駐在夫、子を育てる-43- 三角形

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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三角形の関係性。ドラマや映画では物語を盛り上げるために欠かせないエッセンスだけれど、子育ての場面でも三角形の関係性がとても大事になってくる。

芥川賞作家の金原ひとみさんが自身の子育てについて、新聞のインタビューにこう答えていた。「(親と子が)一対一の関係では煮詰まってしまう。(親子以外が加わった)三角形になるのが理想的」と。2010年のことだ。


当時、この記事を目にしたときは子どもはおろか、結婚もしていなかったけれど、スッと腑に落ちたことを今でも覚えている。1年ぶりの日本への一時帰国で、この金原さんの考えを改めて思い出すこととなった。

帰国後しばらくの間、モモタ(仮名、1歳)からみた祖母の家に滞在していたのだけれど、祖母が「子育ての輪」に加わってくれたからである。普段生活するシンガポールの子育てには、もちろん登場しえない祖母が「子育ての輪」に巻き込むことで、子育てのバリエーションがぐっと広がり、「モモタと夫婦」から「モモタと夫婦と祖母」という三角形の関係性になる。

「モモタと祖母(夫婦は休み)」や「モモタと夫婦(祖母は休み)」といったように、休みのプレーヤーが発生する。この休みの状態でいられることが育児をつらいと思うか、そうでないと思うかの分水嶺になるのではないかと思っている。ちなみに、モモタが休みのプレーヤーになったことは、生まれたから今までにない。祖母にとってみればプレーヤーになどなりたくないと思っているかも知れないが、そこはうまく巻き込んでいる。

「夫婦は2人なのだから、祖母がいない状況でも三角形ができているじゃん」と指摘されてしまえば、確かにそうなのだけれども。夫婦は別個体だけれど、子育てにおいて一蓮托生の存在なのだ。だから三角形にはならなず、「子どもと夫婦」という2者の関係性でしかないというのが駐在夫の持論である。

保育園でもない、友人でもない、気を遣わずにモモタをお任せできる存在=祖母は大変ありがたい。祖母が加わってくれることで、子育ての三角形はより強力なものとなり(たとえ期間限定であっても、今回はおよそ2週間だった)、「向こう1年、モモタを育てることを頑張ろう」と改めて思えるのである。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

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