シンガポール上訴法廷 男性間の性行為禁止条項めぐり、「今後も有効だが、起訴には適用不可」との見解

シンガポール上訴法廷は2月28日、男性間の性行為を犯罪行為と定めた刑法第377A項の撤廃をLGBT(性的少数者)の権利活動家、ロイ・タン・センキー氏ら男性3人が求めていた裁判で、原告の訴えを退ける一方、同項は引き続き有効であるものの、合意のうえ、性行為を行った男性同性愛者を起訴するうえで、適用することはできないとの見解を示しました。

男性らは、第377A項は、男性同性愛者間の性行為を犯罪行為と規定しているのに対し、女性同性愛者や異性愛者間の性行為は禁じておらず、あらゆる人々の法の下の平等を保証した憲法に反するなどとして、訴えを起こしていました。

一方、リー・シェンロン首相は2007年に、第377A項に関し、「現状を維持しなければならないが、同項が積極的に行使されることはない」と明言しており、上訴法廷は、同性愛者を社会の一員として受け入れつつ、主流社会の伝統的価値を尊重するうえで、バランスを保つ必要があるとする政府の認識にも言及しています。

判決について、タン氏は、「LGBTコミュニティーにとって、部分的だが、意義ある勝利だ」とコメント。

「377A項を違憲と認めなかった判決は、表面的には失望させるようにも思えるかもしれないが、同項を行使不可とする上訴法廷の見解は、これから先、多くの法的・社会的影響をもたらすだろう」と述べるとともに、377A項を廃止する法案の提出を政府に命じるよう求める申請を高等法廷に提出したことを明らかにしました。

なお、377A項は現在、男性同士がわいせつ行為に及んだ場合、最長2年の禁錮刑を科すと規定しています。

同項をめぐる今後の行方が注目されます。


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SingaLife編集部

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