【シンガポール 標識】交通ルールと日本との違いを知って安全に過ごそう

多民族国家シンガポールは、多文化が入り混じる魅力的な都市国家です。効率的な公共交通機関が発達していますが、徒歩での移動やレンタカーでの観光を検討する方もいるでしょう。シンガポールでの移動をスムーズにするためには、現地の交通ルールや道路標識を理解しておくことが非常に重要です。特に日本とは異なる点も多いため、事前にその違いを知っておくことで、安心して街歩きやドライブを楽しめます。
シンガポールの道路標識とは

シンガポールの道路標識は国際基準に準拠しており、日本と似たデザインも多く見られますが、独自の標識や表現も存在します。公用語の一つである英語で表記されているため、外国人にも理解しやすいのが特徴です。
標識は主に「規制」「指示」「案内」「警戒」の4種類に分類され、交通の安全と円滑な流れを支えています。色や形、記号によって意味が明確に伝わるよう工夫されており、赤い円は「禁止」、青い円は「指示」など共通のルールがあります。
シンガポール独自の交通事情に基づいた標識もあるため、渡航前に確認しておくことが重要です。徒歩移動やレンタカー利用の際、標識の意味を理解しているかどうかで安全性が大きく変わります。特に交通違反に対する罰金が厳しいシンガポールでは、標識に従うことが不可欠です。
では、よく見かける標識とその意味について紹介します。
よく見かけるシンガポールの標識一覧
シンガポールで安全に移動するためには、主要な道路標識の意味を理解しておくことが重要です。ここでは、シンガポールで頻繁に見かける代表的な標識を種類別に紹介します。
規制標識

規制標識は、特定の行為を禁止したり、制限したりする標識です。赤色で縁取られた円形が特徴で、違反すると罰金の対象となることがほとんどです。具体的な標識としては、No Entry (進入禁止) があります。これは赤色の円形に白い横棒が入った標識で、車両の進入を禁止し、一方通行の道路の入り口などで見かけます。
次に、No Waiting (駐停車禁止) は青色の背景に赤い斜め線が二本入った円形標識で、一時的な停車も禁止されます。これに似たものとして、No Parking (駐車禁止) があり、これは青色の背景に赤い斜め線が一本入った円形標識で、停車は可能ですが駐車は禁止されます。
さらに、No U-Turn (Uターン禁止) は青色の背景に赤い斜め線が入ったUターン矢印の標識、No Left Turn (左折禁止) や No Right Turn (右折禁止) は青色の背景に赤い斜め線が入った左折または右折矢印の標識です。
速度に関する標識では、Speed Limit (最高速度) があり、白い円形に赤色の縁取りがあり、数字で最高速度が示されます。高速道路では時速90km、一般道では時速50kmが一般的ですが、場所によって異なります。
最後に、Give Way (優先道路) は逆三角形の標識で、交差点などで他の車両に道を譲る必要があることを示し、日本の「一時停止」に似ていますが停止義務はありません。
指示標識

指示標識は、特定の行為を指示したり、交通の方法を指定したりする標識です。青色の円形が特徴で、従うことが義務付けられています。
例えば、One Way (一方通行) は青色の背景に白い矢印が描かれた標識で、指定された方向にのみ進行できます。Keep Left (左側通行) や Keep Right (右側通行) は青色の背景に白い矢印が描かれた標識で、中央分離帯などで通行する側を示します。
シンガポールは日本と同じく左側通行です。歩行者に関する標識では、Pedestrian Crossing (横断歩道) があり、これは青色の背景に白い人のマークが描かれた標識で、横断歩道があることを示します。また、Roundabout (環状交差点) は青色の背景に白い回転矢印が描かれた標識で、環状交差点への進入を示し、進入する車両は環状交差点内の車両に道を譲る必要があります。
案内標識

案内標識は、目的地までの方向や距離、施設などを示す標識です。緑色の長方形が一般的で、遠方からのドライバーへの情報提供を目的としています。具体的には、Destination Signs (目的地表示) があり、緑色の背景に白い文字で主要な地名や高速道路の名称、出口番号などが示されます。
また、Distance Signs (距離表示) もあり、緑色の背景に地名と、そこまでの距離がキロメートルで示されます。さらに、Service Area Signs (サービスエリア表示) は緑色の背景にガソリンスタンドやレストラン、トイレなどのピクトグラムが描かれています。
警戒標識

