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【徹底ガイド】貴重な収蔵品ばかりのシンガポールオルゴール博物館

東南アジアで唯一のオルゴール博物館で秘められたシンガポールの歴史や文化を発見

高層ビルが立ち並ぶテロックアヤにあり、シンガポールでもっとも歴史がある古刹「シアンホッケン寺院」。ユネスコの登録遺産でもあるこの寺院に隣接して佇むのが「シンガポール・オルゴール博物館(Singapore Musical BoxMuseum)です。

この東南アジアで唯一のオルゴール博物館には、大小約30台のアンティーク・オルゴールが収蔵され、古いものは今から250年以上前に制作されたものもあります。スイスやドイツ、アメリカで職人の手によって生み出されたオルゴールは今でも優美な音色を奏で、秘められたシンガポールの歴史や文化を感じられます。今回、館長の南匠さんに特別に案内していただきました。

館長です!

南匠さん
南匠(みなみ・たくみ)37歳
1982年タイ生まれ、北海道育ち。
35歳で商いの世界から一転、シンガポールで博物館館長となる。日本では障害児童や発達障害者の支援施設を運営し、家では妻と3人の子どもと共に、家庭を愉しんでいる。毎年地球4周分以上移動するジェットセッターでもある。

博物館が大切にする理念「3C」

シンガポールオルゴール博物館が大切にしている理念として3つのCがあります。
・Culture(文化)
人類が初めて手にした音楽を楽しむ機械=オルゴールの歴史にシンガ
ポールが深く関わっている史実と、その文化を保存し、発信していく役割
・Children(子どもたち)
廃れてしまう文化と継承される文化の違いは「次世代に認めてもらえ
るか」。子どもたちに興味関心を持ってもらえるように取り組む。
・Cosmopolitan(世界市民)
国籍や宗教を乗り越えた独自の文化を持つ世界市民たち。アジア初
のコスモポリタンとしてのシンガポールを、歴史・文化の面から支援。

いずれもオルゴールを後世に引き継いでいくために大切な理念です。

遺産<過去から現在へと繋がるもの>

シンガポールオルゴール博物館には、いまから160年も前、1860年代に作られたアンティークのオルゴールが収蔵されています。過去に作られた傑作を現在に繋げる役割が博物館にはあります。
貴重な収蔵品のいくつかをここで紹介します。

・シンガポール建国前につくられたオルゴール
建国前オルゴール

シンガポールが建国されるはるか昔、1860年代に現在のシンガポール島内で製作されたオルゴールで、オルゴール・腕時計の業界では世界的に有名なグラハム・ウェッブ氏のコレクションから譲り受けたもの。世界では5台しか確認されていないそう。

・シリンダーが木製のオルゴール

オルゴールの曲、演奏を記録する針を植えた筒の部分をシリンダーと呼びます。このシリンダーは金属製であることが一般的ですが、こちらはなんと木製です。アメリカで作られたこのオルゴールは、シリンダーが木製であるが故に、金属よりも安価に大量生産が可能になりました。

・技術の結晶シンギングバード

オルゴール職人が現代まで積み重ねてきたオルゴール技術の結晶がこのシンギングバードです。箱の側面にあるスイッチを押すと、精巧な作りの小鳥の模型が飛び出して、さえずりを聞かせてくれます。

・ディスク型のオルゴール

オルゴールには3つのタイプがあります。シリンダー型、ディスク型、パンチカード型です。こちらは、博物館の収蔵品でも目を見張るディスク型のもので、シリンダー型のものとは異なり、穴を開けて音楽を記録するものです。これが現代でのレコードやCD、DVDといった記録媒体の原型となりました。

シンガポール最古の寺院

オルゴール博物館がある敷地は、かつて女学院として使われていました。多くの女学生が勉学に励んだこの場所は、現在ではシンガポールでも有数の歴史を感じられる場所になっています。敷地内でひときわ目を引くチョンウィンガー(三重塔)は、1849年に建造され、1973年に国定記念物に登録されました。

財産<現在から未来へと繋がるもの>

過去から受け継がれてきたオルゴールも未来へと受け継いでいかなければ、現在で廃れてしまいます。シンガポールオルゴール博物館では、オルゴールを未来へとつないでいくために、子どもたち向けのイベントを実施しています。

・チャリティイベント
子どもたちにオルゴールを受け継いでもらうために行なっているのがキッズイベント。オルゴールの素晴らしさを知ってもらうため、子どもたちの笑顔のために、現代風にアレンジしたオリジナルオルゴール作りのイベントを開催しています。

・カフェ& ショップ
1階にあるカフェの床やテーブルもプラナカン柄が使われ、可愛らしさ溢れる店内です。平日ランチは100席近い席が毎日満席になるほど人気のラクサやルンダン・チキン。デザートにはシンガポールのソウルフードであるニョニャスイーツも人気で、館長こだわりのここでしか味わえないアフタヌーンティーも数量限定で近日提供開始とのこと。
隣接するショップにはなんと大型のアンティーク・オルゴールも体験できる形で展示されており「ツアーに参加する時間のない見学のみの方や、カフェを楽しむ方にもオルゴールを楽しんでもらいたい。」という館長の心意気には本気の社会貢献を感じました。博物館に立ち寄った際に、町歩きの合間に、特別なプラナカンの雰囲気を味わってみては。

取材を終えて

どれも歴史を感じさせるものばかりのオルゴール。当時、オルゴールを製作した職人は、ミスが許されない重要な工程をどれほどの時間をかけて、どんな想いで製作したのかを考えると、現代の私たちが今聞くことができていることが奇跡とすら思えます。ツアーに参加した方はオルゴールを前にして、当時の職人たちに敬意と感謝を感じずにはいられないでしょう
シンガポールに住んで約1年半になりますが、都心にこんな歴史を感じられる場
所があるとは知りませんでした。都会の喧騒からひとときの間離れて、その音色と歴史に思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。


《 Singapore Musical Box Museum 》
住所:168 Telok Ayer St, (S)068619
電話番号:6221-0102
開館時間:10:00-18:00 日曜・祝日は不定休
www.singaporemusicalboxmuseum.org
日本語ガイドを希望の場合は予約を推奨
予約窓口:9864-6021
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この記事を書いた人
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