【21年6月帰国】 シンガポールから日本へ帰国の詳細レポート。ホテルで14日間自主隔離の場合(下・帰国当日〜自主隔離編)

6月上旬にシンガポールから日本に帰国した体験談をお伝えします。

私は今回、家庭の事情で急遽一人で帰国することになりましたが、「すぐ日本に帰らなければ」となっても、現状では思い立ったその日や翌日に帰国することはかなり困難な状況です。現在日本では水際対策の強化が行われており、出国前検査を行う必要があるほか、いざ入国できても自主隔離を行い外出できない日が続くなどさまざまな新型コロナウイルスのための対策に従う必要があるためです。

これから帰国されるみなさまの参考になればと思いレポートを執筆いたしましたが、状況が変化する可能性がありますので、ご帰国の際は必ず最新の情報をご確認ください。

上・下にわけて詳細な帰国体験談をお伝えしますが、こちらの下・帰国当日〜自主隔離編では、シンガポール出国から、機内の様子、羽田空港での検疫、ホテルでの自主隔離期間中の暮らしぶりについて詳しくお伝えしていきます。

上・帰国準備編はこちら



羽田への乗客は10人以下


13時55分発の便を利用したため、昼ごろにチャンギ国際空港に到着しましたが、人影はまばらでがらがらでした。カウンターで荷物を預けた際には、検査証明書の提示を求められました。


免税店などの店舗も営業しておらず、空港内は静まり返っていました。防護服を着たスタッフの姿もあり、ものものしい雰囲気も感じられました。

搭乗を待つ間も周囲に人がほとんどいませんでした。私が搭乗口付近に移動した最初の乗客だったようで、しばらくの間「まさか乗客は私1人しかいないのだろうか」と驚きと戸惑いの気持ちがありました。乗客よりもスタッフの姿が目立ち、なんとなく肩身の狭い思いでした。

結局利用した便の乗客は私以外にもいましたが、10人以下と非常に少なく、機内も閑散としていました。座席にはマスク、ハンドサニタイザー、機内エンタメの画面を除菌するためのウエットティッシュが入ったキットが用意されており、ありがたかったです。


感染対策のため、食事の際以外のドリンクサービスは中止されていましたが、ペットボトルの水が提供されていたので、喉が渇いて困るということはありませんでした。

機内では、日本到着後に提出する誓約書が配られました。14日間の自主隔離や公共交通機関を利用しないこと、健康状態の報告、指定するアプリの利用などについて誓約するもので、機内で記入を済ませておくと日本到着後スムーズです。



検疫では念入りに確認も、スピーディーに終了


羽田空港到着後は、案内に従って誓約書や陰性証明書、質問票のQRコードなどを提示しながら複数回にわたり健康状態や滞在国、誓約書の内容について念入りに確認が行われます。利用した便の乗客が非常に少なかっただけでなく、同時刻の到着便が少なかったのか、同じタイミングで検疫プロセスを進む人はわずかでした。そのため列に並ぶといった待ち時間は一切なく、想定よりも非常にスムーズでした。

PCR検査では、唾液を提出します。鼻に綿棒を入れて行う検査と比べ楽ですが、一定の量を提出しなければいけないため、口の中が乾いていると少し大変かもしれません。

加えて、自主隔離期間中にモニタリングされるためのアプリのダウンロードや、位置情報・Bluetoothの設定などの確認も行われます。ダウンロードが必要なアプリは下記の通りです

・OEL (位置情報確認アプリ)
・MySOS(ビデオ通話アプリ)
・COCOA(接触確認アプリ)


私はシンガポールにいる間にダウンロードしていたため、設定の確認のみで比較的スムーズに済み、事前に準備しておいてよかったと思いました。空港でWi-Fiが使用できるため、その場でダウンロードも可能です。また、自主隔離期間中に健康状態のフォローアップを受け取るため、申告したメールアドレスへテスト送信を行い、その場で確認を行うといったこともありました。

