【保存版】公認心理カウンセラーが伝授する外出制限措置中の心と身体のケア
シンガポールの外出制限期間(サーキットブレーカー)も2カ月目に入り、それぞれが生活のペースを作り上げているかと思います。4月から5月にかけての1カ月を過ごしてみての感想も様々だと思います。
結構楽しく過ごせている人、気分に波がある人、反対に仕事が増えて忙しくなったという人も。サーキットブレーカーも残り数週間となっていますが、最後まで元気に乗り切るために心がけたいことを中心に、シンガポールでカウンセリングオフィス「あいがこころケア」を経営する相賀ゆか先生にオンラインでインタビューを致しました。
今までの生活・思考の習慣をちょっと見直してみて、自分のためにできること、家族のためにできることのヒントを見つけて下さい。
“変えたい習慣を変える絶好のチャンス”
例1)
- スナック菓子を食べる→果物を食べる
- 運動不足→動画などを使い家で出来るエクササイズを始める
- ネットサーフィン→読書に変更
- たばこをやめる
- ジョギングや散歩を毎日する
例2)
毎日のスケジュールをざっくり書いて点数をつけてみる(自分がやっていることの幸せ度に点数をつける)。マイナス10点からプラス10点まで数字で見える化してみる(何も感じないが0)
少しでもプラスの点数にするにはどうすればいい?
洗濯ものをたたむ(-5点)
↓
楽しい動画を見たり歌を聴いたりしながら行う(+1点)
皿洗い(-5点)
↓
夕食後だけは家族の誰かに頼む(+2点)
この作業ちょっと大変、負担だなと感じたら、じゃあ家族で当番制にしてみようとか、誰かにお願いしたり任せられるようなら任せてみてはどうでしょうか。
見直しをしていくことによって、生活習慣が変わっていき、身体的にも精神的にも楽になっていきます。
外出制限がある今だから新しいことに取り組みやすい時期でもあると言えます。行動を3週間で習慣化させるという考え方もあります。サーキットブレーカーが終了するまでの残り3週間を上手に利用してみてはどうでしょうか。
孤独を感じることもあるので、つながりを持つことが大切です。最近はネットを通じての手段はたくさんあるので、それを上手に活用をすれば良いと思います。ポイントは、身体的に誰かが近くにいなくても、精神的につながりを感じられることです。そして、大切にしてくれる人や楽しいと思う人、自分が心地よいと思う時間帯や時間の長さを慎重に選ぶことが大事です。
また、境界線を立てることと場所を選ぶことも考えて下さい。オンライン飲み会の機会が増えていますが、反対に「いつ終わるんだ?」など新しいストレスも生まれています。楽しいはずのことがストレスの原因にならないように気をつけましょう。
どのグループやコミュニティにも属していないという方もいます。その方は家族や疎遠になっている友達などに、元気かどうか尋ねてみたりする。または、同じ趣味のコミュニティをみつけて参加するなども一つの方法です。
そして、一人暮らしのポジティブなポイントに目を向けてみて下さい。マイペースに過ごせる自由さ、好きなものが好きな時に食べられることなど、たくさんのメリットに気づきがあると思います。
子どもや配偶者に対して気をつける事を考える前に、まずは自分の言葉・行動・態度を出来るだけ美しくし、“マインドフル”に穏やかでいることです。喜びに満ちていると思うように心がけることが、家族全体に安心感をもたらします。
一人が変わるだけでも、家族の雰囲気が変わります。「自分だけ頑張っても、みんなイライラしてるから、、、」と諦めがちだけれども、一人でも穏やかでいて、安心を与えていけるようであれば、みんなが変わっていきます。
一つお勧めしたいことは、一人一人が自分だけのくつろぎスペースを確保できるようにすること。それは自分の部屋を持つということではありません。
自分の部屋がなくても自宅のどこかのコーナーに『ここは私のスペース』と思える場所を設けて、そこに好きな小物などを取り入れて、安心できる場所を作ります。是非とりいれてみて下さい。
