シンガポールで新設の出産給付金 受給資格めぐり、ネット上で議論過熱

新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、新生児の親の支援を目的として10月9日に発表されたシンガポール政府の一時給付金“ベビー・サポート・グラント”の受給資格をめぐり、インターネット上において議論が過熱しています。

同給付金は、シンガポール国籍の新生児の親に、現行の最高1万Sドルの現金給付“ベビー・ボーナス”に加え、3,000 Sドルを支給するものです。

地元紙ストレーツ・タイムズ紙によると、同紙のフェイスブックユーザーの大半が、今回の措置を歓迎しているものの、受給資格が、2020年10月1日~2022年9月30日に生まれた子どもに限定されている点について、「支給対象を外出制限措置サーキットブレーカー(CB)開始以降に生まれた子どもがいるシンガポール人世帯に拡大するべきではないか」など、その理由を問う声も多数寄せられているとのことです。

一方、社会・家族開発省とともに“ベビー・サポート・グラント”を共同管理する人口人材局(NPTD)は、これを受け、「子どもの誕生が受給資格の対象期間外だった親が失望するのは当然だ」としつつも、「どのような新政策・改善についても、特定の開始日を定める必要があり、10月1日以前に生まれた子どもにも、結婚/出産・育児支援制度の下、多くの手当が用意されている」として、国民に理解を求めました。

また、“ベビー・サポート・グラント”の支給額に関しては、子育てに数十万Sドルを要するとも言われるシンガポールにおいて、少子・晩婚化に歯止めをかける効果を疑問視する人もいる一方、「問題はお金ではない」とする意見も。

あるフェイスブックユーザーは、「若い夫婦の多くが、子どもを作らないのは、費用のためというよりも、自分たちの生活スタイルを犠牲にする心構えができていないからだ」と記し、「給付金の有無にかかわらず、夫婦が長年にわたり親としての責任を果たす意思があるか否かが、子どもを持つ決め手になるだろう」と指摘しています。

日本・韓国・台湾などアジア各国・地域で少子・晩婚化が、社会問題となるなか、シンガポール政府の対応に注目が集まりそうです。

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SingaLife編集部

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