【博報堂を退職し、シンガポール国立大学でMBA取得。新進気鋭の経営者が語るシンガポールの強みとは】

今回お話を伺ったのは、シンガポール国立大学のビジネススクールでMBA取得後、シンガポールを中心に韓国コスメブランドの輸入販売を展開しているNORD MASON ASIA PTE. LTD. CMO/NMA Japan株式会社代表取締役の「ロッキー」こと、轟武士(とどろきたけし)さん。 シンガポール最高峰の学びの場で得たユニークな経験談や、シンガポールでのビジネスなどについて聞いた。

日本では博報堂に勤務されていたんですよね?

はい。話は学生時代に遡るんですが、もともと大のサッカー好きで、高校生時代には、横浜FCのユースにも所属していたんです。ちょうどその頃、2002年の日韓W杯が開催され、老若男女問わず日本中が熱狂していて、単純に「すごいな」と・・・。

当時高校生だった私は、こうした熱狂やブームに、大変大きな衝撃を覚えました。そして、この盛り上がりの火付け役の一つに、広告代理店というものの存在があることを知り、「サッカー選手にもしなれなかったら、将来は広告代理店に入って、サッカーをはじめとするスポーツに携わる仕事をしたい」と思うようになりました。

あいにく、サッカー選手にはなれませんでしたが、幸運にも大学時のインターンを通じて、博報堂に入社のご縁をいただきました。

そこからどうして海外を志したのですか?

入社後数年が経った頃、デジタルメディアのセールスを担当しました。GoogleやLINE、Yahoo!といった媒体社と仕事をしていくなかで、Web系のメディアに携わる多くの方が、若くても大きな裁量を持って仕事をされていることに非常に刺激を受けました。新卒時代から、いい意味で、いわゆる年功序列で体育会的な環境の「広告代理店」で育ててもらった私としては、衝撃が大きいものでした。

ちょうどその時期、自分が興味を持ち続けていたスポーツの分野において、「グローバル」というのがひとつのキーワードになっていると感じていました。たとえばJリーグは、その頃から「アジア戦略」をスタートさせ、海外に目を向け、新しい仕組みや価値づくりに挑戦していました。

博報堂での仕事はもちろんエキサイティングで楽しいものでしたが、こうした風潮を感じながら今後の自分の人生を考えるなかで、もっとチャレンジしてもいいんじゃないか、もっと裁量を持てる環境で、グローバルな人材に成長していく必要があるんじゃないか、ということを強く意識するようになりました。

それでシンガポールへ?

はい。国際的な環境でMBAを学ぼうと思い立ちました。とはいえ、今まで“超ドメスティック”な環境で生きてきたので、いきなりアメリカや欧州などはハードルが高い印象がありましたし、何より、欧米などでMBAを取った方のなかには、ビザ取得などの難しさからか、現地で就職せずに結局日本に戻っているパターンが多いという印象がありました。

一方、アジア圏ではそのまま現地で活躍している方が多い。学びの場として選ぶなら、アジアのハブ国で、メジャーな場所でチャレンジしたいと思い、勉強の末、シンガポール大学のMBAに入りました。

実際入ってみて、どんな感じでした?

グローバルな感覚を知るという点においては非常に良い経験ができ、予想をはるかに超える学びの宝庫だったように思います。私の代は100名ほどのフルタイムが22か国から集まっていたので、ダイバーシティな環境で学ぶことができました。

ここで各国にネットワーキングができたことは、非常に大きいことだと思っています。また、既にビジネスで成功を収めている先輩方と接することができ、実践的な話を聞けた点もとても素晴らしかったです。

私の場合は、シンガポール大学のExecutive MBAのコースにいらした韓国人のビジネスオーナーの方とクラスメイトを通じて知り合うことができ、それがきっかけで、現在の会社である「Nord Mason Asia」をシンガポールで立ち上げるに至ったんですよ。

「学びから実践へ」って、良い流れですね!

