シンガポールの物件HDBとは?SingaLife編集部の体験談をお届け!
HDBとは
HDBの前身のSIT(Singapore Improvement Trust)は 1927 年に正式に設立され、当初はシンガポールのインフラを改善する任務を負っていました。1930年代にSITは公営住宅の建設に直接関与するようになり、プロジェクトは戦後拡大していきましたが、1960年に解散し、公営住宅プログラムはHDBに引き継がれました。
HDBとは、Housing & Development Board(住宅開発庁)、シンガポールの公営住宅当局で、国家開発省管轄の法定機関です。そしてこのHDBが管轄する公営住宅の総称もHDBと呼ばれています。
住宅開発庁はシンガポール国民に手頃な価格で住宅を提供し、シンガポール人の80%以上がこのHDBに住んでおり、そのうち約90%がHDBを購入して持ち家としています。
HDBとコンドミニアムの違い
価格・大きさの違い |
まずは、価格の違いが挙げられます。HDBが掲げる「手頃な価格で質の高い住宅を提供」というポリシーの元、立地により異なりますが一般的にHDBの方が金額は抑えられています。
2022年の価格に基づくと、HDBは平均1平方フィートあたりS$507、コンドミニアムはS$1731。つまり、もし100万ドルあればHDBは1972平方フィート、コンドミニアムは577平方フィートの大きさのものを買えます。同じ価格でも小さなコンドミニアムではなく、大きなHDBフラットというのは大きな違いですよね。
利便性 |
コンドミニアムからHDBに住み替えたくなるもう一つの理由は、CBD(Central Business District)の近くに住むこともできることです。HDBはコンドミニアムより価格が安いので、便利な場所に住むことが可能です。通勤場所がCBD近くなら、CBDに近いHDBだと便利ですね。
CBDエリアのコンドミニアムだとかなり金額が高いので、余程の予算がないと購入は厳しいでしょう。CBDはシンガポールの中心部、その便利さはいうまでもありません。
HDBのメリット
HDBはシンガポールの象徴とも言えます。例えばマウントフェーバーの頂上やシンガポールフライヤーなどから眺める遠くに連なる巨大なビル群は全てHDB。圧巻です。
24のタウンと3つの団地に100万戸以上のフラットを要するシンガポールの公営住宅は、他国の公営住宅とは全く違います。海外ではどちらかというと低所得者対象というイメージがありますが、シンガポールの公営住宅を見ればそのイメージは覆されるでしょう。
公共交通機関へのアクセス |
HDBは一般に公共交通機関へのアクセスが良く、MRTの駅近くにあることが多いです。MRTから距離があっても、HDBからバス停までの間にはシェルターがついていることが多く、雨でも濡れずにバス停まで行けるなど、よく考えられています。
買い物なども便利 |
ショッピングモールやウエットマーケットなどにも近いことが多いので、車がなくても不自由はなく暮らせます。またHDBの一階にプレイグループや保育園幼稚園などがある場合もあり、子どもの送り迎えも便利。
またクリニックやミニマート、場所によってはコーヒーショップやホーカーが入っていることもあるので、より便利。全てが居住エリアで済ませられるようになっています。
公園やプレイグラウンドなどもあり |
公園が隣接してあったり、プレイグラウンドやフィットネスコーナー、ドッグランなどもあるところも。またポンゴルウォーターウェイなどのように美しい水辺があったり、スカイガーデンと呼ばれるような屋上があったり、コミュニティーで貸し出ししているガーデンで野菜を育てたりすることも可能です。
公共機関も揃っている |
HDB周辺には生活を快適にする公共機関や施設が増えてきています。例えばTampinesのOur Tampines Hubのように、スタジアムからプール、図書館にCPFなどの公共機関もできるなど、全てを統合した施設も増えてきています。これもひとえに住民の利便性を考えて作られています。本当に国民や住民について考えられているな、と感心します。もちろんコンドミニアムの近くにある場合もありますが。
HDBのデメリット
セキュリティ |
こちらに関してはコンドミニアムは万全です。セキュリティが常駐で、セールスの人が自宅を訪問したりということはありませんし、宅配なども預かってもらえるのは安心ですね。
その点、HDBはわりと頻繁に物売りが来たり、寄付を募りに来たり、勧誘などが来る場合もあります。特に最近はいろいろ巧妙な詐欺もあるようですし、この部分はHDBに住む大きなデメリットの一つといえます。
プールなどの設備がない |
やはりプールやクラブハウス、フィットネススタジオなどの設備があるのはコンドミニアムの利点です。お子さんのお誕生日やちょっとしたお集まりなど気楽に行えるのは魅力です。また特に大型コンドミニアムだとスイミングレッスンなどを行なっていたりすると、気楽に参加できるのはいいですね。
【フィアンセ制度】HDBの新規購入・予約方法
さて実際にHDBを購入するにはどうしたらいいのか、と思われる方もいると思います。ですが残念ながら外国人(永住権保持者は除く)は購入できません。HDBはあくまでもシンガポールの国民、永住権保持者が対象の政策だからです。
今回は実際に購入したシンガポール人カップルの例を挙げてご紹介します。年齢は男性が28歳、女性が30歳、ともに初婚でHDB申請は初めてです。