大切なことは、自分の価値観を当たり前と思い、相手に押し付けないことです。家族であっても一人一人の価値観は違うことを理解するのが必要です。イライラの責任は自分自身。イライラ=相手の欠点ではなく、自分の価値観がそうさせているんだ、という視点が大切です。このように考えられるようになれば、自分も楽になる事ができます。そして、相手に優しくもなれ、自分にも優しくなれます。
未就学児がいる家庭の場合
“ネガティブな気持ちは止めずに吐き出させてあげる “
子どもがいつもよりぐずぐずしている時や不機嫌な時は、疲れているのかな?、眠たいのかな?、ストレスが溜まっているのかな?、お熱があるのかな?と、気持ち的な繋がりを持つことが大切です。
子どもから、ネガティブな気持ちや言葉が出てきたら、それを止めようとせずに
・吐き出させてあげる
・受け止めてあげる
・共感してあげる
と気持ちがスッキリして楽になります。
私たち大人は友達に聞いてもらうとすっきりしますが、幼い子どもは言葉ではなく、かんしゃくだったり、泣いたり、反抗的な行動で、気持ちを出すことも多いので、気負わず心のどこかで見てあげてるよと思ったり、態度で示してあげることで十分気持ちが伝わります。
学齢期の子どもがいる家庭の場合
“離れて見守ってあげる距離感 “
繋がりを大切にするのは、年齢を問わずどの子どもにも通じる事。学齢期の子どもにおいては、少しずつ自立が出来るように支援していく。
そうすることで、親も楽であるし、子どもの自信に繋がります。離れて見守ってあげる距離感を大切にして下さい。すべての行動について目を光らせすぎないようにして下さい。放任とは違います。
任せてみて、責任をとらせてあげるということです。でも、いつでも助けが必要な時は「ここにいるよ」、「聴くよ」という雰囲気を持ってください。そして、「ありがとう」「お母さん助かったわ」など、感謝の言葉を伝えて下さい。
「早くしなさい」「やりなさい」と言いたいモードになってきたら、男性の場合は「細かい妻」、女性の場合は「細かい姑」を想像してください。24時間ずっとあら探しを続けられたり、何度も何度も同じことを言われると、どんな気持ちになるか想像してみてください。
子どもの立場に立って考えると、信頼して任せてもらいたい、本当に困った時だけ助けてほしいですよね。宿題や課題にしても、ギリギリ間に合うならいいじゃないか、ちょっとくらい遅れたっていいじゃないか、というスタンスでいられることをおすすめします。
お互いの信頼関係を築くことが大切です。
“子どもとの一対一の時間 “
年齢にかかわらずお勧めしたいのが、スペシャルタイムを設けることです。それは、子どもとの一対一の時間。子どもが複数いる場合は、夫や妻と話し合って工夫をし、一週間に一回5分でも10分でもでもいいので、「何をやってもいい二人だけのスペシャルな時間」を作ってください。
内容は子どもに決めてもらってもらったり、話し合って決めてもいいです。例えば、一緒におもいっきり枕投げをするなど。繋がっているんだ、大切にされているんだ、という感情が子どもたちの自信にもつながります。
思春期の子どもでもそばでゲームを見させてもらうなど、「気にしているんだよ」「関心持ってるんだよ」ということを態度で示してあげることが大切です。
“今までやってみたいと思っていたことに挑戦してみる”
今は、無料で著名人のセミナーやコンサート、エンターテイメント、有名美術館、水族館、オペラ、ナショナルジオグラフィックなど教育動画の無料動画配信など、素晴らしいプログラムを自宅で観ることが出来ます。普段見れない、聞けないものが楽しめることに感謝しつつ楽しんでみてはいかがでしょうか。
また、いつか時間が出来たらやってみたいなと思っていることに挑戦してみるのも一つ。または、やり終えたら気持ち良く、達成感を持てそうで、健康的で、ある程度実現可能なことをやってみてはどうでしょうか。
