シンガポールで医療従事者への嫌がらせや暴言・暴力が増加
シンガポールのガン・キムヨン保健相が2月に公表した公的医療機関の統計によると、2020年の1年間にシンガポール国内の医療従事者が受けた嫌がらせや暴言・暴力の件数は、約1300件に上り、その2年前の2018年の1080件を大きく上回りました。
勤務中の公的医療機関の医療従事者に対する嫌がらせや暴言・暴力のうち、警察に通報したケースは、2018年の40件から58件に増えました。また、若い女性看護師を中心に、性的嫌がらせを受けた事例も報告されています。
病院別の現場スタッフへの暴言・暴力件数は、オートラムパークにあるシンガポール総合病院(SGH)が、2016年の70件弱から200件弱に3倍近く増加。チャンギ総合病院(CGH)は、2018年の90件、2019年の107件に対し、2020年は214件に急増しました。
医療従事者の労働組合幹部によると、緊急医療、外来、薬局、精神疾患患者担当のスタッフが、暴力・暴言を受けるリスクが高い傾向にあり、身体的外傷はいやされても、自信や尊厳が失われるなど、感情・心理面への影響が尾を引き、退職する医療スタッフもいるとのことです。
たとえば、1人の男性患者から、「お前は役立たずだ」などと侮辱的な言葉を浴びせられ続けた勤務歴9年のCGHのベテラン女性看護師(30)は、「この患者が他の患者にも『この看護師に世話をしてもらうな』と告げたとき、自分の職務能力に自信が持てなくなった」と語っています。
こうした状況を受け、各病院では医療現場での暴言・暴力に対応するため、スタッフへの研修の拡充を図っているそうです。
コロナ禍のなか、感染への懸念を理由とした医療従事者に対する心ない言動が多数報告されている昨今。感染収束に向け、日々、懸命に働く医療従事者への敬意を保ちたいものです。
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この記事を書いた人
SingaLife編集部
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