駐在夫、子を育てる-25- 変化
これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。
モモタ(仮名)が生まれる前と生まれてからの家の変化について。「物が増えた」「自分の時間が減った」「出費が増えた」「可処分所得が驚くほど減った」というのはもちろんそうなのだけれど、そういう即物的?なことではない変化について。それは「褒める言葉が増えた」ことだ。
褒める:人のしたこと・行いをすぐれていると評価して、そのことを言う(goo辞書より)
育児は大変なことが多いのは間違いないんだが、褒めることの連続でもあると思う。生まれたてのモモタがミルクを飲めば「よく飲めたね」と褒め、寝返りができるようになれば「すごいね」と褒める。ミルク後のゲップも「偉いねー」と褒める対象だし、お風呂で赤ちゃん用の湯船に大人しく座っているだけで「いい子だね」と褒める。
1日のうちにいくつぐらいの褒め言葉が家の中で聞かれるのか。数えたことはないけれど、10や20では収まりきらないはず。モモタを褒める割合では、妻が圧倒的なのだが「モモタを褒めまくる」ことによる、いい余波が駐在夫の私にも届く。
ある日、オムツをサラッと変えたところ「オムツ変えるの上手だね」と褒められた。突然のことに、内心驚きリアクションが「お、おお、そう?」とそっけないものになってしまったが、褒められると嬉しい気分になった。
しかし、大人になると褒めることが少なくなるのが現実だ。子どもがいなかったケースをイメージするとどうだろう。アラフォーの駐在夫とギリギリアラサーの駐在員の妻が生活する中で、褒める言葉といえば「今日の料理、美味しいね」「すごい!台所のシンクピカピカじゃん」ぐらいだろうか。自宅でエクササイズしている妻に「スクワット15回もできるようになったんだ!すごい」とは、なかなかならないよなぁ。
よく聞く話で、子どもが2歳、3歳と成長するに従って「あれだめ」「これだめ」と叱ることの方が褒めるよりも多くなってしまうとか。そうなると、私にも火の粉が降りかかり、怒られるケースも増えるはずで、それは避けたいところだ。
褒め言葉が増えることで、家の中が華やかにはならないけれど、明るい雰囲気になる。子どもが生まれてからのいい変化だな、と思った。
この記事を書いた人
SingaLife編集部
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