デジタルに偏りがちと感じたなら、アナログのゲーム、例えばルービックキューブを6面揃えること、憧れの曲が演奏できるようになる、チェスや囲碁を始める、好きな作家の本を読破する、断捨離をする、ヨガ・太極拳、からだを鍛えるなどアイデアはいろいろあると思います。
趣味など普段楽しんでやっていることが楽しめなくなる。涙が出やすくなる、複雑な仕事や家事ができなくなる、自分から人と関わりたくなくなる、なんでもイライラしてしまう、睡眠時間が減っている、又は逆に増えている、食事量が増えている減っているなどが挙げられます。
睡眠をしっかりとって、ゆっくり休んでください。そして、信頼できる人に話してみてください。それでもなかなか状況が変わらない、楽にならない場合は、プロのカウンセラーをどうか頼ってもらえたらと思います。
こころの健康のために毎日簡単に出来る2つのアイデアをご紹介します。
(1)自分へのおもいやり
一つは、セルフコンパッションという言葉がありますが、それは「あるがままの自分を肯定的に受け入れ、自分を許す能力」のことです。この、セルフコンパッションを高めていきましょう。
ここ最近、仕事がある人でも、今後仕事がなくなるのではないか、給料が減るのではないかなど仕事に対する不安が高まっている人がたくさんいます。反対に、オンラインで仕事ができるけれども、仕事が増えすぎてストレスを感じ、すべてをやり切る能力がないと思ってしまうなど、自分を責めがちな状況になってしまうこともあります。あるがままの自分を肯定的に受け入れるようにして下さい
よく言われる三つの要素は、
1)自分への思いやり(自分の強みを認め、自分をいつくしむ)
2)みんなそうなんだよという共通の人間性(失敗や困難な時は誰にでもある)
3)マインドフルになること(過去や未来のことではなくて、「今、この瞬間への気づき」を高めること)です。
“自分ハグハグ “
自分ハグハグは、カウンセリングセッションでもよくやってもらっています。
自分へのネガティブな攻撃の言葉を思いやりのある言葉に変えていきましょう。
(2)今日良かったことを3つ書く
二つ目は、毎日ノートに3つずつ、良かったことを探して簡単に箇条書きしてみましょう。その時にルールを設けます。
・以前とは違う良かったことを見つける事。
・どんな小さなことでもいい。
・毎日付け足していくような形で、
・次の日に以前のものがちらっと見えるような書き方
が理想的です。
どんどん良かったことを増やしていってください。
最後に、つらい時は信頼できる友人や家族に聞いてもらったり、それでも難しいと感じたら、どうか専門家に頼ってください。
問題が小さいうちにカウンセリングを利用される習慣を持っている方が、その後同じことが起こっても、変化に気付きやすく、どう向かい合ってていけばいいのかが分かってくるようになります。
インタビューを終えて
相賀先生のお話しの内容は、このCB期間だけでなく、普段生活していく上でも常に心掛けたいことだと気付きました。心が折れそうになったり揺らいだりしたときには、是非もう一度この記事に戻ってきてください。きっと何か助けになるアイデアや、心にしみる言葉が見つかるのではないでしょうか。
相賀(あいが )ゆか
WEBサイト
https://yukaaiga.com
【資格】
公認心理療法士・公認結婚家族療法士(米国)
公認カウンセラー・公認心理療法士(シンガポール)
公認心理師(日本)
シンガポール日本人心理士会 代表
【大人・子ども・ティーン・カップル・家族のためのカウンセリング】
うつ症状・不安・不眠・ストレス・怒り
人間関係(夫婦、子育て、学校、仕事、恋愛、対人における悩み、離婚危機)
異文化適応、適応、トラウマ、不妊、流産、別れ、喪失
自分の生き方を振り返りたい など
この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!