駐在夫、子を育てる-29- デザイン

これはシンガポールに駐在する妻に帯同し、“駐在夫”として家事や育児に奮闘する日々を綴ったコラムです。シンガポールのフリーマガジン「シンガライフ」誌上で連載しているものに一部加筆して、ウェブでも公開しています。

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モモタ(仮名)が生まれてから、いや生まれる前からそれはもうほんとにさまざまな赤ちゃん用品を揃えなくてはならない。哺乳瓶だけを見ても、売り場には日米欧だけでなく、地元シンガポールの各ブランドの商品が並び、サイズもさまざま、デザインもさまざま。選ぶのが難しい。が、ここで重要なのがデザインだ。”かっこいい”ではなく、使いやすさのデザイン。それが親のためになる。

まず、哺乳瓶。圧倒的に使いやすいのが、ピジョン(日本のメーカー)のものだ。なぜか。それは哺乳瓶のフタの一部に凹みをつけて、フタを逆さに置いた時に転がらないようにデザインされているから。たかが凹み、されど凹み。この凹みがあることで、すごい助かる場面が多々ある。他のメーカーの哺乳瓶を使っているとき、フタが転がり机から落下するのがとてもイラついた。

お次は、ロンパース(つなぎ服)。ロンパースでは、柄が可愛い!よりも優先すべきなのは、ボタンの配置特に股間の部分は、どのボタンとどのボタンがペアなのかわかりづらいと、イラつく。「よし、着せれた」と思ったら股間の部分に「どこかで掛け違えてきて、気が付けばひとつ余ったボタン」(Mr.Children「くるみ」)を見つけたとき、イラついた人も多いのではないだろうか。「同じようにして誰かが持て余したボタンホールに出会う事で意味が出来たならいい」(Mr.Children「くるみ」)けれど、あいにくロンパースの場合は、掛け違えたボタンと持て余したボタンホールが出会うことはない。(出会うことがあっても相当無理な位置関係ですぐに弾け飛ぶ)

秀逸なのが、ユニクロ。なんとボタンが色分けされており、ボタンのペアをわかりやすくしてくれている。これなら簡単で、感激。別のブランドでは、ボタンではなくチャックにしているロンパースもあったが、じっとなんかしていないモモタに着せるときに、チャックをきちっと噛ませられないので、避けた方がいい(と思う)。イラつきます。

「駐在夫さん、イラつきすぎですよ」という声が聞こえてきそうだが、子育て中は「イラつき要素を極力排除する」のが肝要である。イラつくと、まず夫婦間で不穏な空気が流れ、それがモモタにも悪影響を及ぼすからだ。イラつかないデザイン、これが大切。

とここまで、赤ちゃん用品のデザインに触れてきたが、モモタにとって何よりも魅力的にうつっているデザインは、おそらくiPhone。リビングの椅子に置きっぱなしにしようものなら、目を爛々と輝かせてズリ這いで勢よく近づいてくる。しかも手を伸ばすのは、古い機種ではなく新しい機種のほう。さすが世界のApple社。新機種を発売するたびにちゃんとデザインもブラッシュアップされていて、赤ちゃんでもわかるようになっているとは。

ぜひApple社には、赤ちゃん用品の分野に進出してもらいたい。Appleが作る哺乳瓶がロンパースが果たしてどんなデザインになるのか。きっと、ひとつ余ったボタンも持て余したボタンホールもないようなものになるはずだ。


この記事を書いた人

SingaLife編集部

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