警戒標識は、道路上の危険や注意すべき状況をドライバーに事前に知らせる重要な役割を担っています。これらの標識は、日本の警戒標識とは異なり、白地に赤い縁取りが施された逆三角形の形状を特徴としており、視覚的に強い注意を促すことを目的としています。
具体的な例を挙げると、「Sharp Bend (急カーブ)」の標識は、白地に赤い縁取りの逆三角形の中にカーブを示す矢印が描かれており、前方に急なカーブがあることを警告します。
また、「Slippery Road (滑りやすい路面)」の標識では、同様の形状の中に滑りやすい路面を示す車と波線のマークが描かれており、路面状況への注意を促します。さらに、「Road Hump (段差)」の標識には、道路上に段差があることを示すマークが描かれ、速度を落とすよう促しています。歩行者に関連する警戒標識も複数存在します。
「Pedestrian Crossing Ahead (前方に横断歩道)」の標識は、白地に赤い縁取りの逆三角形の中に横断歩道を示す人のマークが描かれており、ドライバーに前方に横断歩道があることを知らせ、減速と注意を促します。シンガポールではこれらの警戒標識を見かけた際、安全運転のために特に注意を払うことが求められています。
街中で見かける注意喚起サイン・標識

シンガポールの街中では、正式な交通標識以外にも、人々の行動を促したり、特定の場所での注意を喚起したりするためのサインや掲示物が数多く見られます。これらは、単なる警告だけでなく、シンガポール社会の規範やマナーを反映していることも多く、現地の文化を理解する上でも興味深いものです。
例えば、公共の場所、特に地下鉄(MRT)の駅構内やバス車内では、「No Eating or Drinking(飲食禁止)」 や 「No Durians(ドリアン持ち込み禁止)」 といったサインが目立ちます。ドリアンは独特の強い匂いを持つため、公共交通機関での持ち込みが厳しく制限されています。
これらのサインは、利用者が快適に過ごせるよう、清潔で秩序ある環境を保つためのルールを示しており、違反すると罰金が科される場合もあるため注意が必要です。
また、歩行者向けの注意喚起も多く見られます。「Look Right/Left Before Crossing(横断する前に左右を確認)」 といった標識は、交差点や横断歩道の手前に設置されており、特に外国人観光客が交通方向の違いに戸惑わないよう促しています。
シンガポールは日本と同じく左側通行ですが、習慣の違いから、うっかり左右を間違えてしまうケースも考えられるため、十分に注意しましょう。
公園やレクリエーションエリアでは、「Do Not Litter(ゴミを捨てるな)」 や 「No Smoking(禁煙)」 といったサインが頻繁に掲示されています。シンガポールは「ガーデン シティ」というコンセプトを掲げており、街の美化に非常に力を入れています。ゴミのポイ捨てに対しては厳しい罰則が設けられているため、これらのサインを見かけたら必ず従うようにしましょう。
さらに、建設現場や作業中のエリアでは、「Danger: Keep Out(危険:立ち入り禁止)」 や 「Wear Hard Hat (ヘルメット着用)」 といった安全に関する警告サインが見られます。これらは、作業員の安全だけでなく、一般市民が危険な場所に近づかないようにするための重要な情報源です。
これらの注意喚起サインや標識は、シンガポールが規律を重んじる社会であることを示しており、住民や訪問者が安全で快適に過ごせるよう、細部にわたる配慮がなされています。街を歩く際には、これらのサインにも目を向け、シンガポールのルールやマナーを尊重した行動を心がけることが大切です。
日本との交通ルールの違いと罰金制度
シンガポールでの移動において、日本との交通ルールの違いを理解することは非常に重要です。特に、その厳格な罰金制度は、旅行者や居住者にとって常に意識すべき点と言えるでしょう。
左側通行と右ハンドル

