「シンガポールは歴史的に移民国家」外国人労働力問題についてリー首相が国会で言及

外国人労働力問題がシンガポールの国会で連日議論されています。多くの国会議員が、シンガポール人が外国人に雇用の機会を奪われた例や外国人従業員の数がシンガポール人の数を上回っている例をあげ、シンガポール人の雇用を守るよう求めました。

これに対し、リー・シェンロン首相は9月2日、「シンガポール政府が外国の企業を誘致してきたのは、雇用の創出によりシンガポール国民の生活を向上させるため」と述べるとともに、「外国人労働者を受け入れてきたことが、シンガポール人に多くの機会を生み出したことも事実で、就労ビザの条件見直しにおいても、外国人はもはや歓迎しないという間違ったメッセージにとられないよう注意しなければならない」と説明しました。

外向人向けの就労ビザを巡っては、9月1日から高度技能職向けビザ(EP)を発給するための、最低月額基準給与額が引き上げられました。

リー首相は、グローバル製薬企業GSKを例に挙げました。同社は20〜30年前にシンガポールに製造工場を建設、その後地域本社と研究所を開設しました。1992年に製造エンジニアだったリム・ホックヘン氏は、外国人の同僚からスキルを学び、知識を身につけ、今では現地ディレクターに昇格しました。リム氏は、主要製品を製造し、全世界向けに出荷するシンガポール拠点責任者になったのです。

さらに、金融サービス、半導体、石油ガス、情報技術関連の企業も同様にシンガポール人のスキルアップに貢献してきました。

新型コロナが流行しているにも関わらず、シンガポール進出に関心を示している会社もあります。例えば、韓国の現代自動車は、シンガポールに電気自動車工場と研究開発拠点を開設すると発表しました。ほかにも、ワクチン製造施設の建設を計画している製薬会社、パンデミックリスクに特化した保険会社、そして地域本社のシンガポール移転を検討しているグローバル企業があるそうです。

そして、リー首相は、外国企業を誘致するには、これらの企業が歓迎されていると感じる必要があり、また必要な専門知識を備えた人材をシンガポールへ異動させることを許可しなければならないと説明しました。

さらに、シンガポールは歴史的に開かれた港であり、移民国家であり、常に世界に対してオープンで、シンガポール社会に付加価値をもたらす外国人を歓迎してきたと述べ、「この寛大な精神こそが、私たちの社会と経済に活力と回復力を与えるものです」と主張しました。

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SingaLife編集部

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