Aesthete Smilestudioの歯科医Dr.Yumikoが教えます
今注目されている虫歯治療法「Biomimetic Dentistry」をご存知ですか?

以前の記事(歯の健康のために本当に大切なトリック3箇条)では、予防が最も大切!というテーマをご紹介しました。 虫歯を100%予防するのが一番に違いないけれど、実際には難しいことです。

そこで今回は、虫歯になってしまった場合に役立つよう、今注目されている虫歯治療のトレンドについてDr.Yumikoがご紹介します!

それは、Biomimetic Dentistryと世界で共通して呼ばれている虫歯治療法です。今、世界中の熱心な歯科医が続々と導入を始めている虫歯治療方法なので、ぜひ知っておかれるとよいと思いますよ。


Biomimetic Dentistryって?

Biomimeticという造語は ”Imitate Life”、Bio=Life[生きたもの] を、Mimetic=Imitate[まねる]からきています。つまり、もともとあった天然の歯の状態を極力模倣した状態に再現する歯科治療です!

模倣といっても、決して見た目だけではありません。天然の歯のエナメル質や象牙質の、物理的、化学的、そして生物学的物性をも模倣します。つまり、歯の内部の構造から歯をそっくりそのまま模倣し、まるで歯が再生したかのような状態にするのがBiomimetic Dentistryです。


天然の歯を模倣することがなぜそんなに重要なの?

歯は表層にエナメル質があり、その内側の象牙質は外側のエナメルの硬い殼で守られています。さらにその内部には歯髄と呼ばれる歯の心臓部があります。

この状態が一番、歯のホメオスタシスを長く維持することができるからです。

(歯の構造) 

エナメル質、象牙質、そして歯髄



(天然歯の外形)


では、Biomimetic Dentistryによる虫歯治療法について具体的に、そのメリットをご紹介しながら、以下に解説していきますね。

Biomimetic Dentistryの3大メリット

Biomimetic Dentistryによる虫歯治療の3大メリットはこちら↓

①削った断面の完全なシールが可能!→虫歯の再発と再治療が防げる!!
②虫歯だけを限局的に削る!→健康な歯は極力残せる(低侵襲)!!

③見た目がきれい!

ここで従来通りの、「金属インレーを接着剤で歯にくっつける」というやり方を思い出してみてください。

始めはよいのですが、年月の経過とともにこの接着剤は、口の中の水分で 次第に溶解していきます。すると、金属インレーと歯との間にすき間や段差が生じるようになるのです。そして、その間から虫歯菌が侵入していくと、内部で虫歯が再発生したり、もしくは思いあたる方も多いと思いますが、金属インレー自体が突然取れてしまったりするのです。

一方で、Biomimetic Dentistryの場合は、「接着剤でくっつける」という概念がまったくありません。そうではなくて、穴を埋めるコンポジットレジンという材料が「歯と同化」し一体化するので、たとえ年月が経過しても、すき間や段差が生じることがありません。したがって内部で虫歯が再発したり、突然取れてしまうといったことがないのです。

コンポジットレジンの特殊な歯との同化システム

(イメージ)

そもそも、Biomimetic Dentistryという虫歯治療方法が生まれたのは、コンポジットレジンの特殊なシステム開発のおかげです。これには、我が国も大きく貢献しているのですよ。

コンポジットレジンは「接着剤でくっつける」のではなく、一体化する歯の断面とコンポジットレジンが完全に一体化した「Hybrid Layer」を形成します。そこは電子顕微鏡レベルで見ると、歯の表面が細かく柵上にギザギザになり、そこにコンポジットレジンがタグ上に入り込み、お互いが強固に嵌合(かんごう)し合うといった感じになっています。

つまり、歯と詰め物という人工物が、完全に歯と同化し一体化し合っている層を共有するので、金属インレーのように、突然取れてしまったり、内部で虫歯が再発するということがすることがないのです。


Biomimetic Dentistryによる虫歯治療法と、従来の虫歯治療の比較

ではここでわかりやすく、Biomimetic Dentistryによる虫歯治療法と、従来の虫歯治療の比較を、図式を交えながら説明しておきますね。

(イメージ)

Biomimetic Dentistryのメリット従来の虫歯治療法のデメリット
1. 虫歯のみを最小限に削るだけで済む
2. 健康な部分は最大限残す
3. 虫歯の再発を防ぎやすい
4. 詰めたものが取れることが殆どない
5. 治療後の痛みやしみたりが殆ど出ない
6. 詰め物の物性が歯と類似なので、残りの歯や噛み合う歯にやさしい
7. 歯の神経を守れやすい
8. 見た目が美しく仕上がる
9.殆どが、通院回数1回だけで終われる
1. たくさん歯を削る必要がある
2. 健康な歯も便宜的に削る必要がある
3. 再虫歯が出来やすい
4. 取れやすい
5. 治療後痛んだり、冷たいものでしみやすくなる
6.物性が歯とは異なり硬すぎるので、残りの歯にストレスをきたしやすく、対合の歯が磨耗しやすい
7. 神経にダメージを与えやすい
8. 見た目が良くない(金属の場合)
9. 何回か通院が必要



典型的な金属インレーによる治療

長期経過すると境界に段差や間が生じてしまいます。

金属の中はだいたいこんな感じで虫歯になっています


こちらは、Biomimetic Dentistryによる虫歯治療
虫歯部分のみに限局して削る。損色のない部分は残す。

例え神経を抜した場合でも、外側の殻となる歯の部分はこのように温存し、なくなった部分にのみコンポジットレジンを詰めていく。


エナメルを大きく喪失している場合には、この上からセラミックをエナメルに似せてつける場合もあります


Dr. YumikoはBiomimetic Dentistryに基づいた歯にとってもやさしい治療を行います

Biomimetic Dentistryはコンポジットレジンの歯との特殊な一体化システムにより、将来虫歯の再発を極力防ぐ虫歯の治療方法です。とはいっても、ただ単にコンポジットレジンを詰めればいい、といったシンプルなものでは決してありません!Biomimetic Dentistryの効果を発揮するためには、科学的に実証 されたその治療手順方法の知識を正しく理解している歯科医が、そっくりその通りに治療を実行する必要があります。

また、コンポジットレジンを穴に詰める際には、それが段差やすき間なくきちんと緊密に詰められているかを、5x~8xの高拡大視野で確認しながら詰めていく必要があります。肉眼だけでは、ほんの小さな段差やすき間は見えませんからね。でも、私たち歯科医が戦っている相手はお口の細菌なので、高拡大視野で作業を行わなければダメなのです。そしてまた、歯科医の手先の繊細さやセンスにも、治療の効果は大きく委ねられてしまうものなのです。

ですから、”されど虫歯の治療”といえども、こうした学術的に正しいと証明された治療方法で虫歯治療をされるのとされないのとでは、その10年後の結果は大きく変わってくるという事です。されど虫歯治療といえども、歯科医を選ぶ!という必要性があるということですね。

Dr.Yumiko @Aesthete Smilestudio では、皆様の大切な歯のために、こうした歯にとって最もやさしい安心の、将来をも見越した、学術的に正しい虫歯治療を実行しています。

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●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。



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この記事を書いた人

SingaLife編集部

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