シンガポールは、日本と同じく左側通行で、車両は右ハンドルです。そのため、日本の運転免許を持つ人にとっては、比較的運転しやすい環境と言えます。
しかし、慣れない海外での運転は予期せぬ事態を引き起こす可能性があるため、常に注意が必要です。交差点での右折時など、対向車線からの車両の動きに注意を払う必要があります。また、歩行者も車道左側から来る車両を意識するよう習慣づけておくと良いでしょう。
信号と右折・Uターン

シンガポールの信号機は、日本とほとんど同じ形式ですが、特定のルールに注意が必要です。特に、青信号点滅の概念が日本にはないため、慣れないうちは戸惑うかもしれません。シンガポールでは、信号が青に変わる前に、緑色の矢印信号が点灯することがあります。これは、矢印の方向にのみ進行できることを示します。
日本と大きく異なるのは、右折(シンガポールでは「Right Turn」)とUターンのルールです。多くの交差点では、専用の右折レーンやUターンレーンがあり、右折信号やUターン信号が点灯しない限り、右折やUターンはできません。信号無視による右折やUターンは重大な違反となり、高額な罰金の対象となります。
また、一部の交差点では「Discretionary Right Turn(裁量的な右折)」という表示があり、対向車がいない場合に限り、赤信号でも右折が許可される場合がありますが、これは非常に注意が必要です。
ERP(電子道路課金制度)と高速道路

シンガポールでは、ERP(Electronic Road Pricing) と呼ばれる電子道路課金制度が導入されており、特定の時間帯や道路区間を走行する際に料金が自動的に課金されます。これは、交通渋滞を緩和することを目的としたシステムで、車両に搭載された車載器(IU: In-vehicle Unit)を介して料金が徴収されます。
ERPゲートには「ERP」と書かれた標識が設置されており、通過する際には注意が必要です。レンタカーを利用する場合は、このIUが搭載されているか、また課金方法について事前に確認しておく必要があります。ERP料金は時間帯によって変動し、ピーク時には高額になることがあります。
シンガポールにはいくつかの高速道路(Expressways)があり、これらは一般的に「CTE(Central Expressway)」、「PIE(Pan Island Expressway)」、「AYE(Ayer Rajah Expressway)」などの略称で呼ばれます。高速道路の最高速度は通常時速90kmに設定されており、一般道よりも交通の流れがスムーズです。高速道路の出入り口には明確な案内標識があり、目的地に応じて適切な高速道路を選択できます。
罰金制度と交通違反の注意点

シンガポールは、交通違反に対する罰金が非常に厳しいことで世界的に知られています。軽微な違反でも高額な罰金が科せられることが多く、違反点数制度も導入されています。例えば、速度超過、信号無視、駐車違反、シートベルト非着用などは、いずれも高額な罰金の対象です。特に注意すべき交通違反と罰金について見てみましょう。
速度超過(Speeding) は、違反速度に応じて罰金が異なり、場合によっては免許停止や裁判となることもあります。信号無視(Running a Red Light) は非常に危険な違反であり、高額な罰金と違反点数が科されます。駐車違反(Illegal Parking) は、指定された場所以外での駐車は厳しく取り締まられます。駐車スペースをよく確認し、料金を正しく支払うことが重要です。
携帯電話の使用(Using Mobile Phone while Driving) は、運転中の携帯電話の使用はハンズフリー機器を使用しない限り禁止されており、罰金の対象となります。
飲酒運転(Drink Driving) はシンガポールでは非常に厳しく、日本の基準よりも低い血中アルコール濃度でも罰金の対象となり、場合によっては禁固刑が科されることもあります。また、シートベルト非着用(Not Wearing Seatbelt) は、運転手だけでなく、同乗者全員にシートベルトの着用が義務付けられています。
シンガポールでの交通ルールは、安全確保と交通秩序維持のために厳格に運用されています。レンタカーで運転する際は、必ず現地の交通規則を十分に理解し、すべての標識と信号に従うことが不可欠です。万が一違反を犯した場合、その場で警察官に罰金を支払うことはなく、後日、所定の手続きで支払いを行うことになります。
旅行者であっても、違反をすれば罰金が課され、出国の際に問題となる可能性もあるため、細心の注意を払うようにしましょう。
徒歩での注意点と交通事情
シンガポールは公共交通機関が非常に発達しており、多くの人が徒歩や公共交通機関を利用して移動します。しかし、歩行者にとっても注意すべき交通ルールや交通事情があります。
Jaywalking(ジェイウォーキング)の禁止

