国際都市シンガポールで暮らすなら、子どもは国際バカロレアを履修するべきか?

「国際バカロレア」という言葉をご存知でしょうか。中学生や高校生の子どもがいる家庭では、耳にしたことがあると思います。国際バカロレアは、国際的な教育プログラムの一つで、近年では日本でもこの国際バカロレアをカリキュラムに取り入れる高校が増えています

世界各国から人が集まるシンガポールは、教育レベルも高く、今年の1月には、国際バカロレアの試験で好成績を納めた生徒の多くがシンガポールで学ぶ生徒だった、というニュースも流れました。

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国際バカロレアで満点取得者の半数以上がシンガポールの生徒。高得点者を輩出するその理由は。[/su_note]

では、そのシンガポールで子どもを学校に通わせていることは、国際バカロレアを履修するチャンスなのでしょうか。国際バカロレアについてみていきます。

国際バカロレアとは

日本の文部科学省によれば、国際バカロレアは、スイスのジュネーブに本部がある国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムです。日本の文部科学省IB教育推進コンソーシアムのウェブサイトには以下のような説明がされています

[su_quote]国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置されました。[/su_quote]

国際バカロレアのプログラムを修了すると国際的な高校卒業資格を得ることができます。

国際バカロレア(IB)の使命

国際バカロレア機構が発行する公式冊子(日本語訳)には、次のように書かれています。

国際バカロレア(IB)は、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成を目的としています。
この目的のため、IBは学校や政府、国際機関と協力しながら、チャレンジに満ちた国際教育プログラムと厳格な評価の仕組みの開発に取り組んでいます。
国際バカロレア(IB)のプログラムは、世界各地で学ぶ児童生徒に、人がもつ違いを違いとして理解し、自分と異なる考えの人々にもそれぞれの正しさがあり得ると認めることのできる人として、積極的に、そして共感する心をもって生涯にわたって学び続けるよう働きかけています。

国際バカロレアの教育プログラムは年齢別

国際バカロレアは年齢に応じてプログラムが決まっています。
下図にもあるように、
PYP(Primary Years Programme)−3歳〜12歳
MYP(Middle Years Programme)−11歳〜16歳
DP(Diploma Programme)−16歳〜19歳

と分かれています。

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム
IBCPについては説明を省略いたします。

日本に帰国して日本の大学の受験を考えている人や海外留学を検討している人に大きく関係あるのが、国際バカロレアDPです。文部科学省IB教育推進コンソーシアムによりますと、DPのカリキュラムは、6つのグループ(教科)及び「コア」と呼ばれる3つの必修要件から構成されています。

グループ1:言語と文学(母国語)
グループ2:言語習得(外国語)
グループ3:個人と社会
グループ4:理科
グループ5:数学
グループ6:芸術

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム

この6グループの中にそれぞれ科目が分かれており、各科目を選んで6科目すべてを2年間で学ぶことになります
※国際バカロレアは原則として、英語もしくはフランス語、またはスペイン語で学ばなくてはなりませんが、一部科目については日本語で学ぶことも認められています。
※グループ5の数学は、「解析とアプローチ(HL/SL)」「応用と解釈(HL/SL)」に2019年8月から科目が変更になっています。

ただし、6科目のうち、3~4科目を上級レベル(ハイヤーレベル)で、その他を標準レベル(スタンダードレベル)として学習します。さらに、カリキュラムの中核となる核(「コア」)として、以下の3つの必修要件を並行して履修します。

それが
・課題論文
・知の理論
・創造性・活動・奉仕

です。

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム

45点満点で評価

国際バカロレア資格を習得するには、前項で触れたカリキュラムをすべて学んだ上で、国際バカロレア試験と内部の評価によって決まります

配点は、1科目7点×6科目の42点プラス「課題論文」と「知の理論」、「創造性・活動・奉仕」で最大3点が与えられ、合計45点満点で評価されることになります。バカロレアの資格を得るためには、24点以上を獲得することが必要で、難関大学へ進学するには40点以上の成績が必要とされます。

