シンガポール開運ウォーク 第一回「開運の都市軸」

シンガポールを歩いていると、不思議なデザインのビルに出逢います。

「これは、風水を考慮して造られたものなのだろうか」

そう思いながら見上げることも多く、好奇心をかきたてられます。中華系の人々は開運習慣を自然に生活に取り入れているそうなので、その事とも関係がありそう…。

そんな疑問を掘り下げるべく、世界的に活躍をされ、シンガポールにも多くのビルを手がけられた建築デザイナー藤堂高直(とうどう・たかなお)さんにお話を伺いました。

SingaLife編集部
SingaLife編集部
シンガポールの街は、建築を見ながら散歩をするのがとても楽しいですよね。島内に点在する開運パワースポットを歩いて、体調を整えながら運気も上げるコースを読者の方々にお伝えしたいと思っております。ぜひご紹介をお願い致します。


(以下藤堂さん)国土の狭いシンガポールですが、見方を変える事でこれまでと違った姿が見えて参ります。今回はシンガポールを「風水」という切り口で見て参ります。毎回紹介する風水スポットはジョギングやウォーキングをしながら廻れる様に考えました。

これを参考に運気を上げ、シンガポール生活をより充実したものに出来ればと思います。

シンガポールは風水都市です。一般的に香港や上海は風水都市としてのイメージが強いかと思います。私もシンガポールに来た際はここが風水都市とは知りませんでした。生活をするうちに、この国には至る所に風水を応用した特徴的な建築物や都市計画がある事を知りました

シンガポールは多民族国家と言われております。ですが、実体としては七割近い国民が華僑であり、政治・経済及び都市開発に関わる法規にまで華僑が影響を及ぼしております。結果として彼らの向上心に呼応する様に風水の価値観が都市の様相を変えて参りました。

【写真】国際的に活躍を広げる建築家の藤堂さん。シンガポールの事務所にて(現在はバンコク在住)

今回はブギス駅近郊のゲートウェイからラッフルズ・シティを抜けてOCBCセンターまで続く開運軸線をご紹介したく思います。

これら三つの建物はそれぞれに独特な形状をしており、イオ・ミン・ペイという中華系アメリカ人が設計しております。

ペイの設計した代表作と言えばパリのルーブル美術館のピラミッドでしょう。このピラミッドは凱旋門、更には新凱旋門と呼ばれるグランダルシュ迄続く六キロに及ぶ長大な都市軸の起点としても知られております。実は、シンガポールにもこの様な壮大な都市軸(約一.五キロ)がありますが、一見してそれは軸としては認識し難いです。

【写真】驚くことに吉兆文字「八」「卍」「貝」の文字を含んだ建築物で結ばれている


【写真】ゲートウェイ 1990年完成 設計イオ・ミン・ペイ



先に紹介した三つの建物はそれぞれに開運の記号が隠されております。では、順番に観て参りましょう。

先ず、ブギス駅を降りるとビーチロードを挟んでDUOとゲートウェイが見えます。ゲートウェイは上空から見ると漢字の「八」の字に見えます。

「八」は音が「発」に近く生まれ出ると言う縁起の良い意味があります。また、アラビア数字の8は九十度回転させると∞になり、「無限に生み出す」と言う意味になるので縁起が良いです。

この建物は八と言う形状を作る為に極端な鋭角を有しております。鋭角の先からは悪い気が出ると言われております。その為、ゲートウェイの向かいにあるDUOは悪い気を攪拌する為に有効とされる曲面を多用した造形と亀甲模様の外装が悪い気からDUOを守っております。特殊な風水同士の織り成す景観と言えます。

【写真】手のひらで掴めるほどに尖っているゲートウェイ



【写真】風水図



【写真】左側に見えるのがラッフルズ・シティ。1986年完成 設計イオ・ミン・ペイ


ビーチロードをCBD方面へ進むと高級クラシック・ホテルであるラッフルズ・ホテルと世界的建築家であるノーマン・フォスターが設計した環境建築であるサウス・ビーチがあります。その先には複合施設ラッフルズ・シティがあります。

この建物は上空から見ると卍の形をしております。残念ながらナチスドイツのハーケンクロイツ(鉤十字)により悪いイメージが付きましたにより悪いイメージが付きましたが、卍とは人類にとって最古の模様の一つで少なくとも一万年前には使われ始めており、この模様は次第に吉祥を表す記号となります。

建築物も卍の形をなぞる様に設計されております。記号の先端部分はそれぞれ高さの異なるタワーになっており、独特の存在感があります。

【写真】右側に見えるのが漢字の「貝」を表すOCBCセンター 1976年完成 設計イオ・ミン・ペイ


ラッフルズ・シティ辺りからCBDの辺りを眺めると壮大な摩天楼のスカイラインが見えます。その中に、OCBCセンターがあります。

この建物はCBDの中でも最古の高層ビルで1976年に完成した当時はシンガポールで最も高い建物であっただけでなく、東南アジアで最高の建物でもありました

この建物は最初にエレベーターなどが入った構造コアを両脇に作り、中央部のオフィスはコアに支えられた架橋の上に乗る様な独特な構造となっております。正面から見ると漢字の「目」の様に見えますが、ロビー部分を合わせてみると漢字でお金に纏わる漢字「貝」の字になります


これは文字通りOCBC銀行の本社が入っている為です。また、建築家の名前イオ・ミン・ペイのペイは漢字で「貝」なので自身の名前を記号として入れたとも受け取れます。

訪れるには、ナショナル・ギャラリーを抜けて、UFOの様な特殊な形状が印象的なノーマン・フォスターの設計した最高裁を脇目にノースブリッジロードに出て、エルギン橋を渡り、ボートキーを抜けるとOCBCセンターが見えて参ります。因みに、外構には巨匠ヘンリー・ムーアの残した彫刻作品もあるのでお見逃し無いよう。

これらの三つの建物はほぼ直線で結ばれており、「八」「卍」「貝」の三字が読み取れます。三つを合わせると「吉祥とお金が無限に生まれる」と言う意味になり、見えない風水の都市軸となります

皆様もこの都市軸を通り、運気を上げてみてはいかがでしょうか?

第二回に続く…



<藤堂高直さん>
バンコク在住の建築家/陶芸家/執筆家。1983年東京生まれ。15歳で渡英し、ケンブリッジ・アート・アンド・サイエンシズ(高校)を経て、世界最古の建築専門大学AAスクールで学び、卒業後建築家としてのキャリアを開始。2016年にインドのECO WORLDパビリオンコンペで優勝、その後も数々のコンペで入選。

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この記事を書いた人

栗尾モカ

ライター/ コミックエッセイスト 美大デザイン科卒業後、航空会社CAを経て出版社へ  「女のネタ帖」(学研)「サロン・ド・勝負」「おしゃれレスキュー帖」(KADOKAWA)