環境が整っているので、アクティブに動けさえすれば、すごい人達とすぐに繋がれたというのは、この大学を選んだ大きな利点だったと思います。

余談ですが、私は大学寮の自室にお酒をストックしておくようにして、自室を「Rocky’s Bar」と名付け、「いつでも出入り自由だよ」とクラスメイトに部屋を解放していました(笑)。

夜な夜なそこに各国の学生達が集まり、たわいもない話をしたり、意見交換したりと、さまざまなことを語り合えたのは、いい思い出です。とにかくネットワーキングと情報収集に精を出していましたね。

実際、今はどんなビジネスを?

主に韓国コスメの輸入販売をしています。先ほどお話した韓国人のビジネスオーナーから、その韓国商品をシンガポールで販売する代理店機能を持つ会社を立ち上げるという話をいただきました

そして、当時のクラスメイトであった友人たち(韓国人、アメリカ人など)と、卒業後そのままビジネスを立ち上げる運びとなったんです。私は前職の流れでマーケティングを担当。また、日本市場も開拓したいという想いから、日本支社のダイレクターも務めています。

東南アジアでもやはり韓国コスメは人気が高く、韓国化粧品が既に多く出回るなか、マーケティングなどを駆使して良い結果を出し続けています。現時点で、タイやマレーシアにも支社があり、今後もアジアを中心に更に拡大していく予定です。

「シンガポールで学び、そのまま現地でビジネス」に憧れる方も多いと思うのですが、ビジネス面でのシンガポールの強みは何だと思いますか?

適切な表現か分からないのですが、シンガポールは「国自体が会社みたい」だと思うんですよね。優秀なオーナーが大きな会社のダイレクターとして会社(国)を上手に運営しているような感じ。よく「シンガポールは小さい国だから舵取りしやすい」とも言われますよね。確かにそういう面もあると思いますが、やはり物事を決断するスピード感は、日本も見習うべきだと思います。 

私に関連する話で言っても、ビジネスは「スピード」が命だなと実感しています。たとえば以前、あるシンガポールのECプラットフォームから、「コスメ分野を強化したい」ということで弊社にご相談をいただいたのですが、その際の先方の方の言葉が印象的でした。「日本の製品は良質なので本当は沢山扱いたいけれど、許可一つ取るのにも相当な時間がかかるので、どうしても動きが速い韓国コスメに先に声をかけてしまうんですよね。日本はいろいろな事例が整ってからかな」と。

どんなに良いものを扱っていても、動きが遅いと結局進まないんです。私は日本(製品やサービスなど)の良さをよく知っているので、その点がとてももどかしく感じますね。

スピード感のあるシンガポールから、今後の日本に対して思うことは?

先の話と繋がりますが、品質でなく判断スピードがネックになっているなんて、本当にもったいない話です。私は、海外で、日本と関係ない商材を扱っているからこそ見える日本の長所や短所を軸に、日本人の一人として自分なりに還元できることがきっとあると思っています。今は韓国コスメで商いをしていますが、こうした経験を活かしながら、日本の強みをシンガポールから世界に発信する一助となりたいと思っています。 

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轟武士(とどろきたけし)さん:1985年生まれ、神奈川県横浜市出身。2009年東京大学工学部卒業後、博報堂に入社。車メーカーの車種担当、イベント、PR、デジタルディアなどを担当。2017年同社を退社し、シンガポール国立大学MBA入学。MBAを取得後、クラスメイトと韓国コスメ輸入販売会社「Nord Mason Asia」をシンガポールで設立。韓国化粧品会社ハクスリーの日本販売拡大のため、NMA Japan株式会社を日本で設立。2019年より同社代表取締役社長。[/su_note]


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この記事を書いた人

Rie

シンガポール在住8年目。ワインと美食をこよなく愛し、日々ワインを楽しむ一方、筋トレも欠かさず行う。“ワインと美活“のスペシャリスト