江戸の美と京都の美がシンガポールで”共艶”。日本×シンガポール国交樹立55周年記念展示
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※写真は一部をのぞき全てアジア文明博物館提供
特別展「Life in Edo | Russel Wong in Kyoto」がアジア文明博物館で9月まで開催
![](https://singalife.com/cms/wp-content/uploads/2021/04/Key-Visual-Life-in-Edo-_-Russel-Wong-in-Kyoto-1400-x-1000.-Image-courtesy-of-Nakau-Collection-and-Russel-Wong-1024x731.jpg)
2021年は日本とシンガポールが国交を樹立して55年の節目の年。1966年4月に国交を樹立した両国関係は、その後急速に発展し、今ではシンガポールに住む日本人も多くおり、経済的・政治的な結びつきも強くなっています。
そんな日本とシンガポール両国の友好関係を象徴するような展示が、ラッフルズプレイスにあるアジア文明博物館で開催中です。
特別展「Life in Edo | Russel Wong in Kyoto」は、
(1)江戸時代の浮世絵
と
(2)写真家ラッセルウォンが撮影した京都の写真
の二本立てで構成されています。
(1)江戸時代の浮世絵
今回の展示では、150を超える個人所蔵の浮世絵コレクションを展示。コレクターとして名高い中右瑛氏が所蔵する歌川広重や葛飾北斎、喜多川歌麿など代表的な浮世絵を展示しています。
(2)写真家ラッセルウォンが撮りためた京都の写真
世界的な写真家であるラッセルウォンが13年間に渡って撮りためた京都の写真を展示しています。京都の風景や建物はもちろん、一般人がのぞくことはできない舞妓や芸妓の世界も収めている貴重な写真の数々。どれもが貴重な1枚です。
江戸時代の東京と現代の京都という、年代を超えた日本を代表する二つの都市を共演させることで、日本をより深く知ってもらいたいというメッセージが込められています。
テーマ別に展示
150点を超える中右コレクションから借り受けた貴重な浮世絵、版画の数々。それを「女性」「ペット」「四季」などテーマ別に展示しています。
展示された作品は、思わず見入ってしまうものばかり。中でも浮世絵の掛け軸は美しく、今にも絵の中から飛び出してきそうです。
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猫ラバーの筆者としては「ペット」セクションは必見。可愛らしく、かつ邪気のある猫たちは生き生きと描かれています。また「食」のセクションもおいしそうな名物料理が並び、思わずお腹が空いてしまいます。
そして展示作品の中でも意味を持つのが歌川広重の東海道五十三次や葛飾北斎の富嶽三十六景です。知っていながら、有名な数点以外目にする機会がなかった筆者としては非常に興味深いものでした。
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二つの展示を結ぶ東海道の起点と終点
「Life in Edo」ラストに展示されているのが東海道五十三次の起点となる東京・日本橋。向かい合って展示されているのが、ラッセル氏が撮影した京都の・三条大橋。
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東海道の起点となる日本橋と終点となる三条大橋をこの配置にすることで、江戸から京都、江戸時代から現代へという展覧会の橋渡しという意味合いを持たせています。
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そしてその昔、貴族か天皇しか纏えなかったという紫色をバックグラウンドにした京都、ラッセル・ウォンの作品がある京都の展示会へと進みます。
ラッセルウォンが京都に惹かれた理由
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ラッセル・ウォンといえば、シンガポール出身の著名なフォトグラファー。タイム誌で17回もカバー写真を手がけたり、アン・リーやチャン・イーモウなど一流映画監督と仕事をしたり、数え切れないくらいのセレブの写真を手がけた人です。近くは「クレイジー・リッチ」にほぼ本人役で(名前をちょっと変えてあります)出演したりもしています。
そんな彼が京都に惹かれたのは映画「Sayuri」で俳優・渡辺謙と仕事をした時。芸者をテーマにした作品で、ミッシェル・ヨーやチャン・ツーイーも出演した映画でした。京都花街で写真を撮るのは難しいかなとの問いに、渡辺さんはかなり難しいだろうと答えたそうです。
ですがラッセル氏は芸術家。撮りたいものは撮りたいと果敢な挑戦を始めたのです。それからお茶屋さんに入れるまで5年、そして徐々に知人や手を差し伸べてくれる人が増えていったそうです。
ラッセル氏のフレンドリーな人柄、真剣さにほだされ、芸妓さんへの襟替えと舞妓さんの見せ出しの儀式まで撮影する事ができました。舞妓芸妓さんにとって一生に一回の大事な行事を撮らせるというのがどれほどか、いわずもがなですね。
