガポールで1100人超が追跡アプリ・トレース・トゥギャザーの登録解除を要請

シンガポール国内のデジタル技術やデータ活用を推進する政府の「スマートネーション」構想を担当するビビアン・バラクリシュナン大臣は、新型コロナウイルス対策のための追跡プログラム「トレース・トゥギャザー」の利用者1,155人が、同プログラムの登録解除とサーバーからのデータ削除を希望していることを明らかにしました。

バラクリシュナン大臣によりますと、4月末の時点で、492万3054人がトレース・トゥギャザーを利用しており、これは6歳以上の人口の約92%にあたります。

トレース・トゥギャザーは、Bluetooth対応のアプリやトークンを介して、新型コロナウイルス感染者と密接に接触している人々を特定するもの。今年初め、接触者の追跡のみに使用されると保証されていたにもかかわらず、そのデータが犯罪捜査に使用される可能性があることが明らかになり、議論を呼びました。世論の反発を受けて政府は法律を制定し、収集したデータの使用を殺人、テロ、強姦、武装強盗など7つのカテゴリーの重大犯罪の捜査に限定しました。

バラクリシュナン大臣によりますと、登録解除を申請したトレース・トゥギャザーアプリのユーザーには、申請が受理されたことを確認するSMSが送信されます。ユーザーがトークンを返却する場合は、コミュニティセンターでトークンを受け取った担当者が、その場で登録解除の確認を行います。

ユーザーが登録を解除すると、NRICや連絡先を含むすべての登録データが、3~5営業日以内にトレース・トゥギャザーのサーバーから削除されます。その結果、他のトレース・トゥギャザーデバイスとの間でやり取りされていたデータは復元できなくなります。

バラクリシュナン大臣は、トレース・トゥギャザーのアプリをスマートフォンからアンインストールすると、ユーザーが過去に収集したデータもスマートフォンから完全に削除され、25日後にはすべてのデータがトレース・トゥギャザーのデバイスから自動的に削除されると述べています。

しかし、ユーザーが過去に新型コロナウイルス感染者と密接な関連があると認識され、感染者との接触追跡を目的としてデータを政府のサーバーにアップロードしていた場合、これらの記録は保持されます。バラクリシュナン大臣は、「これは公衆衛生上の理由から必要不可欠」として理解を求めています。

シンガポール政府は感染拡大防止のため、トレース・トゥギャザーの使用をより厳格に求めていく最中ですが、今回の登録解除やデータ削除の動きからは、政府によるデータの収集や利用に対して国民の間で依然として懸念があるとみられ、プライバシー保護への配慮に疑問を投げかけています。

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SingaLife編集部

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