唯一待ち時間が発生したのは、PCR検査の結果を待つ間です。待機スペースには電源があり、スマートフォンの充電ができたのでありがたかったです。少なくとも1時間程度はかかると想定していましたが、実際は待機スペースに到着してから20分ほどで結果が明らかになりました。待ち時間用に本を持参しましたが、それほど読み進める時間はありませんでした。結果は無事陰性で、一安心でした。結果を伝えられるとピンクの用紙をもらい、入国審査へ進むことができます。


最終的に羽田空港着陸から税関通過までにかかった時間は約1時間で、事前に調査していた帰国体験談から得た情報と比べるとスピーディーだったため、驚きました。一方で、私がPCR検査の結果を待っていた場所とは別の待機スペースには多くの人がいました。空港到着の時刻や滞在国によって所要時間は変わってくるとみられます。

手配したハイヤーでホテルへ移動


上・帰国準備編でお伝えした通り、公共交通機関を使用できないため、空港から自主隔離中滞在するホテルへの移動のためハイヤーを予約していました。事前にドライバーの名前と連絡先の情報をもらっていたので、乗り場に向かう前に電話をかけました。

すると、ドライバーからは、前の乗客の到着が予定より大幅に遅れているため、急遽別のドライバーに変更することになったことを告げられました。変更後担当することとなったドライバーの連絡先を教えてもらうとともに、私がまもなく乗車するという情報を共有すると言ってもらえました。

ドライバーの変更に関する若干の混乱はあったものの、乗り場到着時にはすでに待機してもらっていたため、結果的に特に待ち時間なく乗車することができました。ハイヤー会社は乗車時間がはっきりとわからない帰国者に対して、臨機応変に対応してくれていることが感じられました。

車内は運転席との間に透明のしきりが設けられているなど感染対策が施されていたほか、マスクも用意されていました。他にも飲み物やお菓子などが用意されており、車窓から久々の東京の夜景を眺めながら快適に過ごせました。

清掃やリネン類交換などはセルフサービス


自主隔離期間中は、誓約書の内容を守って申告した滞在場所にとどまり、マスク着用や消毒、3密回避といった感染防止対策を行いながら、他人との接触を避けなければいけません。加えて、ホテルに滞在する場合には、各ホテルが帰国者に対して設けている感染対策のルールに従う必要があります。

私が滞在したホテルを含め、多くのホテルでは帰国者の滞在中部屋の清掃が行われません。そのため、自分で洗剤を用意してバスタブを掃除したり、コップを洗っていました。

滞在したホテルではリネン類の交換やアメニティの補充はセルフサービスとなっていました。リネン類やアメニティがまとめて準備されている場所から適宜自分で持っていきます。使用済みのリネン類は、各フロアに用意された回収カートに入れます。また、ごみも袋にまとめて随時部屋の外に置いておき、回収してもらいます。

滞在中の食事はウーバーイーツのデリバリーやテイクアウト、スーパーでの買い出しを併用しました。原則として滞在先にとどまっている必要がありますが、食料品など必要不可欠なものを調達するための短時間の外出は禁止されていません。このため、できるだけ人ごみを避けて、あらかじめ購入するものを想定した上でささっとスーパーで買い物をしました。ウーバーイーツのデリバリーを利用した際には、私の利用したホテルの場合、配達員にはフロントに届けてもらい、ホテルのスタッフが部屋に届けてくれました。

ホテルにこもって生活していることもあり、あまりお腹が空かず、夕食はスーパーで購入した即席のお味噌汁で済ます場合も多くありました。ホテルによっては、お弁当を提供する便利なプランを用意しているケースもありますが、私の場合、食事なしの宿泊プランで、柔軟に食事量を調整できてよかったと感じています。

毎日現在地を送信、所在確認のビデオ通話も


自主隔離期間中は、前述の通り健康フォローアップのメールやアプリによるモニタリングに応じる必要があります

1日1回、厚生労働省から健康状態確認のためのメールが届きます。検温を行い、送付されたURLから発熱や症状の有無などを報告します。

また、1日2回OELアプリを通じて位置情報を報告します。ランダムな時間に現在の位置情報送信を求める通知が届き、アプリ内の「今ここ!」というボタンを押して位置情報を送ります。

