2020年シンガポール独立記念日を祝して配布されたエコバッグ。そのデザインに込めた想い〜NDP2020〜

今年のシンガポールナショナルデーのエコバッグに込められた真の意味

8月9日はシンガポールにとって1年のうちで、一番大切な日です。シンガポールがマレーシアから独立したのは、1965年8月9日。2020年は、独立から55年になります。

その独立記念日(ナショナルデー)を祝して国民向けに配布されたのが、子どもたちが持っている布製のエコバッグ。国旗やステッカー、マスクのほかに、缶のドリンクまで入っていますが、目を引くのはそのデザインです。
見るとほっこりするこのデザイン。実は、20種類もあることをご存知でしょうか。

障がい者と子どもがデザイン

2020年のエコバッグをデザインしたのは、障がい者の方々と子どもたちです。1200もの応募があった中から、
・障がい者の方々のデザインが10パターン
・子どものデザインが10パターン
が選ばれました。

・障害者の方々がデザインした10パターン

・子どもたちがデザインした10パターン

デザインテーマは「愛と願望」

デザインを応募するときのテーマは「シンガポールへの愛と願望を示してください」。「シンガポールがこんな国になったらいいな」「シンガポールにはこんないい部分がありますよ」ということをデザインで表現します。

国民と永住権保持者世帯に配布

このバッグは、シンガポール国民と永住権(PR)保持者が住む世帯に1つ配られます。自宅近くのコミュニティセンターで受け取ることができますが、デザインを選ぶことはできません。受け取ったバッグを通じて障がい者雇用や子どもたちに理解や寛容性のある社会になって欲しい、との願いが込められているということです。

“デザイナー”の想い

デザインにどんな願いを込めたのか。
ナショナルデーを祝うバッグのデザインをした“デザイナー”に、そのストーリーを聞いてみましょう。


作者:Qays(キーズ)君(右) RIzq(リズク)君(左)
2人は二卵性双生児ですが、リズク君は生まれながらの脳性麻痺を持ち、キーズ君には障がいはありません。いつも仲良しの2人が描いたのは「兄弟愛」。新型コロナウイルスでの外出制限「サーキットブレーカー(CB)」期間中に、2人がレゴで遊んでいる場面だそうです。もう一つのテーマも込めた2人。それは「Same same but different(同じ同じ、でも違う)」。

絵を見ての通り、違う場所に同じ形や色の紙を使うことで、一人ひとり異なる性格の人間が、共通の趣味によって仲良く遊ぶことができるいうメッセージが込められています。また、1本のスプーンを2人で握り、大好きなチキンライスを一緒に食べているところを描いています。


作者:Katy Leeさん
リーさんの右目は見えず、左目の視力もほとんどありません。けれど、リーさんは自分がポジティブでいることを、他の障がい者の方々にプラスの影響を与えられるようにと、絵を描きました。

リーさんの作品は、赤青緑の三原色とビル群や樹々というシンプルな構図です。視覚障害者がどのように物をみているのか、刺激的に認識しているのかを表現すると共に、彼女のシンガポールへの愛情を示しています。それぞれの色は次のような意味を込めています。

赤:力と団結がある理想的な場所であるシンガポール
青:安全で安心な家、食料品、綺麗な水といった生活に必需な物を提供す、信頼できるシンガポール
緑:街中に緑あふれるシンガポール

リーさんが社会に受け入れられ、愛され、そして他人を思いやることができるのもシンガポールという国だからという国と平和への感謝を表しています


作者:Minah Binti Mohdさん

脳性麻痺を患うミナさんは、シンガポールのイメージである、地図上の「小さな赤い点」をテーマに描きました。確かに小さい点ではあるけれども、The Little Red Dotの名を名誉として捉え、挑戦に勝つという希望を与えてくれます!
絵の中心にある赤い点は多くのシンガポールの名所(マーライオン、マリーナベイサンズ、エスパネード、蘭の花)に囲まれています。人工物から自然まで、シンガポールを形作るすべてを祝おうと表しています。これらの名所がシンガポールをより際立たせ、最高の国の一つにしているのです!


次の子どもデザイナーについて見ていきましょう。

作者:Khong Ka Yeung君

ヤン君にとって、2020年のナショナルデーは特に重要だそうです。ヤン君はこの絵を誕生日に描き、誕生日にもらったケーキをシンガポールの国旗に見立てました。誕生日ケーキを支えているのは、ヤン君と同年代の子どもたち。なぜケーキを支えているのか、というと、シンガポールという国を支えるのはヤン君のような子どもたちだから。子どもたちには未来を担う役割があり、その一人ひとりの努力でシンガポールを前に進ませるというメッセージを込めています。


作者:Chan Kai Yinさん

インさんが描いたのは、新型コロナウイルスと最前線で戦う医療従事者や警察官、軍関係者の他、シェフや郵便局員といった人々です。感染の危険性がある中でも働く人たちに感謝の意を込め、ハート型のシンガポール国旗は、そうした人たちの精神力と思いやりを表しています
そして、そうした人たちだけでなく、一般の人たちも新型コロナが流行しているこの世界で果たすべき役割があります。一人ひとりがより良いシンガポールのために行動しよう、という意味を3つの手で描いています。


今年はそれぞれが特別な思いを抱えて迎えることになる8月9日のナショナルデー。エコバッグを見かける機会がありましたら、そのデザインにはこんな背景がある、ということに思いを馳せてみるのもいいのではないでしょうか。

この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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