シンガポールで最も注意すべき歩行者ルールの一つが、Jaywalking(ジェイウォーキング)、つまり「信号無視の横断」や「横断歩道以外の場所での横断」の厳禁です。
シンガポールでは、歩行者は必ず指定された横断歩道や歩道橋、地下道を利用して道路を横断しなければなりません。少し先の横断歩道まで行くのが面倒だからといって、安易に車道の真ん中を横断したり、赤信号で横断したりすると、高額な罰金が科される可能性があります。これは、歩行者の安全確保と交通の円滑な流れを維持するために非常に厳しく取り締まられています。
特に、繁華街や交通量の多い道路では、警察官や交通監視員が目を光らせていることもありますので、決してJaywalkingはしないようにしましょう。たとえ車が来ていなくても、ルールを遵守することがシンガポール滞在を安全に過ごすための鉄則です。
横断歩道と歩行者信号

シンガポールの横断歩道には、ほとんどの場合、歩行者信号が設置されています。歩行者は、青信号が点灯している間にのみ横断が許可されます。信号が点滅し始めたら、速やかに横断を終えるか、次の青信号を待つようにしましょう。日本のように、車の切れ目をみて横断するというような行為は非常に危険であり、かつ交通違反となります。
一部の横断歩道では、横断ボタンを押すことで歩行者信号が青に変わるタイプもあります。このような場所では、必ずボタンを押してから信号が変わるのを待ちましょう。また、交差点や大きな道路の横断には、地下道や歩道橋を利用することが多く、これらは安全な横断経路として整備されています。
シンガポールの交通事情と渋滞

シンガポールは、道路網が非常に整備されており、交通の便は比較的良いですが、朝夕のラッシュアワーや特定の地域では渋滞が発生することもあります。特に、ビジネス街や観光スポット周辺では、時間帯によって交通量が増加します。しかし、ERP(電子道路課金制度)や公共交通機関の充実により、慢性的な大渋滞は比較的少ないと言えるでしょう。
バスやタクシーなどの公共交通機関も充実しており、特にMRT(地下鉄)はシンガポール国内の主要な場所を網羅しているため、観光客の主要な移動手段となります。これらの公共交通機関を上手に利用することで、渋滞を避けて効率的に移動することが可能です。
徒歩での移動中も、常に周囲の交通状況に注意を払い、特に右側通行の習慣がある国からの訪問者は、日本とは異なる車の進行方向に気を配る必要があります。急な飛び出しや不注意な横断は、事故の原因となるだけでなく、Jaywalkingとして罰金の対象となることを忘れないでくださいね。
標識とルールを知って快適な移動を

シンガポールでの滞在をより快適で安全なものにするためには、現地の交通ルールや道路標識を理解しておくことが不可欠です。シンガポールは、効率的な交通システムと厳しい罰金制度で知られており、その規律を遵守することで、スムーズな移動と不必要なトラブルの回避につながります。
この記事では、シンガポールでよく見かける多様な道路標識の種類とその意味、そして日本とは異なる交通ルールの詳細について解説しました。特に、ERP(電子道路課金制度)や右折・Uターンの独自のルール、そして歩行者にとって重要なJaywalkingの禁止は、事前に知っておくべき重要な情報です。
これらの知識は、レンタカーでのドライブはもちろんのこと、徒歩での移動においても、シンガポールの交通システムに適応し、安全に過ごすための土台となります。
清潔で秩序だったシンガポールの街並みは、厳格なルールの上に成り立っています。交通ルールや標識はその一端であり、これらを理解し、尊重することで、シンガポールでの移動はストレスなく、より楽しいものになるでしょう。
旅行や長期滞在を計画している方は、ぜひこの記事の内容を参考に、安全で充実したシンガポールライフを送ってください。
●記事内容は執筆時点の情報に基づきます。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!