シンガポールへの事業展開の足がかりに最適。ビジネスイベントを活用した販路拡大手法の紹介
アジアのハブとして順調に経済発展を遂げるシンガポール。現在、世界中のビジネスマンから熱い視線を向けられているホットな状況をお伝えします。その中でも、今回は日本企業が現地でビジネスイベントの活用する現場の内容についてお伝えします。
シンガポールはビジネスがしやすい国
メリット
オンラインによる法人登記
日本人がシンガポールに法人を登記する際に魅力的なのが、オンラインの活用です。シンガポール会計企業規制庁(ACRA)は、業種ごとに申請手続きを公表しています。そのすべてがオンラインによる申請が可能で、わざわざ現地にて書類を提出する必要がありません。これは日本人にとって大きなメリットですね。
また、申請費用も15S$(約1,500円)と非常に安価で、起業のハードルは非常に低くなっています。さらに驚くべきことが、申請費用の納付から15分以内に許可通知が取得できます。
【参考資料】オンラインによる法人登記(PDF)
低い税率
シンガポールの法人税率は最大17%と非常に低く設定されています。この数値は世界的に見ても特筆すべきもので、経営者にとって事業を継続していくには大きな魅力となっています。特に、アジアでは香港に並んで低く抑えられており、世界中の経営者からシンガポールが注目されています。これはトランプ政権下で法人税率の引き下げにより21%となったアメリカよりも依然低くなっています。
インフラの充実
日本からの空路によるアクセスは、充実していると言えるでしょう。東京、名古屋、大阪の各空港から1日20以上の直行便が出ています。世界的にもハイクオリティで有名なシンガポール航空や日系航空会社に加えて、最近ではLCCの就航により移動コストも低下しています。
また、現地では地下鉄(MRT)の整備が進んでおり、国土の狭いシンガポール全域をカバーしています。そのため、現地での車の保有は不要で自家用車の維持のための費用も節約できるのは、生活面でのメリットです。
日本人が海外で生活する時に気になるのが水ですが、シンガポールでは日本と同様に水道水が飲めます。日本人にとっては普通のことですが、これは世界的にかなり稀なことです。シンガポールと日本はインフラレベルで非常に高いレベルにあると言えます。
親日国
日本とシンガポールは国レベルでの衝突はほとんど起きていません。むしろ対日投資国として重要な地位を占めており、友好的な関係を維持しています。現地の人々の日本人に対する意識も好意的で、ある企業の調査では「日本が大好き」だと思う人が、全体の8割を超えているとするデータもあります。
デメリット
ビザ取得が難しい
シンガポールには世界中からチャンスを求めたビジネスマンがやってきます。そのため、高度な知識又は専門スキルを身に付けている必要があります。具体的には、学歴は原則大卒以上で、月額固定給与が 4,500S$以上ある必要があります。この給与条件は、2020年に引き上げられており、現地で仕事を得た後に即戦力となることができるレベルのスキルが必須です。
【参考】シンガポールの就労ビザについて
高額な家賃
シンガポールの国土は、ほぼ東京23区の面積と同じです。この限られた土地の中に世界的な企業とそのオフィスとそこで働く人々の住宅がひしめき合っています。シンガポールで働く外国人労働者は基本的に高収入・ハイクオリティ人材が中心となりますので、不動産関連の価格は高騰しています。
シンガポール政府のビジネスイベントへの助成
SECB(シンガポール政府観光局のグループ)は、ビジネスイベントを開催する企業に資金助成を行っています。自社商品の紹介を希望する場合には、SECBにイベントの内容を伝える必要がありますが、市場への新規参入者にとって、政府のお墨付きという信用は、その後の活動の心強い味方となってくれるでしょう。展示会や貿易会議を開催する際には、積極的に活用すべき制度です。
シンガポールに関連するビジネスイベント
食品
JETRO(日本貿易振興機構)が、食品取扱業者を対象にシンガポール向け輸出業務の講義イベントを開催しています。
内容は、基礎的な英会話コミュニケーションからはじまり、英文eメール作成、プレゼンなどとなっており、輸出未経験業者にも優しい内容となっています。その後、海外展開に必要な貿易実務の個別指導を受けることが可能です。また、JETROが紹介する現地専門家による指導も現地の市場動向を知るうえで心強い味方となるでしょう。参加費無料です。
【参考】JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」
医療品
神戸医療産業都市推進機構が、2022年8月にシンガポールで開催されるアジア最大級の国際医療機器展示会MEDICAL FAIR ASIA 2022に出展予定です。この展示会では「神戸医療産業都市ブース」というブースが設けられますが、同機構はここに参加する企業を募集しています。
医薬品という規制が非常に厳しい業界において、公的機関のバックアップを受けることができるのは、企業にとっては大きな安心材料です。開催形式は、オンライン開催(Zoom Webinar)です。
【参考】神戸医療産業都市推進機構「MEDICAL FAIR ASIA 2022」
スタートアップ関連
IT産業への支援
シンガポールは、スタートアップの支援も積極的です。政府や公立教育機関が、テック系起業家を支えることに非常に熱心です。シンガポールには現在約3,800社のテック系企業が存在しています。ここまで情報産業が発展してきたのは、政府の厚い支援策の成果と言えるでしょう。
こうした中で、多くのユニコーン企業※が誕生しており、現在世界第10位の地位を占めています。これは、残念ながら日本を上回るもので、中国における起業にさまざまな制約がある中では、シンガポールは日本人にとってアジアのシリコンバレ―と言っても過言ではない存在です。
※創業10年以内に10億ドル以上の評価額が付けられている非上場のベンチャー企業
【参考】JETRO「変化を遂げるシンガポール発スタートアップとコイノベーションの可能性」(PDF)
大型イベントの開催
シンガポールでは政府主導で、アジア最大級の大型イベント「Innovfest」を開催しています。「Innovfest」はIMDA(シンガポール情報通信メディア開発庁)、NUS Enterpriseなどの公的機関のバックアップを受けるイベントです。2019年版では500の出展者、18,500人の参加者、5,000 社のスタートアップが参加し、業界の著名人から情報を得ることができました。
また、「Innovfest」に並んで有名なイベントとして、「SFF×SWITCH」があります。SFF×SWITCHもテック系企業が集結する巨大イベントです。SFF×SWITCHは、JETROが参加しており、JETROの支援で国内企業のSFF×SWITCH2021への参加が実現しています。
シンガポールのビジネス状況
アジア経済圏のハブとして機能しているシンガポールは、地の利を活かした貿易に加え、金融業の発展が目覚ましいものがあります。こうした潤沢なモノと金に、人材が集まる現状が続く限り、シンガポールの経済発展は止まらないでしょう。
さらに、近年獲得しつつある情報産業での競争力は、シンガポールをアジア経済圏のリーダー格に押し上げ続けるでしょう。
その結果、現在シンガポールに拠点を置く海外企業は約7,000社。そのうち、日本企業は約1,600社が既に進出しています。今後、日本企業が成長を果たすためには、シンガポールの存在を無視することは不可能と言える状況です。
日本企業の将来性と今後の動向
シンガポールは、国土は狭いものの、税制の優位性を基盤に今後も力強く経済発展を遂げていくでしょう。こうしたダイナミックな市場に挑戦する日本企業が増えています。メイド イン ジャパン ブランドの知名度を活かして飛躍する企業が生まれることは今後確実でしょう。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!