シンガポールの大学「産業界に資する人材を」と教育相、コロナ対策踏まえ発言
シンガポール教育省のローレンス・ウォン大臣は2月5日、ストレーツ・タイムズ社が開いた教育フォーラムで「シンガポールの大学は産業界の要請に応える技術を身につけた人材供給を続け、企業との連携をさらに進めなければならない」と発言しました。
ウォン大臣はイギリスのダイソン社を引き合いに出しました。ダイソン社は2017年、「ダイソン・インスティテュート・オブ・テクノロジー」を開校。専門技術をもつ人材がイギリスで不足しており、エンジニアを育てることを狙いとして作られました。授業料は無料で、給料をもらいながら学べる「ダイソン大学」としても知られます。
ウォン大臣は「イギリスで大卒のエンジニアを獲得するのが難しく、ダイソンは自らエンジニアのスキルを補強しようとした。当初ダイソン・インスティテュートは英ウォーリック大との協定で学位を出していたが、今では独自に学位認定するまでになっている。ダイソンにとっては今や他の大学が不要で、ダイソンが大学そのものになっている」と指摘しました。また「シンガポールのポリテクニック(高等専門学校)は良くやっている。大学は産業界の求めに応じたカリキュラムを提供しリードしなくては」と話しました。
SMUの実践
SMU(シンガポール・マネジメント大学)のリリー・コン学長は、SMUは産業界との連携をすでに進めていると強調します。SMUは世界的IT企業Googleや、シンガポール国内のヘルスケアグループ・シンガヘルスと連携事業を実施しています。「大学と企業の連携は今まさに進めているところだ。SMUはグーグル・シンガポールと共同開発したデータ分析のコースも提供しているし、実務家が講義することもある。グーグルでのインターンシップの実績もある」と話します。
シンガヘルスとは、健康分野のビジネス、マネジメントでの連携を進めています。コン学長は「他の大学のように医師や看護師になる人を育てる学部学科はないが、病院の経営ができる人材を育てることができる」と力を込めます。
SMUは、シンガヘスルと連携し2つのコースを提供しています。2009年からはヘルスケア分野の学位認定をしてきました。また、2018年からは、SMUの学生がヘルスケア分野の経済・マネジメントについて自分の主専攻とは別の「副専攻」として学ぶことができるようになりました。
コロナ対策でも「産学連携」
ウォン教育相は新型コロナウイルス対策のタスクフォースのメンバーに入っています。大学に対して、新型コロナなどの最前線の研究をさらに先に進め、経済の活性化にも貢献するよう求めています。「コロナ対策においても、検査キットの開発などの点で産学連携がいかに有用か示されている」と強調します。
日本では、大学について「思い切り遊べる人生最後の期間」とみる考えも残っています。シンガポールの大学はそのような穏やかな場ではなく、将来の就職に向けて技術を身につける訓練の場のようです。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
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