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シンガポールの庶民食堂「ホーカー文化」がユネスコの無形文化遺産に 年内にも決定へ

シンガポールの庶民の食事「ホーカー文化」が国際連合教育科学文化機関=ユネスコの無形文化遺産に登録される可能性があります。11月16日、ユネスコの評価機関が登録するよう勧告を行いました。

12人の専門家で構成される評価委員会は、シンガポール政府が申請した「ホーカー文化」が無形文化遺産の基準を十分満たしていると判断しています。「都市化の中で、世代を超え受け継がれる感覚とアイデンティティ」をシンガポールにもたらしているといいます。また「コミュニティの相互作用を強化し、社会や宗教、民俗を問わずにインクルーシブ(他者を包摂するような)社会をはぐくむ重要な社会的役割を果たしている」とも指摘されます。

無形文化遺産、いわば時間とともに変化する「生きた遺産」を保護するユネスコの取り組みは2003年ごろ始まりました。舞台芸術、祭、儀式、口承など様々な慣習が含まれます。これらが次世代に継承され、異なる文化間での相互対話や互いの生き方に対するリスペクトを促進することを理念にしています。

シンガポールは2019年3月に、ホーカー文化の国際的認知度を高めようと登録申請しました。2020年12月14~19日にオンラインで開かれるユネスコ政府間委員会で正式に登録が決まる見通しです。無形文化遺産となった場合、ホーカー文化を保護し、ユネスコに対して6年ごとに報告書を提出する義務があります。

リトルインディアにあるホーカー「テッカ・センター」で30年以上にわたりテー・タリック(紅茶)を提供しているガネーシュ・シンさん(54)は「勧告のニュースに思わず息をのみました。若い人が入ってきてくれればホーカー文化は長く続きます。シンガポール人皆にとって良いこと」と期待を寄せています。

シンガポールの国会議員のナディア・アハマド・サムディン氏は、ホーカー文化がシンガポールの食生活の安定において重要な役割を果たしていると指摘。1食数ドルで食べられるようなフードを提供していることは、全ての人に食事にありつける場を提供していることに繋がる、と述べています。また、ホーカーセンターはお年寄りと若者が一緒に働く世代間の架け橋にもなるといいます。

シンガポールのホーカー文化は、元々は個人の路上販売が始まりでしたが、今では組織だったホーカーセンターへと進化してきました。現在国内にあるホーカーセンターは110カ所。約6000のホーカーがあります。

今年はスイス・フランスの機械式時計の製造や、ザンビアのダンス、ポーランドやベラルーシの養蜂文化なども申請しました。このうち25が登録するよう勧告されました。

日本からは宮大工や左官職人などの「木造建造物を受け継ぐ伝統技術」が申請され、ホーカー文化と同様に登録するようにと勧告を受けました。

シンガポール政府にとっては、待ちに待った勧告となりそうです。

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