加えて、入国者管理センターからのMySOSアプリを通じた居所確認のためのビデオ通話にも応じなければいけません。こちらは毎日というわけではなく、随時連絡が来るかたちです。自主隔離期間の14日間のうち、8日連絡を受けました。ビデオ通話では、申告した滞在先にいるかどうか確認が行われます。初回と最後の連絡時に「ホテルにいることがわかるように背景や周囲を見せてください」という指示もありました。自主隔離期間の途中で、AIによるビデオ通話も開始したとの通知がありましたが、私の場合は全てオペレータの方との通話でした。

OELは通知を受けてからすぐに送信することが求められているほか、MySOSの連絡にも必ず応じなければいけないため、通知を見逃さないように注意する必要がありました。このため、普段はスマートフォンはマナーモードにしていますが、自主隔離期間中はマナーモードを解除して通知に気をつけていました。慣れるまでは「いつ連絡が来るのだろう」という緊張感がありました。

特にMySOSでは、突然通知が来る緊張感に加え、オペレータの方は姿を見せず音声のみですが、こちらだけカメラで顔を映し出して会話を行うので若干恥ずかしさもありました。しかし、感染拡大防止のために必要な対策の一環ということを考えれば、多少の煩わしさや恥ずかしさなどどうでもよいことかと思いました。

また、私と同様に自主隔離期間中ホテルで過ごす方は、Wi-Fiの接続に注意が必要かもしれません。一定期間接続しているとホテルのWi-Fiが自動的に切れ、一度OELの通知に気づくのが少し遅れてしまったことがありました。それ以降は、時々接続を確認し、定期的に再接続するように気をつけました。

早朝や夜遅くにアプリの連絡を受けることはないため、その点は配慮してもらっているように感じました。

自主隔離期間が終了し、自宅へ


特に体調の変化はなかったため、無事15泊のホテル滞在を終了し自宅(実家)へ帰ることができました。海外帰国者である私を受け入れてくれたホテルに感謝するとともに、ついに家へ帰れるという開放感がありました。ホテルでの暮らし自体は想定通り比較的快適でしたが、いつ来るかわからない通知に身構えていなければいけなかったので、その点の開放感も大きかったです。

自宅までの移動には電車を利用しました。大きなスーツケースを持って、明らかに海外から帰国した様子の私に対し、周囲の人は不安を覚えても仕方ないと思っていました。しかし、ホテルの最寄駅の階段を降りていた時に、「スーツケース重そうですね。持ちましょうか?」と話しかけてくださる方がおり、人情に触れることができうれしかったです。

帰国を検討されている方へ


東京オリンピック・パラリンピックを控える中、空港での検疫のプロセスや自主隔離期間中のモニタリングなど日本の水際対策がかなり確立された状態となっていると実感しました。帰国にあたっては、以前よりもさまざまな対策が導入されていたため不安もありましたが、必要なことをあらかじめ確認し準備を行っていれば、スムーズに帰国できる体制が整備されています

街中では、日本でもほとんどの人がマスクを着用しています。しかし、夜スーパーに買い出しへ行った際は、マスクを着用せずに街を歩いている人が若干多く見られ、着用が義務化されているシンガポールで染み付いた感覚からすると少し怖いなと感じてしまいました。

感染対策についてはシンガポールの方が厳格ですし、帰国前の新型コロナウイルス検査や自主隔離期間中の滞在などの費用は全て自己負担になりますので、不要不急の帰国はもうしばらく待ったほうがよさそうです。

特に現在は、ビザ保有者でも日本を含む新型コロナウイルスのハイリスク国からシンガポールへの入国が、一部の業界で働く人を除き原則として停止されているため、私自身もいつシンガポールに再入国できるか見通せない状況です。6月24日以降ハイリスク国からの入国者の隔離措置(stay-home notice=SHN )の期間を短縮することになり、制限緩和に関する明るい兆しがみられますが、今後の規制緩和の動向を注意深くみていきたいと思います。




この記事を書いた人

SingaLife編集部

シンガポール在住の日本人をはじめ、シンガポールに興味がある日本在住の方々に向けて、シンガポールのニュースやビジネス情報をはじめとする現地の最新情報をお届けします!

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