シンガポールで維持される死刑制度 内務大臣は「重大犯罪の抑止に効果」と強調
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シンガポールのシャンムガム内相は10月5日、国内で起こりうる重大犯罪に対して、死刑が抑止効果を発揮している実態を明らかにしました。
これは、内務省(MHA)による終身刑と死刑の抑止効果を比較した体系的調査の有無についてたずねた野党・労働者党議員の質問に対し、文書で回答したものです。
当地では最近、麻薬取引を理由に死刑判決を言い渡され、9月に執行予定だったシンガポール人死刑囚の刑執行が、弁護士が再審理を求めた結果、1時停止された問題を受け、死刑制度の存廃をめぐる議論が、活発になっています。
シャンムガム氏は、MHAの統計に言及し、「1990年にあへん1,200g以上、大麻500g以上の密売買に死刑を科すと定めて以降、4年間であへんの平均取引量が66%減少した」と指摘。
大麻に関しても、500g以上の持ち込みを図った密売人は、15~19ポイント減っており、MHAが有罪判決を受けた麻薬密売人を対象に実施した調査結果で、重い刑罰について認識していた麻薬密売人は、取引に際し行動を自制したことが判明しています。
さらに、銃器を用いた強盗は、死刑が導入された1973年の174件をピークに、翌年には106件に減少しました。以来、国内において、銃器を使った強盗はまれになり、過去13年間、報告されていません。
誘拐事件の発生件数は、死刑適用が規定される1961年までの3年間は、年平均29件に上っていましたが、1961年に1件に急減して以降、1964年の6件と2003年の3件を除き、年2件以内にとどまっています。
また、死刑の是非をめぐっては、MHAがシンガポール住民2,000人を対象に行った調査では、調査対象者の大半が「死刑は終身刑よりも犯罪抑止効果がある」と回答。
“銃器の使用”、“殺人”、“麻薬取引”それぞれについて、各約70.8%、70.6%、68%が、死刑による抑止効果が「あると思う」または「非常にあるあると思う」と答えています。
量刑を決定するうえで、シャンムガム氏は、加害者および被害者・国民双方の権利のバランスを考慮する重要性に触れ、公平かつ公正な刑事司法制度を維持するとともに、国民の安全を保障する政府の責任を強調しています。
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SingaLife編集部
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