コロナ禍はチャレンジの好機!?シンガポールで起業するには?


コロナ禍のシンガポールでは「就労許可証、難化の一途」など厳しいニュースが多い2020年です。一方で、会社員として働くのでは無く、自分自身で事業を興したいと考える人も増えていると聞きます。日本人にとっては外国のシンガポールで、事業を立ち上げるにはどのような方法があるのでしょうか

起業のタイプ

ひと口に「起業」と言っても、幾つかのタイプがありますので、まず代表的なパターンを整理してみたいと思います。成功確率をあげるには、まずご自身の起業目的と目指す方向性を明確にするのが重要です。

所属組織からの独立
士業の方や専門職に多いパターン。いわゆる事業会社にご勤務の方も、在職中に培ったノウハウとネットワークを活かして同業種で事業を開始するケースは少なくありません。講師や広義の意味でのコンサルタントも、それまでの業務経験をベースに行うケースが大半だと思いますので、ここに含みます。

スモールビジネス
「既存市場」の中で、大きな初期投資を必要とせずに立ち上げて展開していくビジネス。既に存在している市場のため同業他社が存在しますが、それは顧客ニーズが確かめられている証拠でもあります。そのため、戦略を大きく間違えない限り、開始時から売り上げが立ちやすいと言えます。

スタートアップ
再現性と拡張性のある新しいビジネスモデルや技術で短期間に急成長し、5~10年以内に上場か売却で大きな利益が見込める企業体。それまでに無い市場のため、初期の売り上げはゼロか極めて少額ですが、ひとたび市場が確かめられると、一気に急成長します。従って、ここには独立・開業等は含みません。

スモールビジネスがスタートアップ化したり、逆にスタートアップが思ったよりスケールせずにスモールビジネス化する場合もありますが、出発時点では概ね上記3つに大別されると思います。留意点として、上記のどのタイプだとしても、外国人がシンガポールで起業する場合、フリーランスや個人事業主としての立ち上げは、永住権保持者以外は不可能なので、何らかの形で「法人」からスタートすることになります

独立やスモールビジネスを目指す場合

既にシンガポールで就労している方も、シンガポール国外から新たにビジネスを立ち上げようとする方も、完全にオフショアで展開する場合以外は、就労ビザが必要になります。この場合、殆んどの方が新しく立ち上げる会社から「エンプロイメントパス(通称EP)」を出してもらう形になります

立ち上げる人の属性(経験値、年齢、その他)と事業の将来性にもよりますが、一般的には、半年から1年程度の運転資金を準備する必要があるでしょう。その上で、就労ビザを管轄するシンガポール人材開発省(通称MOM)の方針を十分に理解した事業計画を練ることが重要です。

MOMは、シンガポールに不足している産業分野のナレッジや技術の移転、シンガポール人の雇用を生み出す事業を歓迎しています。「この新しい会社でこの外国人に就労ビザを許可すると、シンガポールにどのような価値がもたらされるのか?」 この問いにロジカルに回答できれば、スムーズに就労ビザを習得できるはずです。

スタートアップを目指す場合

独自のビジネスモデルや技術で急成長するスタートアップを志向する場合、「起業家ビザ(アントレパス)」を得て、事業を進めていく方法があります。このアントレパスを得るには、以下3つのどれかに該当する必要があります。

アントレプレナー 
・政府スキーム、または政府認定のエンジェル投資家やベンチャーキャピタルからSGD100,000以上の投資を得ていること
・政府指定のインキュベーターやアクセラレーターのプログラムに合格し参加していること
・過去にテックスタートアップの起業・売却経験があること、その他顕著な起業家としての実績があること

イノベーター 
・IP(知財)保有
・シンガポール政府指定の研究機関や大学等で共同研究をしていること
・科学や技術の分野で顕著な功績があること

インベスター
・スケールの期待できる事業に多額の投資をすること
・8年以上、大企業で幹部経験があること

1~3ともに、明確な基準設定が無く解釈が難しい部分がありますので、ご自身が該当するかは、事前に担当省庁に個別に直接確認することをお勧めします。
https://www.mom.gov.sg/passes-and-permits/entrepass/eligibility

アントレパスのメリットは幾つかありますが、最も大きな利点は、EPと異なり取得にあたって「最低給与の指定が無い」ことでしょう。初期資金は殆んど無いけれど、ビジネスアイデアに自信のある方は、政府指定のインキュベーター・アクセラレターのプログラムに応募し合格すること、またサイエンスの分野で実績のある方は政府の指定研究機関や大学とコラボレーションすることで、1年間有効なアントレパスを得ることが出来ます。

メリットの多いアントレパスですが、起業2年目以降にこのパスを更新しようとする場合、シンガポール人の雇用等の指定条件を満たす必要があります。そのため、事業の進捗に応じて、2年目以降はEPに切り替える場合も多いようです。しかしながら、EPにも取得基準がありますので、大前提としてどちらにしても、シンガポール政府は短期間にある程度の成果をあげる事業を望んでいると言えるでしょう。

事業を立ち上げて一定以上の規模に拡大していくのは簡単なことではありませんが、北米やヨーロッパと比較した場合、シンガポールは外国人の起業がしやすいことに間違いはありません。シンガポールで仕事をしてみたい方で、ビジネスアイデアに自信のある方、サイエンスの分野で実績のある方は、ぜひ就職では無く、「起業」も選択肢にいれてみてはいかがでしょうか?

政府指定のインキュベーターやアクセラレーターは多数ありますので、ご自身の強みを活かせるプログラムを調べて応募するなど、ぜひはじめの一歩を踏み出して下さい。

※本稿は、2020年12月現在のMOM(人材開発省)公開情報、また一部、弊社調査をもとに作成しています
※就労ビザの要件は頻繁に変わる傾向にあります。申請にあたっては、MOM(人財開発省)また状況に応じて専門家から常に最新情報を得ることをお勧めいたします


記事寄稿:ExpertConnect Asia
Web:https://expertconnect.asia/

この記事を書いた人

SingaLife編集部