幼稚園から高校までの創造的な教育。実践力を身につけ、好きな仕事に繋げた先輩たちの声とは?日出学園中学校・高等学校

武善紀之先生
私立日出学園中学校・高等学校 専任教諭。情報科を主軸に,数学科,公民科,総合的な学習(探究)の時間も年度により担当。昨年度まで,法人企画室ICT推進チームを兼務,学園全体のICT教育推進にも関わる。

尾崎正和さん
慶應義塾大学環境情報学部(SFC) 4年生
デザインやプログラミングを学びながら、デザインの会社を起業。

成田百花さん
立教大学社会学部メディア社会学科 3年生
長期のインターンで人工知能を用いた会社で働いている。

大川依理亜さん
日本大学生産工学部創生デザイン学科 1年生
空間デザインやプロダクトデザインを学ぶ予定。



情報の知識を身につけることは、仕事や生活に欠かせない世の中になりました。多くの学校がコンピュータースキルのみならず、情報に関する幅広い授業を取り入れている中、キラリと光る最先端の情報教育を行っている学校があります。

千葉県市川市にある日出学園は、情報を学びたい生徒にとって、ぜひ入学したい学校。小学校3年生からコンピューターのスキルを磨いていくだけに、卒業する頃には社会に通用する実践力を身につけることが出来ると評判です

今回、日出学園でプロの情報スキルを教える人気の先生、武善紀之先生を囲んで卒業生の先輩3人に集まって頂きました。




SingaLife編集部
SingaLife編集部
本日はどうぞ宜しくお願い致します。まず、日出学園を選んだ理由を教えてください。


(大川)私は、推薦で日出学園高校から入りました。志望した理由としては、元々情報に興味があり、高校を探していた時に日出学園が凄く面白そうな情報の授業をやっているなと感じたのがきっかけです。色々な高校を紹介するwebサイトを見ているうちに、武善先生が教えていらっしゃることも知ったので、とても興味を持ちました

SingaLife編集部
SingaLife編集部
皆さんが教わった武善先生は、情報の世界のスペシャリストとして活躍されている方なのですね!


(尾崎)僕も、武善先生のような良い先生に巡り会えて嬉しかったです。10年前、中学1年で入学した時点は、出来立ての校舎が凄く綺麗なのが印象的でした。

(成田)私は、小学校から高校まで日出学園にいました。小学校の3年から情報の授業があり、コンピューターには自然と馴染んでいましたね。

(武善)日出学園小学校では週に1時間、小学3年生から情報の授業があります。20年近く前からこの授業はあるのですが、小学校から授業として取り組んでいる学校はまだ珍しいかもしれません。ワードやエクセル、パワーポイント、それにタイピングのスキルをはかる「日出ICT検定」も実施されています。また日出学園小学校は情報だけはなく、読書の時間も大切にしています。小1から週に1時間、読書の時間があります。情報と読書という2つに注力する伝統がありますね。

(成田)その授業のおかげで、小学生の頃からテキストを速いスピードでタイピングできるようになりました。早い時期にタイピングをマスターしていたことは、中学や高校でも役立ちました。授業以外でも、自分が参加していた生徒会の資料を作ったり、イベントでパワーポイントを使ってプレゼンしたりといったことを自然に出来るようになっていました。

SingaLife編集部
SingaLife編集部
日出学園を受験したい生徒さんに先輩からのアドバイスをいただけますか?


(成田)楽しい日々が送れるのは間違いないですね。私は生徒会長でもあったのですが、生徒会が主催するイベントではパソコンでスライドを毎回作っていました。

話し合いをする生徒総会では「どうしたら、もっと生徒が生徒総会に積極的に関わってくれるのか」という課題を顧問の先生方に相談もしました。その中で、ニコニコ動画のようにコメントが流れる仕組みを作ったらどうか、という話になったのです。

その理由としては、挙手して発言するという壁を取っ払って、生徒の生徒総会への参加度をあげたかったためです。先生が、新しいチャレンジに対して応援してくれる事が嬉しかったですし、前例がないことも自分たちで作っていくことができますし、ICTも自由に使わせて貰えます

後輩の人たちも生徒会をどんどん進化させてくれているのが嬉しいですね。

<成田さんが始めた「日出祭ARスタンプラリー」生徒会と教職員の間で調整会議を重ね、実装と併せて生徒会主体でルールも策定した>

(尾崎)日出学園のいいところは、学校で質の高い授業を受けることが出来るし、さらに学んだことを実際に使うことが出来るところだと思います。先生がすぐに挑戦させてくれるところが凄いです。僕も生徒会の活動をしていましたが、紙の開票は時間がかかるのでやめたかった。そこで、選挙の投票をiPadにすることを始めました。すると、一瞬で開票することができるようになりました。

これは一例ですが、生徒たちの課題発見能力に対して、先生が技術的にアドバイスをしてくれることが嬉しかったですね。

<尾崎さんが始めた「iPadによる選挙投票」>

(武善)僕も生徒会に関して話しをさせていただくと、日出学園は小規模校なので、学校全体に影響するようなことがさっとできるのもメリットのひとつです。授業のクオリティを全体に保つこともできていますし、また授業外へ波及させることも容易にできます。

今年、コロナで集会が出来なくなりましたが、その状況下でも、各教室にプロジェクターを置き、GoogleMeetで全教室をつないだ生徒総会が開催されました。ICTは費用さえ掛ければ設備を整えることができますが、それによって現場で試行錯誤ができなくなってしまうのは良くないと考えています。

