シンガポール、40年までにすべての公共バスを電気自動車に切り替えへ

シンガポール陸上交通庁(LTA)は、2040年までに国内のすべての公共バスを‎完全電気自動車またはハイブリッド電気自動車に切り替える目標について、「達成に向け順調に進んでいる」と報告しました。

この目標は、地球温暖化対策の一環として、2019年末に定められたものです。
現在、シンガポール国内の公共バスはおよそ5800台。クリーンエネルギー車の割合は、約2%にすぎませんが、走行年数が17年を経たバスは買い替えが義務づけられており、今後の買い替え時に、購入するバスをクリーンエネルギー車に限定すれば、期限として定めた20年以内に、目標達成が可能とのことです。

シンガポール工科デザイン大学(SUTD)のリネット・チア准教授(エンジニアリングシステム・設計・産業エコロジー)は、LTAの計画に関し、「運行距離が短い都市部の公共バスの電化は理にかなったものだ」と指摘。

「電気バスは、ディーゼルバスの燃料補給頻度と比べ、充電頻度は高いが、シンガポールの公共バス路線は距離が比較的短く、固定されており、道路交通状況も予測しやすいため、充電の問題は、重大視されないはずだ」と説明しました。

また、従来のディーゼルバスの2倍近くに上る電気バスのコストをめぐっては、LTAが、「技術革新と電気バスの普及に伴い、コスト低下が見込まれる」との見通しを示したほか、「二酸化炭素排出量の削減は、バスの使用期間全体の炭素税納税額の減少につながる」として、‎マクロ的視点‎から見た電気バス採用の利点に言及する意見も専門家から上がっています。

ただ、自家用車を1人で利用した場合、利用者1人あたりに換算したエネルギー使用量は、走行距離1キロにつきバスの9倍、鉄道の12倍に上り、バスの電化だけでは、シンガポールのグリーン化を推進するうえで十分ではないのが実情です。

この問題に対応するため、政府は今年、クリーンエネルギー車の購入者に給付するリベートと汚染物質の排出量が多い車に課すサーチャージを増額。従来のエンジン車に代わり、電気自動車を使用するよう国民に推奨しています。欧州を中心に、電気自動車の導入が進むなか、シンガポール政府の自動車脱炭素化政策の行方にも今後、注目が集まりそうです。


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SingaLife編集部

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