いよいよ突入したフェーズ3。冷静な対応がニューノーマルのカギ

シンガポール政府が12月28日からフェーズ3に移行すると発表した12月14日から、みなさんフェーズ3に突入するのを心待ちにしていたのではないでしょうか。

しかし、フェーズ3開始のニュースが発表されたとき、教育セラピストであるJune Yongさんは喜びと同時にしらけている自分がいたと言います。

リー・シェンロン首相は「ワクチンが利用できるようになった今、(新型コロナウイルスに苦しめられた)トンネルがいよいよ終わりにその先に光が見えます」と述べました。ある程度の日常が私たちの生活に戻ってくることになるでしょう。

例えば、
・6人以上の家族がレストランの別々のテーブルに座る必要がなくなったこと
・2021年の旧正月の再会ディナーのためにもっと多人数で過ごすことができること
・礼拝所により多くの人が受け入れられること
などなど。しかしながら、多くが変わるわけではありません

マスクの着用は今でも日常の景色となっているし、8人のグループで会えるようになったからといって年中無休でパーティーを開くわけではありません。5人から8人になった程度の規制緩和では、日常生活にそれほど影響を与えないでしょう

2020年は多くの時間を自宅で過ごさざるを得なかったですし、ワクチンが普及したとしても新型コロナウイルスの暗い影から完全に抜け出すまでには時間がかかりそうです。

得たものと失ったもの

シンガポールで毎日、新型コロナウイルスの陽性者が1,000人を超え、人々がトイレットペーパーなど生活必需品を買い溜めしていたとき、緊急事態の危機に瀕していましたが、市民は外出時にはマスクを着用し、手洗いやセーフディスタンスを慣行することで、重大な危機になる状況は回避しました。

しかし、現在に至るまでにあまりにも多くのものを失ってしまいました
失ったもの。それは仕事であり、安定した経済状況です。さらに心身を病む人、夫婦間がギクシャクした人もいるでしょう。また、愛する人を失い、弔いの場も満足に設けることができずに、悲嘆にくれた人もいるはずです。

悲嘆に暮れても大丈夫

2020年は、結婚式から誕生日会に至るまで、すべてのお祝いごとがトーンダウンせざるを得ませんでした。しかしこれは必ずしも悪いことばかりではなく、自分と近しい人を大切にすることを改めて認識しました。

新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、私たちは自由に外出することができず、自宅にとどまらざるを得ない状況に追いやられ、苦しんだ人もいるでしょう

この苦しみや悲しみは、私たちのマインドに様々な影響を与えて、家をリフォームしたり、新しい趣味を見つけたりすることで自身をコントロールし、私たちの大多数は次第にこの新しい生き方に慣れていきました

「はっきりしない喪失感」

1970年代に、ミネソタ大学の社会科学のポーリーンボス名誉教授は、はっきりしない喪失感という用語を作り出しました。雑誌「Psychology Today」の記事で、ポーリーンボス教授は、現在の新型コロナのパンデミックがそのような状態を引き起こしていると説明しています。

新型コロナの流行によって、私たちは健やかな心身状態をなくし、自分の生活をコントロールしにくくなりました。これらは明確ではない、はっきりしない喪失感だといえます。対照的に、愛する人や失業、会社の倒産などは、はっきりとした喪失となります。

喪失感への対処法は、それを乗り越えることです。
ポーリーンボス教授は「人々に悲しみを感じさせるほど、失ったものがなくても生きていくための新しい方法を早く見つけることができます」と言います。
ですから、フェーズ3が何をもたらしてくれるのか考えてみましょう。

例えば
・両親をおいしい食事に連れて行くことができる
・親友とおいしいスチームボートを囲むことができる
などなど。

わくわくするできごとを数えると同時に、2020年に失ったものについて悲しむための心のスペースも残しておいてください。

おそらく苦しみと悲しみの本当の意味を見つけたとき、新型コロナウイルスのパンデミックの状況の中、見つけた希望に感謝することができるはずです

この記事を書いた人

SingaLife編集部

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