ラッセル氏を助けてくれたのが、舞妓さんから芸妓さんに襟替えした、さやかさん。彼の熱意にほだされ、手を貸してくれたそうです。儀式は午前0時から3時まで行われ、ただじっと厳かに進む儀式を見つめ、シャッターを切り続け、私たちも儀式を目前で見ているような気分にしてくれます。
モノクロ写真を多く展示
モノクロ写真となっています。使用している写真のサイズも大判と呼ばれるサイズで、このサイズは浮世絵版画のサイズと同じというこだわり方。また時代を感じさせるようにモノクロにしたそうです。それで江戸から現代へと違うエキシビションへ移っても、違和感なく鑑賞することができるのかもしれません。
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京都の花街という特別な空間に暮らす芸妓さんたちだからこそ、普段の姿や特別なセレモニーなど見る機会はありませんでした。ラッセル氏は、いわゆる舞妓さん、ではなく、自然な姿を撮ってみたいと思ったようです。
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しかもフォトショップなどの加工を良しとしないラッセル氏。普段は時間をかけてパーフェクトな照明で臨むそうですが、ここで撮られた写真はほとんど自然光。夜のシーンでも制限された光量の中で素晴らしい写真を撮っています。
メディア内覧会でラッセルウォン本人に、この限られた条件で素晴らしい写真を撮る秘訣を聞くと「スポーツフォトグラファーから始めた経験が活かされるのかもしれません。シャッターチャンスをのがさず、一瞬を切り抜くのが大事だから」と答えてくれました。
ラッセル本人はこの展示会に「写真家としてのラッセル・ウォンが全て入っている」と語っていました。写真家として歩んできた道が全て詰まっているということですね。
圧巻の風景写真
人物以外に、度肝を抜くのは圧巻の風景写真です。ラッセル氏といえば、ファッション写真というイメージだったので、ちょっとした驚きがありました。
どこから撮ったんだろうと思われる写真ばかりで、13年の間、年に6〜8回ほど通い詰めたというのが感じられます。特に京都詣で13年目の昨年撮影できた、京都の雪景色。
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雪の千年坂は、京都の友人から京都に大雪の予報が出ているとの連絡があり、そこから数日間天気を確認し、日本へ行き撮ったもの。そうして撮れた雪景色は、美しいものでした。雪が少ない京都で、降りしきる雪は幻想的です。
エキシビションエリアから出て、参加型のブースへ
ここには京都の四季を、カラー写真で展示してあります。桜や雪景色、秋、夏と、ラッセル氏が撮りためた写真です。色のない白黒の世界から鮮やかな色彩に変わると、色が際立って見えます。日本へ行けない身としては、ここでしばしの日本観光気分です。その他にも浮世絵の詳しい説明や、ディスプレイを使い、オリジナルの浮世絵を作ってみたりと、楽しいコーナーもあります。
限定品のお土産も
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こちらはスーベニアショップ。ラッセル氏のポストカードやマスク、浮世絵のポストカードも。ポストカード$2.50〜、マスク$15など。
シンガポールのラッフルズ・プレイスにあるアジア文明博物館(Asian Civilisations Museum=ACM アジア文明博物館)は、東南アジアを中心にアジア全域を対象とするアジアで唯一の博物館です。古美術品や装飾美術品など、多くの展示物を展示しています。
特別展示以外にも、素晴らしい常設展があります。Life in Edo | Russel Wong in Kyoto のチケットを購入すると、全て回ることができます。ぜひ、時間をかけてゆっくりとご覧ください。興味深いものがたくさんあります。文化にひたる1日をお楽しみください。
Asian Civilisations Museum アジア文明博物館
Life in Edo | Russel Wong in Kyoto
会期:2021年4月16日〜9月19日
住所:1 Empress Place Singapore 179555
開館時間:月〜日 10:00〜19:00(金曜のみ21:00まで)
電話番号:6332-7798
チケットは各種ありますので、ウェブをご覧ください。
チケットはこちら
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この記事を書いた人
林じゅん子
長崎県出身。バブル期の東京で浮かれて過ごし、そのままシンガポールへ。気がつけば20数年!香港映画がきっかけでアジア芸能にはまり、シンガポール初日本人芸能記者(自称)に。ラジオ、雑誌ともに芸能一筋、出会った芸能人は数知れず。 現在はエンタメ以外の3大好物、イケメン、おいしいもの、アニマルネタ目を光らせる。期間限定&新製品にも目がない、ローカルどっぷりジャパニーズ