シンガポールで映画館が再開!観客人数制限ありつつも、新作が続々公開。

7月13日、シンガポールでは新型コロナの影響で3月27日から長期にわたり閉鎖されていた映画館が、やっと扉を開きました。

映画は娯楽の筆頭に位置する、1番身近な楽しみであるシンガポール。映画館のビッグスクリーンで映画を新作見たいと願う人は多数いました。

主要映画館であるゴールデンヴィレッジやキャセイ、ショウなどのFacebookページには多くの喜びの声が寄せられています。

IMDA(Infocomm Media Development Authority=情報通信メディア開発局)の統計によると、2019年の映画興行配収は175万4千ドル、日本円にして約135億5千万円、シンガポールでは巨大市場のひとつです。3月下旬〜7月中旬までのほぼ3ヶ月間閉鎖されていたため、単純計算で既に約4分の1が失われたという事になります。

映画ファンを元気付けるためにも、他の部署に移って働きながら再開を熱望していた従業員、そしてもちろん映画産業を壊滅的な被害から守るために、1シアター最大50人という制限でも映画館再始動を決めた各映画館に拍手を送りたい。

最大手映画館グループのゴールデンヴィレッジの担当者は「確かに1ホール最大50人までというのは、平日夜や週末には痛手です。ただ営業再開が許可された以上、この課題に挑戦し出来る事から始めなければいけません。そう言った意味合いからコアである映画上映だけでなく、別な側面からも新しいビジネスのあり方を考えています

ecapitamall.comでEコマースストア“House Of MrPop cornを作り商品を販売したり、フードデリバリーを始めたそうです。

現在、各映画館では、営業を停止する前に公開していた映画や過去の人気作品も公開しています。先日筆者が見たのは2本。「僕のヒーローアカデミア 2人のヒーロー」は既に公開済みだったこともあり30人程度でしたが、平日だった事を考えれば十分健闘したと言えるでしょう。
映画自体も素晴らしく、ヒーローアカデミアらしい力と勇気を与えてくれる良質な作品でした。TVアニメ版を見ていない方には感動の度合いは低くなるかも知れませんが、鑑賞後はきっとTVアニメ版を見たくなること間違いなし!もう一本は次で紹介するPeninsulaです。

Peninsula含め、新作をご紹介します!

1.Peninsula

2016年に世界160カ国で大ヒットしたゾンビパンデミック映画「Train To Busan 邦題「新感染」の続編。カンヌ映画祭公式選出映画。現在までに185カ国で上映決定。シンガポールでは香港、台湾と並び韓国と同時公開。

ストーリー韓国全土を絶望の淵に叩き込んだ大惨事から4年。完全封鎖された見捨てられた半島となった韓国。4年前にからくも脱出を果たした、元韓国軍兵士ジョンヒョン。今では香港でどん底の生活をしていた。そこに香港マフィアからソウルに残された闇資金2000万ドル回収の依頼が入る。起死回生を目指しソウルへと向かうジョンヒョンたち。しかしそこに待ち構えていたのは強度を増したゾンビ達と自らの欲に忠実に生きる人間たちとが渦巻く、壮絶な世界だった。

出来るのか、それとも…。

キャスト
ジョンヒョン:カン・ドンウォン(ゴールデンスランバー)
ミンジョン:イ・ジョンヒョン(軍艦島)
監督
ヨン・サンホ(新感染 ファイナルエクスプレス)

前作はソウルから釜山行きの高速列車の中で発生した伝染病に感染しゾンビのようになった人間達と、生き残るため戦う人間の逞しさと優しさが胸を打った作品だった。恐怖と感動が両立していた。今回の「Peninsula」はプロットだけは同じだが、全く別作品と考えた方がいい。もちろん前作でも人間の身勝手さは克明に描かれていた。でも今回はせっかく生き残ったのに、それでも欲望のみに生きる人間の残忍さや醜さには更に辟易とするものとなっている。そして圧倒的なアクションシーンは、ハリウッド映画のマッドマックスやターミネーターを彷彿とさせるアクション大作に仕上がっています。膨大な数のゾンビが自在に動き回る、荒廃したソウル市街の映像はすごいの一言。
主演のカン・ドンウォンもキレのあるアクションで素晴らしいが、なんと言っても2人の娘を持つ生き残りであるミンジョン役を演じたイ・ジョンヒョンがすごい。奇しくも日本でも女優、歌手として挑戦していた時期もある。彼女の、華奢な体を物ともせずガンガン戦う姿は正にサラ・コナーのよう。奇しくも記者会見でカン・ドンウォンが言ったように「本当のヒーローは生き残ったミンジョン一家」パンデミックを生き残った真のヒーロー。

ラストは賛否あるかもしれません。が、前作と同じように監督からのメッセージが込められています。明日への希望を、そして決して諦めない力を。
コロナ禍でのうっぷんばらしに最適。

