駐在夫、子を育てる-45- 昼か夜か

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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1歳2カ月になったモモタ(仮名、男児)を連れて、家族3人でシンガポールから日本へ一時帰国をした。2020年秋以来、およそ1年ぶり。そこで大きなテーマとなったのが、飛行機の時間帯を昼にするか、夜にするか、だ。1年前の一時帰国では、モモタは生後2カ月。自分で手足を少し動かせるかな、程度だったので、昼も夜も関係がなかったものの、今回はそうもいかず。活動期の乳児を連れたフライトは、このチョイスが旅の命運を左右すると言っても過言ではない。


今回は、往路は深夜便を、復路は昼間便を利用した。結論として、1歳少々の子どもと長時間のフライトに乗るのであれば、昼間便一択である。

往路は深夜便を利用した狙いはこうだ。「出発まで空港内で自由に駆け回らせて、飛行機に搭乗したら疲れて寝落ちするだろう。そうすれば親も眠れる。しめしめ」と。だが、その考えはおおいに甘かった。浅はかだった。シンガポールのチャンギ空港。初めて目にするものばかりの空港では、出発時刻までの2時間、ずっと歩き回り、壁をバシバシ叩いて、興奮状態のモモタ。

飛行機に乗ってからもその興奮が鎮まるわけもなく、座席周りのスイッチやモニターに興味関心が爆発し、ずっと何かを触っているし、モニターをバシバシ叩くし。当然、親は眠ることなど叶わず、モモタの動きに神経を尖らせる。

さらに、甘さを痛感したのは、我々駐在夫夫妻の体力を考えていなかったことだ。我々はすでにその日やるべきことを終えて、体力をほぼ使い切った状態で、空港に向かっている。モモタの予期せぬ行動をフォローできるほどの余力がなかった。日本に到着するころには、モモタはすやすや寝ているが、駐在夫夫妻は疲労困憊で、久しぶりの日本だというのに口数も少なくなっていた。

復路は、日中便を利用した。もちろん空港内では動き回り、飛行機内ではスイッチをいじり倒すのは往路と同じ。だが、昼間なのでモモタが元気であることは、織り込み済み。我々の体力も余裕がある。この状態なら、モモタの動き回りにも対応できる。機内を先頭から最後尾まで数えきれないほど往復しても、まだまだ大丈夫。「かわいいですね」「おいくつですか」「飛行機は何度目ですか」と、キャビンアテンダントさんが束の間、相手をしてくれることもあり、それが激烈に助かる。

一時帰国を検討されているみなさま、日中便一択ですので、ご注意ください。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

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