シンガポールへの移動で気をつけてもらいたいことについて日本メディカルケア・家庭医の佐藤先生に伺いました

海外赴任や長期滞在、留学などでシンガポールへ移動する際、どのような準備をしておくべきか気になる方も多いのではないでしょうか。 日本とは気候や生活環境が異なるため、健康管理や予防接種、慢性疾患の対応など、事前に確認しておくべき点がいくつかあります。
そこで、日本メディカルケア・家庭医の佐藤先生にお話を伺い、シンガポール移動時に気をつけるべきポイントについて詳しくご紹介します。 シンガポールでの生活を安心してスタートできるよう、ぜひ参考にしてください。
![]() | 佐藤健一医師 札幌医科大学部卒/日本プライマリ・ケア連合学会 専門医/指導医/College of Family Physicians Singapore 会員/日本リハビリテーション医学会 会員。 日本で約15年間家庭医として勤務する傍ら、指導医として後輩医師の育成にも取り組む。外来では幅広い年齢の方の様々な疾患の診療を行ったり、乳幼児健診、子育てへのアドバイス等も行っている。 |
2011年来星、日系クリニックで勤務後、2019年日本メディカルケアーに着任。高齢化医療に関する知識や技術を共有する取り組みも行っている。
Q:新型コロナの状況はどうでしょうか。
シンガポールでは「新型コロナ=普通の風邪」、という扱いになっており、外来診察で検査はほとんど行いません。簡易検査キットを薬局で購入してご自身で検査することになります。新型コロナ用の内服薬も入院が必要なほど重症な状態でなければ処方されることはありません。
感染対策も個人の判断に委ねられており、街中もマスクをしていない方が大部分です。ですが、新型コロナ感染者が全くいないわけではありませんので、感染への不安がある方はマスクや手洗いなどの感染対策はされたほうがいいでしょう。
Q:シンガポール国外で出生した子どもを帯同する際の注意点はありますか。
シンガポールの保健省(MOH)の方針により、12歳以下のお子様は必須とされるジフテリアと麻疹を含めた予防接種歴の政府機関での登録が必要で、その登録が終わってからDP申請に進みます。里帰り出産からシンガポールに戻り、新たにDP保有者となるお子様が入国する場合も事前手続きは同じですのでご注意ください。
登録には、年齢・月齢に合わせた予防接種を受けていることが必要となります。
具体的には、ジフテリアは生後6週以降であれば必須で、4週間隔であること、麻疹の2回目は1歳半までに接種する必要があるという点です。間隔や回数が基準を満たしていないと再申請を求められることになりますが、日本は特例として3〜8週での接種でも許可されています。ただし、シンガポール健康増進庁(HPB)側がこの点を理由で再接種を求めることもありますが、その際はこちらに問い合わせをしてください。
詳しくは在シンガポール日本国大使館のサイトを確認されてください。
申請してから承認されるまでは1か月程度かかることもありますので、時間に余裕を持って申請されることをおすすめします。
Q:予防接種や登録の相談はシンガポール国外からも含め可能ですか?
はい可能です。海外からお問い合わせの場合は、当院のサイトからご連絡ください。1営業日以内に担当より記載いただいたメールアドレス、またはお電話番号にご連絡をさせていただきます。
▶お問い合わせはこちらから
Q:乳幼児健診は行っていますか。
はい。日本と同じスケジュールで実施しています。
シンガポールで出産され、出生時に指摘事項等がないお子様は生後1か月から当院で健診を行っていきます。シンガポールで誕生したお子さんは出生1日目にBCGとB型肝炎の予防接種を済ませ、その後は生後1か月の健診時から継続接種をしていきます。
日本を含め海外で予防接種を受けた後のシンガポールでの継続接種や、近く帰国を予定されているお子様には、乳幼児健診時や診察時に今後の接種スケジュールのアドバイスもしています。
Q:大人は特に感染症対策はしなくてもいいでしょうか。
シンガポールはさまざまな国からの渡航者が往来しますし、駐在員は途上国を含めて海外出張が多いのが特徴です。ご自身や家族の健康を守る、周囲への感染を防ぐという意識は重要となり、その点からも予防接種は必要です。
シンガポール内での生活が中心の方はA型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種をされたほうがいいでしょう。特に破傷風は日本でも10年ごとの接種で抗体をしっかりつけることが推奨されていますし、裸足にサンダルで歩くことが多いので足の怪我からの感染リスクを減らす事が重要です。また、周辺国への出張には、狂犬病、腸チフス、日本脳炎も推奨します。
渡航先やそこでの活動内容などにより推奨される予防接種は上記以外にもある場合があり、また複数回の接種が必要なワクチンもありますので、早めに病院に問い合わせをしましょう。
Q:健康診断は受けたほうがいいですか?
シンガポール赴任後、運動量が極端に減った、外食が増えた、食事内容が変わった、と言われる方が多く、その結果、体重や腹囲増加、高脂血症などの罹患率が増えていくことがよく見られます。ご自身の健康状態を確認する意味でも定期的に健康診断を受けられることをおすすめします。
消化器系検査で胃バリウムを選択される方もおられますが、異常を指摘された場合の多くは胃内視鏡での再検査になりますので、はじめから内視鏡検査をおすすめします。当院での内視鏡検査は消化器内科医が鎮静剤を使用して眠った状態で検査をしますので検査時の苦痛は大幅に軽減されます。
Q:シンガポールは暑いのでインフルエンザの流行はないのですか。
いいえ。年に2回(南・北半球の冬季)の流行が見られます。
シンガポールでは普通の風邪と同等の扱いとされることが多く、インフルエンザの検査をあまりしません。ニュースでも積極的に報道もされないので流行している印象を感じにくいというのが実情です。当院では症状次第で検査を行いますが、日本の流行期に合わせて感染者が増えます。話題にならないから流行していない、ということはありません。
5月頃からは南半球分のインフルエンザ予防接種も開始されます。昨年末に流行予防接種を受けなかった方で、予防をご希望の場合は接種を検討されると良いでしょう。
Q:慢性疾患の管理はどうしたら良いでしょうか。
服薬が必要な場合、引き続き当院から処方することは可能です。
ただ、日本で処方されている薬がすぐに入手できるとは限りません。到着後の受診のタイミングなどを考慮し、十分余裕のある量を日本で処方してもらいましょう。
シンガポールへの赴任が決まったら、転居前に日本から当院に問い合わせていただくこともできます。過去の検査結果なども引越しの荷物に入れずに、ファイル保存や手荷物で持参するなど、スムーズな継続治療ができるように準備しましょう。
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事前の準備で充実したシンガポール生活を
シンガポールでは、新型コロナは通常の風邪と同じように扱われ、感染対策も個人の判断に委ねられています。また、子どもの予防接種登録、大人の感染症対策、健康診断の重要性など、現地での医療・健康管理にはいくつかのポイントがあります。特に、渡航者が多い環境では予防接種が推奨され、インフルエンザも年に2回流行するため、事前の対策が大切です。シンガポールで安心して生活するために、必要な情報を確認し、適切な準備を進めましょう。
施設情報
Nippon Medical Care Pte. Ltd.(日本メディカルケア)![]() 住所:6A Napier Rd, #03-31 Annexe Block Gleneagles Hospital S258500 最寄り駅:Napier (MRT TELライン徒歩1分)、 Botanic Gardens (バス) 電話番号:6474 7707 E-mail:nmc@nipponmedicalcare.com.sg WEBサイト |
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!