7月15日より公開中


2.Fukushima 50

2020年3月6日に物議をかもしながらも日本公開した本作。福島第一原発の事故の関係者90名に克明にインタビューして書かれた門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫)を基に、日本を代表する俳優陣が結集。リアルで息詰まるような熱い作品となっている。

ストーリー2011年3月11日午後2時46分、マグニチュード9.0、最大震度7、東日本大震災発生。通称イチエフと呼ばれた福島第一原発にメルトダウンの危機が迫る。唯一残された方法はベントと呼れる、原子炉内に入り手作業で行われる方法のみ…。海外メディアからFukushima50と呼ばれた作業員たちのその真実の姿、生死をかけた戦いであった。

キャスト
1、2号機原発当直長伊崎:佐藤浩市
福島第一原発所長吉田:渡辺謙
5、6号機当直長前田:吉岡秀隆
緊急対策室総務班:安田成美
監督
若松節朗

あの未曾有の災害から既に9年。時の流れの早さに改めて驚きました。
そして福島第一原発で起こった事を記憶の彼方に追いやっていた事を思い出しました…。
ここで演じる俳優陣も、実際にあの過酷な状況を擬似体験していたのではないでしょうか。彼らの鬼気迫る演技は観客である私達にも、同じ体験を迫ります。
国民の為に命をかけて戦った作業員に方々に心から敬意を評し、目を逸らさずに見届けたい。日本人として観ておきたい作品。

予告編 https://www.fukushima50.jp

シンガポールでの公開に先駆け、ここで映画冒頭7分間を視聴できます。7月30日より公開。


3.TENET

ヒットメーカー、クリストファー・ノーラン監督の新作。2億ドルという巨額資金を投入し作られた大作。コロナ禍で公開が延びていたが8月13日からシンガポール公開!
CG嫌いとして知られる監督ゆえ、今回は実際に747ジェットを爆破したという。徹底的にリアルさを追求する監督ならでは。期待大。

ストーリーTENET。この言葉が生還への鍵であり、危険をも呼ぶ。第三次大戦を阻止するというに任務を負った名もなき男は、未来を予測できる能力を持っていた。タイムトラベルではない。時間の逆行。果たして彼の未来は。

キャスト
主人公:ジョン・デヴィッド・ワシントン(ブラッククランズマン)
ニール:ロバート・パティソン(トワイライト)
監督
クリストファー・ノーラン(ダークナイト、インセプション、ダンケルク)

ジョン・デヴィッド・ワシントンの父は、名優デンゼル・ワシントン。ブラッククランズマンで、2世俳優という括りから脱却したライジングスター。そして次のバットマンにも決まっている、ロバート・パティソンの共演というだけで見たくなる作品。真剣に見ないと映画の仕掛けを見落とすかも。気合を入れて臨みたい。そして力技のNO CG映像に度肝を抜かれたい。

新作を見る前にノーランズワールドを味わいたい向きには、「インセプション10周年記念上映」を楽しんで欲しい。7月30日から期間限定で公開となります。夢に入って他人のアイデアを盗む産業スパイのコブ(レオナルド・ディカプリオ)にインセプション、実現不可能と言われた依頼が入り…。TENETの前哨戦。ぜひこちらも。ゾクゾク必至のサスペンス映画。必見

Tenet 予告編 https://trailers.apple.com/trailers/wb/tenet/
8月13日公開予定


4.Escape From Pretoria

ティム・ジェンキンの小説「脱獄」を基にした実話を映画化。白人ながら、ネルソン・マンデラ率いるアフリカ民族会議に参加するティムが難攻不落と言われた刑務所を脱出しようと試みる。ハリーポッターというのも憚られるくらい大人になったダニエル・ラドクリフが好演。

ストーリー1978年、ティム・ジェンキンスとスティーブン・リーはアパルトヘイト撤廃を叫んだために投獄。自由のため囚人仲間と結託し、脱獄を企てる。鉄壁のガードを潜り抜け脱出できるのか?鍵は木製の鍵。10の鍵。

キャスト
ティム・ジェンキンス:ダニエル・ラドクリフ
スティーブン・リー:ダニエル・ウェーバー
デニス・ゴールドバーグ:イアン・ハート
監督
フランシス・アナン (脚本とも)

ティム達の頭脳と根気に学ぼう。何事もアイデアと思い知らされる

7月13日より公開中


その他、ゴールデンヴィレッジでは20ドルで、旧作セレクションの中から4本を見られるスペシャルチケットを発売中。ジョン・ウィック2、3など過去の話題作多数。
https://www.gv.com.sg/GVPromotionDetails#/promotion/1a458b82-d41b-495b-8472-337ff56a6296

その他、引き続き話題作が続々公開予定です。お楽しみに!

この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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