シンガポールの父親、70%弱が子どもの出生時に出産休暇取得
シンガポールで子どもの出生時に出産休暇を取得する父親が増える一方、父親の職種によっては、取得率が低水準にとどまっている実態が、調査により明らかになりました。
調査は、シンガポール国立大学(NUS)家族・人口研究センターの創立者兼ディレクター、ジーン・ユン教授などが、2018~2019年に6歳以下の子ども4,500人を対象に実施したものです。
調査結果によりますと、出産休暇を取得した父親は、調査対象の父親全体の68%に上り、日韓両国の10%以下という割合を大きく上回りました。
取得日数別の内訳は、1週間以下が35%、2週間が58%、2週間超が約4%でした。
ただ、若年層・高学歴・高収入の父親の出産休暇取得率は高水準に上っているものの、機械操作員、清掃員など労働集約型の職種に従事している父親の取得率は、議員、政府高官、管理職の父親の半分にとどまっています。
これについて、労働問題を担当するパトリック・テイ議員は、「労働集約型の職種は、業務の大半が手作業であり、現場で仕事をしなければならない」と指摘。
さらに、「これらの職種の賃金は、実際の労働時間に大きく左右され、労働者らは通常、時間外勤務手当をあてにしているため、休暇取得を控える傾向にある」と述べるとともに、父親の出産・育児休暇取得を推奨する職場風土を雇用主が醸成する必要性を唱えました。
また、子どもの出生時に父親が出産休暇を取得した場合、子どもが、多動性障害、反社会的行動などの問題行動を起こす可能性が著しく低い傾向にあることや、家庭内不和の減少、夫婦・親子関係の向上につながっていることも、今回の調査で判明しており、子どもの出生直後の父親の存在の大切さが、改めて示されています。
女性の社会進出、家庭内の家事協力が進むなか、育児における父親の役割が、国を問わず、ますます重要視されているようです。
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SingaLife編集部
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