コロナ禍で旅行代金などの返金関連の苦情が急増。シンガポール消費者協会が約280万Sドルの回収を支援

シンガポール消費者協会(CASE)は5月31日、2020年にCASEに寄せられた苦情が1万8,335件で、2019年と比べ23%急増したと発表しました。そのうち新型コロナウイルス関連の苦情が7件に1件を占めました

2020年に寄せられた苦情のおよそ半数が旅行業界と航空業界に対するものでした。渡航制限のため、キャンセルや延期せざるを得なかったツアー、フライト、ホテル予約に対して払い戻しされなかったケースが多くあったためです。さらに、キャンセル料や違約金、事務手数料を請求されたり、返金の代わりに後日使用できるバウチャーが渡されたケースについても苦情が寄せられました。

CASEは苦情件数の多い航空会社に対し、バウチャーを使用するにあたり柔軟性を持たせ、使用されなかった場合には払い戻しを行うよう要請。交渉や調停により、航空会社、旅行代理店、オンライン予約サイトから30万Sドル以上が回収されました。

また、2020年のサーキットブレーカーによる外出制限策の影響でスポーツジム、ホテル、医療用消耗品メーカー、ブライダル業界に対しても消費者が払い戻しを求める苦情が増加しました。

サーキットブレーカーの間はスポーツジムを利用できず、緩和後も人数制限があった影響から、消費者の多くが会員権の返金をしてもらうためにCASEへ助けを求めました。このため昨年のジムやフィットネスクラブに対する苦情は2019年から91%増加しました。

多人数の集会を禁止した行動制限により、結婚式などの延期やキャンセルを巡るトラブルも散見されました。ブライダルサロンやホテルの中には予約日の延期やキャンセルに対する返金を認めないケースが発生。消費者が前払い金を取り戻すためにCASEへ支援を求め、9万7,000Sドル以上が回収されました。

一部の店舗やオンラインショップでは、フェイスマスクやサージカルマスク、ハンドサニタイザーなどの新型コロナウイルス関連の医療用消耗品が高額で販売されており、品質や効果についても不満の声が上がっていました。

CASEは、通商産業省およびシンガポールの競争・消費者委員会と緊密に協力して、「利益を得るための不正行為を監視し、警告している」と述べています。昨年寄せられた苦情のうち約70%がCASEのアドバイスや支援により解決され、約280万Sドルが消費者に回収されました。

コロナ禍で規制が強化される中、在宅勤務や家で過ごす人が増え、オンラインショッピングの需要も高まりました。その結果、オンライン購入に関する苦情件数は前年の2,236件から4,366件と約2倍に増加しました。

CASEのLim Biow Chuan会長は、新型コロナウイルスが消費者の購買方法や取引方法に大きく影響を与えたことに触れ、「この困難な時代にあっても、消費者のニーズに応えられるよう努力する。また、購入に際しトラブルが発生した場合に自分を守れる方法を消費者に伝える啓発活動を続けていく」と述べました。

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SingaLife編集部

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