スポーツでのケガ・子ども特有の痛み・キズ 対処法

シンガポールでの生活において、子どもが学校や部活、スポーツで怪我をしたり、自分や家族がスポーツで怪我をした際に「どうすればいいの」と悩んだ方も多いのではないでしょうか。そんな方必見!

今回は日本整形外科学会からスポーツ医の認定を受けている日本人ドクターに、私たちに身近なケガや痛みに対する知識と対処法を教えていただきます。



整形外科とは

整形外科は、運動器官を構成する組織である骨、軟骨、筋、靭帯、神経などの疾病・外傷を対象とし、その病態の解明と治療法の開発および診療を行う専門領域です。

診療や治療は、新生児、小児、学童から成人、高齢者まで全ての年齢層が対象になり、治療内容と治療の必要な患者数が極めて多いのが整形外科の特徴とされています。

また、現代社会では日常生活中の腰痛・肩こり・手足のしびれなどの身体の不調に悩みを抱える方やスポーツで身体を傷める方が増え、社会的需要も高い専門領域になっています。


医師紹介

陣内祐太医師

日本整形外科学会からスポーツ医の認定を受けている医師。

2022年9月にジャパングリーンクリニックに着任し、スポーツや日常生活での怪我や疼痛、骨粗鬆診、リウマチなど、整形外科分野を中心とした一般診療を担当。
AGA(男性型脱毛症)なども相談可。

 

皆さんに届けたい!スポーツ医のつぶやきコラム

今回は皆さんの生活に身近な3つのトピックに関して、スポーツ医の陣内先生に教えていただきました!

どうすればいい?スポーツケガの初期対応

在星邦人の方は健康意識が高く、その分スポーツによるケガで受診される患者さんも多い印象です。ゴルフやサッカー、テニスやランニングが人気で、足首や膝、肘などを痛めて来院されています。

スポーツのケガで迷うのが初期対応。ふだん患者さんには覚えやすさを考慮して、Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字をとった“RICE”と言われる処置をお伝えしています。患部を包帯やテーピングで圧迫固定し、挙上した上でアイシングする方法です。

そんな中スポーツドクターの間では近年、“PEACE & LOVE”と言われる新たな概念が提唱されています。“PEACE & LOVE”は、RICE処置に加え、なるべく鎮痛薬を使わずに痛みと上手く付き合いながら症状を改善していくというものです。当院ではそれに理学療法士よるリハビリテーションを加え復帰までをサポートしていきます。

ちなみにアイシングは湿布で代用可能ですか?とよく聞かれますが、湿布は消炎鎮痛に用いられメントール成分でひんやり感があるものの、アイシングとは異なります。ケガをした直後はアイシングによるケアを行いましょう。


”成長痛”?子ども特有の痛みについて

成長期のお子さんで悩ましいのは、スポーツによる痛みなのか成長に伴う痛みなのかが分かりづらいところです。実は医学的には“これが成長痛です!”というものはなく、原因はさまざまです。しかしその中には、成長軟骨(いわゆる成長線、骨端線です)損傷や疲労骨折が隠れていることがあり注意が必要です。

例えば中学生ぐらいのスポーツをしているお子さんで、運動時の膝やスネの痛みを訴える場合。単なる成長痛ではなく、オスグッド病(膝の軟骨剥離)や疲労骨折の可能性があり、装具着用やリハビリ治療が必要となります。

また、腰痛は特に要注意です。10代の腰痛の中には腰椎分離症と言われる疲労骨折が相当数隠れています。子どもは本来腰痛をあまり起こしませんが、こちらもスポーツをしているお子さんで2週間以上腰痛が続けば、MRIなどの精密検査が必要になる場合があります。単なる腰痛と思って放置しておくと、大人になって慢性的な腰痛に悩まされることになりかねません

ちなみに子供の骨量を上げるには、女子は10歳、男子は12歳前後の約4年間でしっかりと運動習慣を身につけることが重要です。親御さんとしては中学受験と重なるため悩ましいところですが、学校や週末にスポーツを継続するように努めましょう。


キズの対処法

最後にスポーツと切っても切り離せないのがキズです。キズと一口に言っても切りキズや擦りキズ、打撲によるキズなどさまざまです。

キズは医学的には“傷”と“創”に分けられ、“傷”は打撲など出血を伴わないもの、“創”は出血を伴うものとされています。切りキズや擦りキズは専門的にいうと切創、擦過創といい、両方とも“創”にあたります。

キズの処置で一番大事なことはバイ菌感染させないこと。消毒液ではなく水道水で十分ですので、まずは泥や汚れを洗い流すようにジャバジャバ洗いましょう。真っ赤に腫れたり膿が出たりとバイ菌感染が疑われる場合は病院にて抗生剤の飲み薬や点滴を行います。

その後は出血源の特定と止血。出血部分を探し、とにかく圧迫して止血します。キズが深い場合は縫わなければいけません。判断はご家庭では難しいので、医師の判断を仰ぎましょう。

最後はキズの保護。以前はガーゼや絆創膏を当てて乾かすのが一般的でしたが、現在では浸出液の中に傷を治す成分が含まれているとされ、キズは乾かさない方が治療に有利と言われています。ハイドロコロイド素材(キズパワーパッドなど)のテープを使用しましょう。

シンガポールではその気候のおかげで年間通してスポーツができる環境にあります。そのため時にオーバーユースになり慢性的な症状に悩まされることも少なくありません。最初は軽い症状でも放置しておくと治療に難渋することがあるので、異変を感じたら早めに相談することをお勧めします


ジャパングリーンクリニックについて

1983年に開設された、日本人医師団・日本語医師により日本と同様の医療サービスを提供するクリニック。小児科、内科、整形外科、外科、婦人科などの外来診察の他、院内にX線、超音波、内視鏡、血液分析装置などの医療検査機器を備え、日本仕様の健康診断を行っている。

整形外科領域は日本人医師と日本人理学療法士が担当し、次のような症状に対応している。

【こんな時に】
●腰痛、ぎっくり腰 
●肩痛、五十肩 
●肩こり
●手・手首・首・肘・ひざ・背中・足などの痛み
●成長期の足の痛み 
●関節痛 
●肋間神経痛
●リウマチ 
●手足のしびれ 
●怪我 
●ぶつけた、ひねった、思うように動かない
●スポーツに伴う痛み(ゴルフ腰、野球肩、テニス肘等)
●リウマチ 
●外反母趾 など

ジャパングリーンクリニック(Japan Green Clinic)
住所:290 Orchard Road #10-01 Paragon, S238859 (Tower 1, Lobby E)
最寄駅:Orchard駅、Somerset駅
予約受付時間:月〜金 8:30-12:30/13:30-17:30、土 8:30-12:30
定休日:日・祝
電話番号:6734 8871(日本語)
メール:reception@japan-green.com.sg
WEBサイト

 



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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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