日本国内でのバカロレア認定校

日本では、2013年6月に「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」が閣議決定され、日本国内で国際バカロレア認定校等(ディプロマプログラム)を、2018年までに200校にすることが目標とされました。しかし、その目標は達成できておらず、2020年11月30日現在で、日本国内で国際バカロレアの認定校となったのは、161校にとどまっています。(文部科学省IB教育推進コンソーシアム調べ)

留学だけでなく日本帰国後の入試にも使える

近年、日本の大学でも国際バカロレア資格をもった生徒を対象とした入試が広がりを見せています
AO入試や、帰国生を対象とした入学試験では、国際バカロレアのスコアを活用した入試が行われており、国際バカロレアで高いスコアを取得すれば、その分入試において有利に働くことは間違いありません。

シンガポールで国際バカロレアを学ぶ

シンガポールで国際バカロレアを学ぶにはどうしたらいいのでしょうか。国際バカロレアに認定されているインターナショナルスクールに通うのが確実ですが、学校により開講されている講座が異なるので確認が必要です。(例えば、日本語Aがない学校もあります)

シンガポールにおいて日本語で、国際バカロレアの一部科目のサポートをしているのが、早稲田アカデミー・インター校です。

[su_note note_color="" text_color="#000000" radius="8"]<早稲田アカデミー・インター校>
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早稲田アカデミー・インター校では、UWCとACSの生徒を対象に
ーグループ1の日本語A(文学)
ーグループ5のIB数学(AA: Analysis and Approaches)
ーIBプレ学年である高校1-2年生の数学クラス
の4つの講座をサポートしています。

早稲アカ・インター校は、2017年に開校。インターナショナルスクールや現地校に通う日本人生徒を対象としています。ご家庭の方針を伺いながら、少人数定員制で進めるのが特徴です。

国際バカロレアを学ぶのに大切なことは「時間と自己の管理」

国際バカロレアを履修する上で注意する点について早稲アカ・インター校の五十嵐敢校長は「時間管理と自己管理」が大切になると話します。

五十嵐校長は「日本の受験勉強のように、最短距離を走る勉強は国際バカロレアでは適しませんし、必要でもありません」と指摘します。その上で「学校の勉強の質を高めて、わからない点を自分なりに整理し、先生に質問するというような、学びの姿勢が結果を大きく左右します」と語ります。

そして、一番大切なことは「優先順位を付けた時間管理と自己管理です」と話しました。

[su_note note_color="" text_color="#000000" radius="8"]<早稲田アカデミー・インター校>
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国際バカロレアは選択肢の一つ

日本の1条校※と呼ばれる学校に通学している場合は、高等学校を卒業することで高校卒業資格を得られるので、国内大学に進学される際は国際バカロレアのスコアはさほど重要ではありません。

さらに、シンガポールでも早稲田渋谷シンガポール校のように、しっかり日本のカリキュラムで学び、日本の大学に進学されるケースも国際バカロレアは必要ありません。同じように、アメリカンスクールのように、アメリカの大学受験資格になる適正試験(SAT)を採用している学校もありますし、現地校は異なるプログラムで進めています。そのため、シンガポールにある全ての学校で必ず国際バカロレアを履修しなければならないというわけではありません

五十嵐校長は「海外で国際バカロレアを履修することは、海外大学への進学の扉を開きますが、日本での大学入試で一般入試と両立させることは大変難しいので、保護者の方はお子さん本人の意向も尊重し、長期的なプランで考えることが必要です」と話します。

※1条校
学校教育法(昭和22年法律第26号)の第1条に掲げられている教育施設の種類およびその教育施設の通称。幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学および大学院を含む)および高等専門学校のこと。


国際バカロレア試験の満点取得者の半数はシンガポールで学ぶ生徒だった、というニュースが2021年1月に流れました。シンガポールで中学生や高校生を育てる家庭では、国際バカロレアという言葉に敏感になるかもしれません。

国際バカロレアはもちろんいいことずくめではありません。実際の本試験だけではなく、2年間の学びの積み重ねが結果を大きく左右し、自主的なセルフマネジメントが重要になるからです。メリットとデメリットをよく見比べた上で、履修するかどうかを家族で、よく話し合うことが大切です。

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この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポールライフをもっと楽しく豊かに、をコンセプトに、在留邦人や短期滞在者、またシンガポールに興味がある方に、実用的で生活に役立つ情報を提供しています。