シンガポールの医療従事者の給与、今後2年で3〜14%引き上げ

シンガポール保健省(MOH)は3月5日の議会で、医療従事者の育成に向けた取り組みの一環として、公共医療機関の医療従事者の給与を引き上げる方針を明らかにしました。2021年7月から今後2年間で段階的に引き上げます。

今回の取り組みにより、公共医療機関で働くおよそ56,300人の月額基本給が上がる見込みです。看護師の月額基本給は5〜14%、薬剤師や医療事務スタッフなどは3~7%引き上げる予定。

賃金の引き上げ幅は、勤続年数や年齢、職種に応じて調整するとのことです。

ただし、今回の給与引き上げには、2019年に給与の引き上げを更新したばかりの医師と歯科医は含まれていないとのこと。

今回の給与引き上げに対し保健省は、「新型コロナウイルスを受け、医療従事者の必要性を再認識した。医療に携わる質の高い人材を確保するためには、競争力のある給与水準を維持することが必要だ」と述べています。

また保健省は、月額基本給の引き上げとともに、公共医療機関の看護師や薬剤師、医療事務スタッフなどの初任給を今年の7月から引き上げます。

さらに同省は、競争力のある給与水準を維持するために、公的資金によるコミュニティ・ケアを目的とした組織への賃金の資金援助額を増やすことを発表。20,800人の従業員がこの資金援助の恩恵を受けると推定しており、今後2年間で資金援助を増やしていくとのことです。

同省が、看護師の月額基本給を最後に引き揚げたのは2014年と2015年。2016年には、薬剤師や医療事務スタッフなどの月額基本給を引き上げました。

コー・ポークーン上級国務相(保健担当)は、「競争力のある給与水準を維持するために、今後も医療従事者の給与を定期的に見直していくつもりだ」と述べています。

医療従事者の給与引き上げのほかに、保健省が行う「医療従事者の育成に向けた取り組み」の1つが、技術や知識を高める教育への投資です。

「Professional Conversion Programmes(PCP)」と呼ばれる職業転換プログラムを実施しており、このプログラムを通して、より多くの医療業界の中途採用者を呼び込むという取り組みを行っています。

プログラムへの関心は近年高まってきており、2018年〜2020年の間で毎年平均160人がプログラムに登録しているとのことです。

また、医療従事者の今後の発展に向けて、ヘルスケアおよび運営サポートに携わる従業員のキャリアパスを見直すよう取り組んでいます。キャリアパスを見直すことで、より範囲の広いキャリアオプションを医療従事者に提供することが可能となります。

これらの取り組みを行うことで、医療従事者が技術や能力を高め続けることが可能となり、シンガポールで高まる医療ニーズを満たすことができるようになるでしょう。


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この記事を書いた人

SingaLife編集部

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