2人では新築のBTO(Built To Order 受注生産)を申し込むか、一般市場で再販フラットを購入することができます。今回はFiancé/Fiancée制度を使い、BTO(Built To Order 受注生産)を選びました。
フィアンセ制度
フィアンセ制度とは 、結婚前にフィアンセと一緒にHDBフラットを購入することができるという制度です。交際中で近い将来結婚する予定のある方ということです。
応募資格
シンガポール国民(SC)同士、もしくはカップルの1人が国民かシンガポール永住権保持者(SPR)であるカップルは新築または再販フラットを購入可能。 年齢21歳以上、HDBの購入完了から3ヶ月以内に結婚証明書が必要です。 |
※婚約者が21歳未満の場合
婚約者は、フラット申請書の中心的入居者としてのみ記載することができます。HDB Flat Eligibility (HFE)レターの申請書を提出する前に、e-Feedbackフォームから、ご本人と婚約者の詳細(フルネーム、NRICなど)をお知らせください。
※※申請者は少なくとも3年間SPRの資格を有している必要があります。
世帯月平均総所得上限(プロジェクトによる) 3ルーム:S$7,000、S$14,000 4ルームおよび5ルーム:S$14,000またはS$21,000(家族で購入する場合のみ) |
予算をチェック
まずは予算チェック。
CPFの残高、住宅ローン範囲の計算などが決まったら、HFEレター申請をします。HFEレターとは、あなたのHDBフラット受給資格、CPF住宅助成金受給資格、HDBローン受給資格、および受給資格とローン可能額を教えてくれるものです。これにより資金計画ができます。
場所選び
人気のエリアは競争率が高く、何度応募しても当たらない場合もありますし、一度で希望の場所が得られることも。幸い今回のカップルは一度で人気エリアをゲット。予算チェックをしたサイトで新しく発表される新築HDBの情報などがアップされていますので、そこから選びました。
3〜5年で完成
新築物件は3〜5年で完成します。鍵を受け取ったら内装にかかります。人により内装にかける予算は違い、このカップルの場合は、内装に力を入れるので、S$100,000くらいかかる予定です。現在は家具などを入念に選んでいるそうです。新築だとこういうワクワク感があるのがいいですね。
実際に住んでみてどう?SingaLifeスタッフの感想
筆者は、最初の家を新築で購入し、5年後に売却。現在再販フラットに住んでいます。古いHDBなので現在のものより広いですが、古いタイプなのでキッチンにダストシュートがあるのが悩みです。そこからG(ゴキブリ)が入って来るんです!ここはGが嫌いな方はチェック必須の部分ですね。かなり改装したので、新築を売った際の余剰金はほとんど費やしてしまいました。
HDBアップグレードプログラムで、エレベーターも各階止まりに(以前は奇数階のみ!)、また洗濯物千しも新しくなり、安全になりました。数年ごとに外壁も塗り直しています。こちらはエレベーター以外は無料です。
また希望者は有料ですが、バスルームやトイレ、玄関ドアとグリルも市価より安く改装できました。といろいろと政府が手を入れてくれるのは、HDBの良さですね。長年住んでいる間にバス停までのシェルター(屋根)も付けられ、便利になりました。
目の前は公園、近くにはスーパーも数か所あり、コミュニティセンターもあり、いろいろなコースやスポーツ施設もあります。公営プールやジムなどもあり困ることは全くありません。筆者には男女の子どもがいますが、別々の部屋も与えられましたし、幼稚園や学校も近く、よかったと思います。
もちろん場所や隣人、職場へのアクセスなどにより変わって来るとは思いますが、コンドミニアムでなくHDBでも問題はないかも。
リノベーションで快適に
唯一の後悔はあまり腕のない改装業者を選んだことです。あちらこちらに不満が多く、またクローゼットにドアなどがうまく閉まらなかったり、形が合わないからとドアを削られ、その結果、毎回ドアが壁にぶつかるなど不満です。
ですから知り合いからの紹介(できればその人の腕前を見れたらベストですね)、または、信頼できる会社を選ぶことでしょう。
HDBをレンタル
現在、コンドミニアムに住んでいるかたで、更新の際に驚くほど家賃が上がりHDBへの転居を考えている方もいるとか。HDBの家賃もは上がっていますが、コンドミニアムよりは安くなっており、2年契約まで可能です。一度候補の一つとしてお好きなエリアで探してみてもいいかもしれません。
懇意にしている不動産エージェントか、自身で探せるようならProperty Guruなどの不動産のサイトを見てみても。
HDBはシンガポールの象徴
国民のほとんどが暮らすHDB。最近は内装も凝っており、コンドミニアムと同じかそれより高い水準のHDBもあります。おうち選びのひとつに加えてみてもいいかもしれません。家具付き家具なし、一部屋貸しなどもあるので、単身者にもおすすめです。
より地元に密着、シンガポールでしか味わえないHDB暮らしも悪くないかもしれませんね!
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この記事を書いた人
林じゅん子
長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