大事にしているのは、「ICTで学ぶのではなく、ICTを教える」というポリシーです。例えば、生徒が問題にぶつかったときに「この場合はどのツールを使おうか」と考えられるようにしています。日常に不満や改善点があるから、変えていこうという活動が出来るので、考える余地を残しておきたいのです。

日出学園は、早くから様々なICT環境を入れていたわけではなく、いろいろ模索しながらツールを選び、取り入れてきています。それが小規模校ならではの良さだと思っています。

(尾崎)確かに、ソリューションを入れることはすぐにできるし、簡単なんですよね。ただ、ICTに使われてしまうと、生徒の創作力が損なわれるので、それをあえてしないようにするのが良いと思います。問題点を見つけて解決する能力は、世の中に出てからも凄く役に立つと思うので。僕も生徒会に入っていたのですが、特に生徒会の活動にはそういう姿勢があったと思います。

(武善)僕が日出学園の一番いいところだと思っているところは、実は能動的でなくてもアリ、というところなんです。あまりガツガツやらずに、のほほんと過ごすのもアリです。一方、ガツガツやっても出る杭は打たれない。やり続けていれば変えていける。

アクティブラーニング一辺倒には少し疑問を持っていて、誰もが何にでも能動的に取り組めばいいというわけではないと思います。人はそれぞれの良い特性があるはずで、そこをのばしていけばいい。その考え方が許容される学校です。だから、「私はそれ、苦手なんだよね」もアリ。いい意味で緩いんです(笑)

SingaLife編集部
SingaLife編集部
なるほど、とてもいい雰囲気ですね。先生と生徒さんの関係は近いのでしょうか?


(成田)バチバチに近いです(全員爆笑)

(尾崎)この学校は先生と生徒が近すぎると言われたりします(笑)

(大川)そういう点も含めて楽しいですね。私は授業の話になるのですが、入学前通っていた公立の中学校にも情報の授業はあったのですが、教科書に沿ってワードやエクセルを使えるようになろうという内容でした。一方、日出学園では楽しみながら情報を学べるのが素晴らしかったです

統計グラフを作ったり、プログラミングをしたりする授業もあります。生徒が好きな分野と繋げて、アニメーションを題材に統計グラフを作ったり、スポーツが好きな子はスポーツチームについてポスターを作ったりと、テーマ選びが凄く自由です。

生徒も「これが好き」という分野があるととても楽しめると思います。私自身、情報の勉強をしている感じがなくて、楽しんでいるうちに気が付いたら技術が身についていたという感じです。そこが凄くいいなと思っています。

<統計グラフポスター発表会(ポスターセッション)の様子。各自の設定したテーマに基づき、3名以内のグループで1枚のポスターを作成する>

SingaLife編集部
SingaLife編集部
素晴らしいですね!


(大川)情報系の大学に進学する生徒も多いですが、私はデザインの分野が一番好きでした。授業では、2年生のときにピクトグラム(「絵単語」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の1つ)をオリジナルで作りました。それも今、デザインの学びに生きてきていると思います。

一般的には情報はコンピューターやネットのイメージを持つ人が多いかと思いますが、私は情報の本質は「どう伝えるか、どう読み取るか」だと思っています。面白いところでは、怪しい広告を読み取って考えたり、自ら広告を作るという授業もありましたね。

大川さんの作成したピクトグラム「カプセルホテル」

<名前からそのまま着想を得て、ガチャガチャのカプセルの中にホテルを作ることで表現しました(大川さん)>

SingaLife編集部
SingaLife編集部
それはどのような授業だったのでしょうか?


(大川)メディアリテラシーに関する授業ですね。

(武善)大川さんの代から始めた実習です。コロナ禍では、世界中にデマが飛び交いました。5Gの電波が体に悪影響とか、お湯でコロナウイルスは死ぬとか、結構信じてしまう人も多かったですよね。この背景には、データサイエンスに関する考え方の不足が原因にあります。

これを打開するために、大川さんの代では、偽の学校の噂を流し、どれだけ広がり生徒が信じるかどうか、騙されるのか?という実習と、痩せるサプリの広告を作り、どれほどその効果が信じられてしまうのかという実習を行いました。それぞれ、実習の後に、「なぜ人は偽の情報を信じてしまうのか」「怪しい情報を見抜く為にはどんな視点が必要か」といったテーマについて話し合います。

<「噂」と「広告」を題材としたデマの作成実習の流れ>

SingaLife編集部
SingaLife編集部
とても興味深いです。ユニークな課題ですね!


(武善)実は、日出学園はこの実践で文部科学大臣賞をいただいたんですよ

SingaLife編集部
SingaLife編集部
なんと!凄いですね!!!


(武善)加害者側の立場を経験することには賛否両論があります。ですから、この実習は日出学園だから出来たことだと思っています。日頃の生徒との信頼関係を築けているからこそ、この課題が社会にとって意味のあることだと生徒たちは理解してくれるのです。

(成田)ネットの中には、ありとあらゆる危険が潜んでいる部分があるのも事実です。そういった危険なサイトの読み方はもちろん、自分たちで実際に仕組みを作ることで、ネットの周辺の危険から身を守る方法を多くの人に伝えることが出来るのではないかと思いました。

SingaLife編集部
SingaLife編集部
なるほど、現代を生きる私たちにとって、教養として誰もが知っておくべきセキュリティに関する重要な知識ですね。高校でここまで深い専門の学びを体験できるとは驚きと共に感動しました。情報の世界で活躍したい学生さんには、ぜひ日出学園に注目して頂きたいと強く思います。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました!




<日出学園中学校・高等学校>
〒272-0824  
千葉県市川市菅野3-23-1
047-324-0071
http://high.hinode.ed.jp/

この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!